酒場のマスター
学園から帰り酒場でリナとニェールに会った。
二人だけではなく、そこにはリナとニェールのクラスメイトがいた。
「お兄、おかえり。おそかったね。」
「セナさん、おかえりなさい。」
二人が手を振ってくれた。
そこの間に男が一人。
「あんた、リナちゃんのお兄さんなんだってな。」
「あぁ、それが何か?」
「出来の悪い兄を持ってリナちゃんはかわいそうだなって思ったんだ。」
「それをわざわざ俺に行くのは嫌味か?」
「いや、哀れみだな。ハハハ!」
といって再びリナのとこに戻っていった。
ニェールがこっちに近づいてきて、
「セナさん、こちら私のクラスメイトのチェロンさんよ。」
「よ、よろしくお願いします。」
「そんな、そんなニェールとはただの知り合いですから、お互い仲良くしましょうよ、そんな緊張しないで。」
「あ、ありがとうございます。」
おどおどしているがニェールとは気が合いそうな女の子だ。
「セナさん、お友達は?」
勝ち誇った表情でニェールが俺に聞いてくる。
「友達は作れなかった。作る雰囲気もなかったしな。」
「そう、友達はいいものよ。」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ二人とも。」
軽いじゃれ合いをしてたら、リナの方から瓶の割れる音と怒鳴り声が聞こえてきた。
「お兄、なんか怒っちゃったあの人。」
そういってさっき俺に嫌味を言ってきた男の方を指をさしていった。
それに気づいたのか男がこっちにくる。
「おい、せっかく俺がお前の彼氏になってやるというのに、なんで断るんだ!」
「だって、あんた傲慢できもいんだもん。」
「うぎぎぎぎ!」
これはリナの言ってることが正しいな。
厄介な男もいたもんだ。
「リナに手は出さないでもらいたい。」
「はぁ?Cクラスの分際でAクラスにたてつくなよ!」
「クラスは関係なく家族としてやめてほしいと言ってるだけですが。」
「その喋り方むかつくな!」
酒場でこれだけ大きな声を出しているので周りの客が全員こちらを見てくる。
「酒場で文句を言うのは迷惑ですから、外に行きましょう。」
「逃げるつもりか!?」
埒が明かないので酒場のマスターに言った。
「マスターこいつを黙らしてやってくれ。」
周りの客もマスターが動くのを見て、酒をまた飲み始めた。
手加減してあげろよ、やっちゃえ!!などといった声が聞こえてくる。
「お客様、ルールには従ってほしいのですが。」
「今俺は、こいつらと話してるんだ。邪魔するな!」
そういって右腕を横に振り払いマスターにぶつかった。
ように見えたが、マスターは当たる前に腕をつかんでいた。
当たったと思っていた男は驚き腕を振り下ろそうとしたが腕はがっちりつかまれていてびくともしない。
「ルールに従ってもらいますか?」
「う、うるせえ!」
「ではこうしましょう。」
腕がぷるぷる震え、ぎちぎちと鈍い音が聞こえてきた。
それと同時に怒っていた男は怒鳴り声から悲鳴に代わり、客たちは歓声を上げていた。
ばきっと音を立てて、腕が握りつぶされ、男はあまりの痛さで声が出せなくなっていた。
折れた腕をそのまま掴み、引きずり、酒場から男を放り投げた。
「あなたはしばらく出禁です。さようなら。」
といい、扉を閉めた。
客たちはさらに歓声を上げ、クラスメイトの連れは引きつった顔をしていた。
「お兄、マスターありがと。」
「いえいえ、酒場のルールですから。」
「マスター、ありがとな。」
すたすたと奥に歩いていき、コップを拭き始めた。