ジュネが結婚する。。
即位式の当日クロエは衣装に着替えた。
真っ黒な衣装、真っ黒なマント赤いジェノヴァの紋章、真っ黒な髪。
髪はまとめなかった。腰まで伸びた髪は真っ直ぐに下ろし片方だけ耳にかけた。
耳には黒真珠をつけた。
これは戦いだ。
クロエは負ける気は一切ない。
今日は強烈な印象を残せばいい。
敵にも味方にも。
そして万が一のことも考えておいた。
エメスがジュネは娘の婿になったというかもしれない。
ジュネの感情は今のクロエにはわからない。
だけどクロエは思った。
ジュネが自分を愛しているかが大切ではなく、
自分が変わらずジュネを愛しているかだけが大切だと。
だからもしそう言ってクロエを揺さぶってきても耐えられる。
たとえジュネがクロエを愛さなくなったとしてもエメスは敵で,エルメストを攻撃するという事は変えるつもりはない。
先制布告するだけ。
それだけでいい。クロエは目を閉じて決意した。
絶対に負けない。
多くの賓客や国民が城の前の集まった。
クロエはカイル達と一緒に現れた。
クロエの姿を見た全ての人はどよめいた。
想像していたクロエとは全くの別人で、全ての衣装が真っ黒だったからだ。
これは前代未聞だった。
全てに度肝を抜いたのだ。
クロエは表情を変える事なく前に進み司祭から王冠を授かった。
クロエは司祭に一礼をし、賓客と国民の方を振り返った。
そのクロエの優雅で美しく凛とした姿は見ているものすべてを圧倒する力があった。
皇帝の圧という意味だ。
誰もが傅きたくなるほどの孤高な美しさがあった。
シーンとなったその場に聞こえる音はクロエのヒールのコツコツという音のみだった。
クロエは賓客と国民の前で宣言した。
「この命はジェノヴァのために捧げ、皇帝として即位する」
国民は熱狂した。ジュネ以外無理だと思ったこの国の皇帝はジュネと比べても遜色ない強さがあるクロエが即位してくれた。
こんな皇帝は前代未聞、
こんな女帝は二度と現れないだろうと思えるほどの迫力があった。
クロエは招待された国の王達に挨拶を交わした。
意外にも大半はクロエの即位を支持した。
要するに味方になった。
見極めづらい国は脅す事にした。
交易を遮断するだけで良い国が多数、攻撃した方がいい国も二、三、この数ヶ月以内に決着をつける。
交易はすぐに指示した。彼らが国に帰る前に手打てば恐らくすぐに会ってほしいと要求するはずだ。
卑怯と言われようが構わない。
やる事をやらないと死んでしまいたくなる。
クロエには時間がないのだ。
「お久しぶりですなクロエ女帝」
殺したいほど憎いエメスだ。
「エメス様大変申し訳ございませんが女帝ではなく皇帝とお呼びください。女帝と呼ばれたくありません。」
クロエは先制した。
主導権は渡すつもりはない。
エメスは小馬鹿にしていた女が短期間にこんなに変貌するとは思わなかった。
その迫力にのまれた。
「これは失礼,皇帝陛下」
クロエは何も答えない。
エメスは突然言った。
「我が娘に婿が来てな、まあ誰かはご存じだと思いますがな!」
「作用でしたか、それはお祝いを申し上げますわ。」
クロエは顔色一つ変えずに言った。
近くにいたカイル達やブレーズは動揺したがクロエは一切変わらなかった。
しかしエメスは動揺したカイル達を見て
「おや?皆さん動揺されているようですが皇帝は動揺されないのですか?」と嬉しそうに言った。
クロエは表情を変えず
「動揺?何に動揺すればよろしいの?私は宝物を奪われた無礼をいつまでも許すほど器は大きくございませんのよ。ご存じ?」
クロエの言葉にエメスは動揺してしまった。
まさかクロエがそんな事を堂々というとは全く思っても見なかった。
それを見たクロエは冷たい視線で
「あら?エメス様、何か動揺なさる事ございましたか?私だけですね。何も動揺してない人間はフフフ、。失礼」
クロエはエメスに笑顔を見せて去って行った。
カイルやブレーズは慌ててクロエについて行った。
側近でさえ驚くほどクロエは変わった。
カイルは面白くなったと思った。
世界の地図が変わる。
確信をした。
ブレーズもクロエがこんなに頼りになる皇帝だとおもってもみなかった。
逆に守られたと感じた。
その様子を見ていた各国の王も貴族もクロエについてゆく事を決めたのだ。
明確に敵と味方が分かれた。
今日の即位式の目的は達成した。




