好きを探す旅
週に一度の練習日が来た。
ジュネに好きが一つ見つかった話をした。
「クロエはそう考えたんだな、さすが女王やってただけあるな」と褒めてくれた。
ジュネに誉めてもらえて嬉しい。。
「陛下に褒めて頂けて嬉しいです」と伝えると、
「嬉しいも増えて来たな」といって微笑んだ。
そんなジュネを見てクロエは胸が苦しくなった。それに顔も赤くなった。
嬉しいような苦しいような不思議な感覚だった。
そんなクロエを見てジュネはクロエの手を握った。
クロエは驚きジュネの顔を見つめたが耳まで赤くなった自分が恥ずかしくなり下を向いた。
少し時間が過ぎ、気持ちが落ち着いたクロエはジュネに話したいことがあったので勇気を出してジュネを見つめて話かけた。
「陛下、一年だけお暇を頂けませんでしょうか?」クロエはジュネを真っ直ぐに見つめ言った。
「一年?どこに行く?」ジュネは驚きながらクロエに聞いた。
「私はいかに世間知らずで見ること感じる事を無くした人間だとよく分かりました。陛下に好きを探せと言われ、探しているうちに気がつきました、私は世の中を人の営みををしらなさすぎると。だから少し旅をしたいのです。」
ジュネは考えていた。
クロエに近くにいて欲しい。
裏表のないクロエはジュネの性格に合っていたので手放すのは躊躇する。
それにクロエに対する特別な感情もあった。
だけどジュネは変わろうとするクロエを応援したい気持ちがある。
「よし、わかった。クロエ、お前に暇をやる。一年丁度だ。その代わり月に一度手紙を書け、いいな」
ジュネはクロエを送り出す事にした。
「陛下、感謝いたします。一年後に必ず戻ってまいります。お約束致します」
ジュネは立ってクロエに手を差し伸べた。
クロエはジュネの手にそっと自分の手を乗せた。
ジュネはクロエをテラスにエスコートした。
テラスからは満天の星が輝いていた。
遠くから波の音も聞こえて来る。
クロエはこのテラスは夜入ることが無かったので毎日ジュネはここで女性達と愛を語り合っているんだと思った。
とてもロマンチックで素敵な空間だった。
空を見た時に流れ星が見えた。
「あ、流れ星が」と言って願い事をする。
ジュネが「何を願った?」とクロエに聞いた。
「……女王だった時は早く違う世界に行きたいと願っていました。今は陛下の事を願いました」
ジュネは驚いた。
「俺の事?なに?」
「私がいない間の陛下の健康と、遊びは程々に夜はちゃんと眠って下さるように願いました」
「クロエ、お前は自分の事は願わなかったのか?」
クロエは素直に言った。
「一瞬のことでしたので自分の事は忘れておりました」
ジュネはクロエを抱きしめた。
「クロエ、こんな愛の告白をされたのは初めてだぞ」
クロエは意味がわからなかった。
そんなクロエをみてジュネは
「この意味がわかるまで帰ってくるな」
そう言ってクロエを強く抱きしめた。
クロエはそっとジュネの体に手を回しジュネを初めて抱きしめた。
数日後、ジュネ,ジュリア、エメ,カイル、セリーヌに旅に出る前の挨拶をした。
「ちょっとジュネ、なんで許したの?、」
ジュリアはクロエを可愛がっていたので不服そうだが、一年で戻るという約束に安心してくれた。
エメとカイルは
「女王、鞭はジュネ以外使うなよ」といって爆笑していた。
「陛下はそのような趣味はないようです」
と真面目に返事をしたら笑い転げて「寂しいな」と言ってくれた。
セリーヌは「ジュネの女遊びがさらに激しくなりそうだから早く帰って来てね」とハグをしてくれた。
クロエはジュネに
「陛下、お遊びは結構ですが、裸で歩き回らぬようになさって下さいください。目のやり場に困っておりましたから」と言って最後の注意をジュネにした。
ジュネは「女王は平気そうな顔していたから気にしないと思っていたが、やっぱ女王たるやすごいな!!隠れて見ておったか!!」と喜んでいた。
「クロエ、俺たちはまだ足を止めるつもりはない。お前が帰ってきたらさらに大国になっているぞ、楽しみにしておれよ」
そう言ってクロエをハグし、自分の首にかかっていたネックレスを外しクロエにつけてくれた。
「陛下、これは?」
「万が一お前に何かあった時これを見たものがお前を助けてくれる。肌身離さず持っておけ」
クロエは目頭が熱くなった。
ジュネと離れたく無いと思ってしまった、、
「陛下、本当にありがとうございます。身に余る光栄でございます。必ず肌身離さず持っております。そして私の手で陛下にお返し致します」
クロエはジュネにカーテシーをし、旅立っていった。
「ジュネあれ皇帝の権限を与えるネックレスでしょ?大丈夫?」ジュリアが言った。
「クロエはちゃんと己をわかっている。俺はクロエを信じているからクロエの心配はするけどその他の心配はしていない」と言った。
ジュネはクロエが帰るまでに国をさらに大きくするための準備をはじめた。