想いを封印
ジュネは昨晩見た人物がミラベルの女王だった事に驚いた。
悲しそうに涙をこぼす姿を見てジュネは時が止まったように感じた。
あの涙を止めたいと思った。
ジュネに気がついた女王は一瞬驚いた顔をして少し目を閉じて指で涙を拭きジュネに会釈して去っていった。
あの美しさにジュネは心奪われた。
まさか翌日に会うとは思っていなかった。
なぜ昨日城にいたのか、、。
ジュリア達の様子も気になった。
そしてあの言葉。女王はいつでも微笑みを絶やさない。ジュネは彼女の涙を、悲しそうな顔を見た。
心が抉られるような気持ちになった。
ジュネはあれからずっと女王の事を考えていた。
今日女王が城に入城して来た時、女王の美しさに驚いた。
昨日とは全くの別人で常に微笑みを絶やさず品があり、全てが完璧で目を逸らすことができないほど女王を見つめていた。
ジュネは自分の感情に驚いていた。
夜クロエはブレーズにエスコートされた宴に参加した。
クロエのドレスは濃紺のドレスだった。
薄いレースが動くたびにサラサラと揺れクロエの美しさをさらに強調させていた。
ジュネはクロエのところに行き挨拶をした。
クロエはまさかジュネがわざわざクロエの所に来るとは思っていなかったので驚いた。
ジュネはクロエに言った。
「クロエ女王、少し話をしたいのだがよろしいでしょうか?」
クロエは内心戸惑っていたがニッコリと微笑みジュネの手に手を乗せてエスコートされジュネとテラスに移動した。
それをブレーズとジュリア達はハラハラしながら見守った。
ジュネはクロエにソファーをすすめクロエの隣に座った。
ジュネはクロエを見つめている。
クロエはジュネを見た。
ジュネは以前と同じ優しい瞳でクロエに微笑みかけた。
クロエはジュネを見て泣いてしまった。
ハッと我にかえりクロエは顔を背け涙を拭きジュネにむかって微笑み
「失礼しました」と謝った。
ジュネはいきなりクロエを抱きしめた。
クロエは驚いたがジュネに抱かれまた泣いてしまった。
ジュネは泣き続けるクロエを抱きしめていた。
クロエは言った
「どうして?」
ジュネは答えた。
「わからない。だけどあなたを放っておけない。」
クロエはそれだけで充分だと思った。
たとえこの先ずっと思い出してもらえなかったとしてもこの言葉だけで生きて行ける。
クロエは言った「無事国交がなされて気が緩んでしまったようで、もう大丈夫です。ありがとうございました。」
クロエはジュネの腕からそっと離れジュネに微笑んで言った。
ジュネは何も言わなかった。
クロエはジュネに聞いた。
「
陛下はこの大きな国で一番大切になさっていることはなんでしょうか?」ジュネは答えた。
「国は形でしかない。国は人が作っている。人こそ一番の宝だと思っている」クロエは頷いた。
ジュネは変わらない。
きっとずっとジュネは自分が好きなジュネのままだと。
クロエは自分が女王になってジュネ伝えたかった事を飲み込んだ。
もう言う事は無いだろう。
「陛下、私たちがここにいたら皆心配いたしますわ!会場に戻って一曲踊りませんか?」クロエは笑顔でジュネに手を差し伸べた。
ジュネはニッコリと微笑んでクロエの手を掴んで
「エスコートは私の役目ですよ」と言ってクロエの手にキスをした。
二人は笑顔でテラスを出た。
皆の心配した顔を見てクロエは笑顔で大丈夫だと答えた。
その夜はクロエにとって忘れられない夜となった。
翌日ジェノバを発つ朝、ジュリアはクロエを抱きしめて手紙をくれた。
クロエはジュリアに頷き再会を約束した。
見送りに来たジュネにクロエは笑顔で言った。
「陛下本当にありがとうございました。さよなら」
クロエはジュネへの想いを封印した。




