十八番料理
「改めて、俺はリナの兄のセナだ。リナのことよろしく頼むよ。」
リナのクラスメイトに挨拶した。
男女2人ずつ、計4人のお友達は軽く会釈して終わった。
「このあと夕飯なんだが、また俺が作ろうか?」
「お兄のごはん、美味しいから大好き。」
「セナさんがご飯を創ってるんですか?」
「あぁ。」
そんなに意外だろうか。
「せっかくだし、チェロンさんもご一緒にどう?」
「え、邪魔になっちゃいますよ...ね?」
「いや、大丈夫だ。ご飯を美味しく食べてくれる友達がちょうど欲しかったんだ。」
「じゃ、じゃあありがたく...。」
酒場の二階にある調理場に向かい、俺以外は部屋に入っていった。
今日作るのは、俺の十八番のサイクの餡かけ炒めだ。
サイクとは上級冒険者が協力して狩らないと倒せない魔獣、俺からしたら歩く高級食材だ。
こいつのだしはとっても美味しい。
だしと炒め用に分けてあるので、それを使う。
炒めると風味がよくなり、だしとものすごく合うようになる。
ここに野菜を加え、餡を加える。だしをさっとかけ熱を一瞬だけ伝えさせて完成だ。
人数分のお皿に盛り、部屋に持っていく。
「できたぞ。」
扉を開くとベッドでだらしなく横に寝そべっていた。
「このベッド、やわらかくて気持ちいい。」
「そうでしょ、このベッド最高なの。」
「おい、人のベッドでくつろぐな。」
料理を持っている俺にやっと気づいたのか、慌ててベッドの上からどいた。
「この匂いは、十八番のサイクの餡かけ炒め!」
「良い匂い~。」
「相変わらず良い匂いですね。」
「熱々のうちにどうぞ。」
椅子に座り、料理を食べ始める。
「美味しい!」
「美味い。」
「やみつきですね。」
「ここに、このソースをかけると味変でもっとおいしくなるぞ。」
机の上にオリジナルソースを出し、かけて食べる。
う~ん、美味しい。
箸が止まらない。
あっという間にぺろりと完食してしまい、お茶を飲んでゆっくりしていると質問がきた。
「セナさん、料理ギルドに所属しているんですか?それほど美味しかったです。」
「料理ギルドには所属していないよ。所属しちゃうと、レシピを公開することになっちゃうからね。」
「はっ!それはいけませんね。こんなおいしいごはん、広まっちゃったら大変なことになってしまいますもんね。」
「好評で良かったよ。また、食べに来な。」
「チェロンさん、酒場の外までですけどお送りします。」
「チェロンちゃんバイバイ。」
「ありがとうございました。また、明日。」
リナともいつの間にか仲良くなったようだ。
「リナ、友達が出来て良かったな。」
「ん。お兄、ほんとに思ってるの?」
「まぁまぁ、そういうていも大事だぞ。」
「あの女にはいつも通り魔力つけておいたから。」
「あぁ、ありがとな、リナ。」
リナは警戒心が強い。
自分の魔力を相手の身体の中に入れることにより、相手がいまどこにいるのか探知することができる。
極少量の魔力なのでほぼほぼ気づかれることは無いだろう。
ちゃんと依頼もこなしていかないとな。
うちの組織の中で顔が割れているのは、アモンとベリアルだ。
あの二人はいつも一緒に行動している。なのでよく氷炎とか呼ばれている。
今、この王都にいるようだ。
目撃されなければいいのだが。
「お兄、もう寝るね。お腹いっぱい。ごちそうさま。」
「あぁ、ニェールには伝えておくよ。おやすみ。」
俺の部屋から出ていったと同時にニェールが入ってきた。
「もう、おやすみですか?」
「らしいよ。」
「では、私も寝ますね。」
「リナがやったってさ、おやすみ。」
「えぇ、わかりました。では。」
察しが良くて、助かる。
俺も寝るか。
「守護。」
殺気を感じたので、念のためシールドを張ってから寝た。