いつか殺す
皇帝のジュネはクロエをエスコートし、会場の王や貴族達は二人のまるで絵画から出てきたような二人にため息が出た。
前回のクロエを知っている人達は前回のクロエと今回のクロエが全くの別人に思えた。
前回の儚げなクロエは強い女性として変貌し媚びない色気があった。
こんな面があったのか!とおどろきを隠せない。
カイルとジュリアの姿を見た令嬢達はお察しし、泣き出す始末、ジュリアファンの男性諸君は「俺たちを捨てないで!」とさけんでいた。
波乱の幕開けだ。
ジュネはクロエの腰を抱いて各国の要人と挨拶を交わしていた。
クロエは扇子を顔に当てて目だけで表情を作って挨拶をしていた。
これは一つの手段で表情を読まれたく無い時に使っている。
ジュネの隣に立ち初めて会う人々はどんな思惑があるのかわからない。
だからクロエは警戒している。
けれどそれが逆にクロエの美しさを倍増しにしていた。
その扇子の奥のクロエを見てみたい,そんな王や貴族はグイグイと来るがジュネがクロエを絶対に離さなかった。
「これは俺のものだから」という態度だ。
またその傲慢さがかっこよく思えるジュネはすごい人だ。
ジュネは真っ黒な皇帝の服に真っ赤なマントを羽織り、肩下まで伸びた髪をオールバックにして美しく麗しい顔を出している。
妖しく光る金の瞳がどこか背徳的な雰囲気を醸し出しその腕の中には美しくカッコいいクロエがいる。
こんなに絵になる二人はいないのでとにかく近くで二人をみたい人達で混雑していた。
クロエはジュネにそっと言った。
「ジュネ、今日は人が多いのね」
ジュネはクロエの耳にくちびるを近づけて「クロエ、愛してる」と答えた。
クロエは突然ジュネがそんな事を言うなんてとおかしくなって「フフフ」と笑った。
そんなクロエを見てジュネは「今日は最後までいられるといいな」とまた冗談を言った。
クロエはジュネの方を向いて「そう願いたいです」と言った。
ジュネはそんなクロエが可愛くなってクロエを抱き寄せ人前なんて全く気にせずクロエの首筋にキスをした。
クロエは驚いてジュネを見た。
「クロエ俺はお前しか見てないんだ」
「本当にめちゃくちゃな皇帝ね」
ジュネはクロエの額に自分の額をつけて二人で笑った。
その様子を見ている人達はまるで物語を見ているような気分になってうっとりとした。
西の大国エメス王が現れた。
「エメス王、本日は遠くからお越しくださりありがとう」ジュネはエメスに挨拶をした。
クロエもカーテシーをした。
この王は厄介。
直感でそう思いスッと引いて一歩ジュネの後ろに下がった。
「皇帝、このまま西に来るかと思ったよ。そんな勢いだな」エメスはいきなりそんな事をジュネに言った。
側近達は皆警戒した。
「ああ、うっかり行きそうだったな。危なかった」やっぱりジュネはジュネなんだ。
クロエは扇子で顔を隠していたが笑ってしまいそうになった。
「ところで、そちらのクロエ様とはご結婚をされておるのかな?」いきなり話が変わった。
何が言いたいんだろう?
「いや?」ジュネが答えた。
「では是非我が国の姫を正室にお迎えいただきたいですな。」
やはりこのエメスは厄介。
クロエは目の前でこんな事を言われるとは思ってみなかったので新鮮に驚いた
。ある意味あっぱれだと思い笑ってしまった。
「ふふふ」
「おや、クロエ様にとって面白いお話でしたかな?」
エメスはクロエに聞いた。さて,どう答えようと思っていたらいきなりジュネがクロエを抱き寄せ、クロエの腕のリボンをスルスルと外した。
先日の血の誓いの傷が現れた。
そして自分の腕をまくり包帯をとり
「俺たちは血の誓いを結んだから結婚なんて意味がないな」と言ってエメスに二人の傷を見せた。
「ち、血の誓いだって?!」
「ああ、絶対的な誓いをクロエとしたから他の誰かと結婚は無理だな」
ジュネは表情を変えず言った。
「いらぬ世話だ」
エメスは衝撃を受けた。
いやこの会場の全員は驚いた。
ジュネは心底クロエを愛していると見せつけられたのだ。
ジュネはクロエを後ろから抱きしめてクロエの手の傷にキスをした。
クロエはジュネが言いたいことを、言いたいこと以上を言ってくれたので嬉しかった。
後ろにいるジュネの頬をさわり少し背伸びしてジュネに「ジュネ、ありがとう」と言った。
ジュネはクロエが嬉しそうに言ってくれたことが嬉しかった。
そしてあのエメスいつか殺す。
ジュネはそう決心した
ジュネはクロエを連れてテラスに移動した。
あの鬱陶しいエメスのいる場所にクロエを置いておきたくなかった。
クロエはジュネと手を繋いでテラスに入った。
ジュネはクロエを抱き上げそのままソファーに腰掛けた。
クロエはジュネの胸の中にいる。
ジュネの胸に頬をつけてそっと目を閉じた。
「ジュネ、こんなに幸せでいいのかな」クロエはジュネに聞いた。
「クロエがそう思ってくれるなら嬉しいな」
ジュネはクロエに長いキスをした。
「愛しているクロエ」ジュネの優しい囁きはクロエをさらに幸せにした。




