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彼女の父から知らされる

案内された先にあったのは役員専用エレベーターだった。咲希はポッケからカードを取り出しカードを差し込み暗証番号を打っている。役員専用のカードなんか持っていて、いくら当主の娘とはいえ一体咲希は何者なんだよ。


エレベーターが開き、乗り込むと行き先は50階となっていた 登り始めると外側はガラス張りになっており外の世界がどんどん小さくなっていた。ここまで高くなってくるとどうしても、人がまるでゴミのようだと言いたくなる。景色はかなりいい、こんな景色を見ながらする仕事は気持ちがいいだろうな。


トントン「当主様 お連れいたしました 入ってよろしいですか?」


声が聞こえるまで数秒のはずなんだがこの数秒が異様に長く感じた 


「咲希か、入りなさい」静かな低い声だが威圧感とは全く感じさせず落ち着いたの声だった。


ガチャッ 「失礼いたします 当主様ただいま頼まれていた方をお連れいたしました」


「他の者はとくにいないんだ 仕事モードを切っていいんだぞ」


「いえ、誰にいつ見られるかわかりませんし。仕事中は割り切った方が最終的に楽になるので大丈夫です 当主様」


「は〜〜 寂しいな たまにはお父様やパパっていってくれないか?」


「そんな言い方今までもしたことありませんし する予定もありません たまに帰ってきた家の中ではお父さんと呼んでるではありませんか」


俺はなにを見せられてるんだろうか 呼ばれて来てみたら大企業の当主と幼女の痴話喧嘩 帰っていいだろうか?なんか面倒くさくなってきたな


痴話喧嘩もやっと収まったのか。荒れて息を整え服を正し、当主はこちらを見つめる。


「さて済まなかったね。おまたせしてしまって、こちらから呼んだのに申し訳ない」と腰から頭を下げながら、謝罪されてしまった。

 申し訳ない気持ちになり、下がっていた頭を上げてもらうと、恐縮しながらなにを話せばいいか頭から飛んでいた。


「君はどこまで咲希から話をきいて納得してるかな?」


「納得出来てるとこは今のところ一つもなく混乱しているのが現状ですね」俺は素直に答える 変に考えて答えるよりよっぽどマシだと感じたからだ


「時間が許すかぎり君の疑問には答えるよ、まずは私が君を呼んだ理由も話さなくてはならないね。 まず一番の疑問であるだろう君が私の子供だという所から話そうか」


俺は静かに頷き答えを待つ

 

「君のお母さんと私は以前付き合っていて結婚寸前まで話が進んでいたんだ。その時我が社は急成長で忙しい日々を過ごしながらも愛を育んでいた。

 だが会社が成長するにつれて、周りが私達の関係を許してくれなくなっていった。私だけならなんとかなったかもしれないが、その矛先は、次第に彼女にも向いてしまった。

 そんな日々がしばらく続き、私が正式に会社を継ぐことが決まった時、彼女の方から急に別れを告げられ、止める暇もなく関係が終わってしまった。  その後会社を引き継ぎ、仕事も落ち着いてきた時に聞いてしまったんだ」


「社長の前の彼女さん、一般人と社長とでは身分が違いすぎて、社長の足手まといにしかならないから社長な前から消えてくれって、周りの役員から毎日隠れて言われて追い込んで別れさせられたんですって」


「その話を聞き、彼女が急に別れて目の前から消えてしまった理由がわかったんだ。彼女は私の為に、別れたんだと その後私の持てる力を使って彼女を必死に探し見つけた時には事故で亡くなったと分かった。

 私は途方にくれたが何か出来ないかと彼女の母の元に行ってみた」


「彼女の母を訪ねに行った時、私は一度だけ君に会っているんだ。一瞬だったし覚えていなくてもしかたない」


俺は両親が、亡くなってからしばらく塞ぎ込んでいた時期があったからその時の出来事なのかもしれない。


「君の祖母は私に恨み言を言うわけでもなくただ線香をあげてやってほしいと墓前に案内してくれたよ。 

私は、彼女を引き止められず別れてしまい、会社が忙しかったとはいえ何も知ろうとしなかったのに。              

 彼女が実家に帰ってきて、しばらくしてから妊娠がわかったらしい。もし、その時私のとこに来てくれたらなにか変わったのかもしれないと思う時があるがそれは無理なことだ」


きっとその出来た子が俺のことなんだろう、別れた後に妊娠発覚ならしかたないのかもしれない。この様子だと妊娠を本当に知らなかったみたいだし


「その後、君が産まれる前に以前から、君のお母さんに惚れていた君のお父さんがシングルマザーになり大変な目にあうのを見たくないと必死に説得して結婚して君が産まれたそうだ」


「君が18を超えたら産まれのことを説明しようと祖母には話していたらしい。その後どうするかは君次第だと それまでは誇れる両親としての姿を見せてあげようと。

 それなのに、君が18になる前に事故が起きてしまい、祖母と二人になってしまったのだ。それから少しして、祖母から私に連絡がきたのだ。君が私の息子だという話と、私もいつまで一緒にいれるか分からないから、なにかあった時は君を頼みたいと」


なんだよばーちゃん、そんな話一言もしてくれなかったじゃん。今その話を、聞かされてもなにを信じていいか分かんねーよ。でも、この人は、大企業の当主という立場があるのに、俺のことを見ていてくれて今俺を救おうとしてくれているんだ。

 全部をすぐには受け入れられないけど、とりあえずは納得しよう。ここで、信じられないと逃げ出しても、事実は変わらないし、今の俺には頼りになる大人の人が必要なんだ。









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