より最悪な状況へ
「え、どういうこと...?」
微妙な空気にチェロンがつぶやく。
「お前は馬鹿か!」
「あ?誰が馬鹿だって!?」
アモンの頭をたたくベリアル。
次第に状況が飲み込めてきたのか先生たちはチェロンを抱え、俺たちと距離をとる。
「これはどういうことですか...?セナ君。」
「回答によっては捕まってもらうぞ。」
先生たちは戦闘態勢に入り、チェロンは慌てふためいていた。
「あぁー。たしかに!それは悪いことをしたなお前ら!ハハハッ。」
「だからなぁ.........。」
はい、戦犯。取り返しのつかないとこまで来ました。
「この人たちと面識があったということは君たちは、そっち側ですか。」
「リドウ、これはまずいんじゃないか。呼ぶぞ。」
「お願いします。」
エレザ先生は懐から丸い球を取り出し、そこに魔力を流した。
が、その球、魔法器具は起動せず、何回も魔力を流していた。
「やばい、やばい。つながらない。」
「...これは!ここら一帯にシールドのような何かが張られています。おそらくそれで妨害されているのでしょう。」
流石気づくのが早いな。
「おーい、もういいか?」
「おまえは、黙ってろ!」
外野がうるさいな。
あとでマスターにチクっておこう。
状況が飲み込めたのかチェロンが聞いてきた。
「ど、どういうことですか?セナさん、リナさん、チェロンさん。答えてください!」
短剣を取り出し震えながらこちらに向けている。
「お兄、もういいよね。」
「この馬鹿たちがわるいよなぁ。」
「まさかこんなすぐにばれるとは。試験頑張った意味がないんですけど。」
リナがめんどくさそうに言ったので、もう通常通りでいくことにした。
「セナ君。き、君は誰ですか?」
「リドウ先生、でしたっけ。私たちは今最悪な状況にいます。」
「お互いさまに、ということでしょうか。」
「えぇ、ちなみにこのシールドを張ったのは俺です。」
「そうですか、つまり私たちを裏切ったと。」
「裏切るも何も最初から仲間になったつもりは無いんですがねぇ。」
「私たちはともかく、チェロンさんはかわいそうですが。」
「それはしょうがないんですよ、そっちからこのグループに入りたいと言ってきたんだから。
まぁでもまさかこんなことになるとは思いもよりませんでした。おい、お前らがあの時寝てたせいだろ。あとでチクっとくからな。」
奥の方で胡坐をかいて座り込んでる馬鹿たちに言った。
手を合わせ、ごめーん、と言ってきた。
「まさか、あなたたちも!」
「より最悪にしましょうか。リナ、ニェール、自己紹介してやってくれ。」
「いいの?」
「良いんじゃないですかね。」
リナとニェールは一歩前に出て挨拶をした。
「私は<アフレイド>の『血泉』、リン・ドゥ・ナージ。よろしく。」
「同じく、<アフレイド>の『虚偽』、ニェー・フィ・ルージュ。よろしくお願いします。」
「それで俺は『欠乏』、セン・ドゥ・ナージだ。お互いに最悪だと思うがよろしく。」
この自己紹介に感激したのか、先生たちは膝から崩れ落ちて床に手をついてしまった。
まあ最重要指名手配犯の半分以上がこの小さな空間にいるんだもな。怖いよな。うん。うん。
「で、どうする。俺たちと戦うか、この門の先に行かせるか。選べ。」
「良い友達だと思っていたのに。私を騙した罪、許さない。」
チェロンから迷いが無くなった。
まぁチェロンも何かしらの強者なんだろう。
仲間意識は無い。
戦うなら消すのみ。
「一つ提案良いでしょうか?」
恐る恐るといった表情で手を挙げてきた。
「なんですか。」
「流石に人数不利ちといいますか、せめて人数合わせませんか?」
「それはこのシールド外から人を招き入れるということでいいか?」
「ここの門は学園長の鍵の他にも、開ける方法があります。
それは私たち先生の喉にある鍵石をそこの門の穴にはめることです。」
穴...、確かに5つ開いているな。
「それは結局俺たちと戦うということでいいんだよな。」
「お兄、いいじゃん。骨のあるやつと戦いたかったし、ちょうどいいんじゃない?」
「相変わらずリナさんは...、まぁかく言う私も同じ考えなんですけどね。」
「氷炎、お前らは?」
「あー、今回は俺たちが悪いからな、お前に従うぜ。」
「よし、分かった。ではこの王都で強いやつとこの学園の先生を呼んでこい。それ以外の真似をしたら、この王都を消すぞ。」
「はい。」
俺の消すぞ、という言葉には確かな重みがある。
なんせ、実際に国一つ消したからな。
しかもここには5人。よほどの緊急事態ということがわかるだろう。
「チェロン、おまえはどうしたい。」
「私はあなたたちを元友達として、良い形で殺す。」
そういって先生たちと一緒に外へ出ていった。




