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苦手な方はご注意ください。

大動乱角砂糖戦記

作者: SF42

大動乱角砂糖戦記



一、

「また会おう!」

「元気でな!」



今日も行ってしまったか…

一日に一人ずつ…

旅立ってしまう。


俺らはみんなガラスで出来た

部屋に閉じ込められている。


しかし、一日に一回、朝に

天井が開き、

仲間が巨大なトングのようなもので掴まれて行ってしまう。


えっと…自己紹介?


俺はカクザ。

ヤクザみたいとか思ったそこのお前、覚悟しとけ。

イントネーションは

クが1番強い。

↘︎ ↗︎ ↘︎

カクザだ。

髪色は白。

肌も白。

黒目の色も白っぽい。

うん。体の全てのパーツが白色だと考えてもらっていい。

俺の仲間もそうだ。

・・・。

ったく、クソみたいな人生だぜ!

ここから出られないなんてな。

・・・。


つまらん…

なんだろう…圧倒的…

退屈!


ガラスも磨りガラスだし…

周りの景色もクソもねえ。

ガラス張りならもっとロケーション売りにしろよ。





そんな退屈極まりない日々を

過ごしていたが…

ある時!事件は起こった!



ドガァァァァァァァァ!



「ウワァァァァ!」


俺たちは訳もわからず

重力が逆転したかのように

四方八方に吹き飛ばされる。






バリィィィィィィィィン!



「ぅ、ぅぅぅぅ…」


ガラスが…割れた?



ガヤガヤガヤガヤ…


地面は木材でできていて、

太い木製の柱が近くにある。


「みんな!大丈夫か!」

「あぁ、カクザ。

みんな無事だよ。」


閉じ込められていた

25人の無事が確認された。


「カクザ…どうする?」


俺がリーダー格なのには訳があって、

一度だけトングもどきに連れ去られそうになった仲間を助けたことがあるからだ。

それ以来みんな俺を

慕ってくれている。

ちなみに俺と今話しているのは

トーウという古参メンバーだ。


「ひとまず…安全を確保しよう。

ここは広すぎて周りから何が来るか…」

「とりあえず柱の近くとかどうだ?」

「そうだな。」










二、


「カクザ…眠い…」

「なら、交代で見張りだ。

俺が最初に見張るよ。」







2時間ほど経ったか?

「トーウ。見張り、変わってくれないか?」

「おっけ!」









「カクザ!起きろ!」

「どうした!」

「なんか、影が近づいてきます!」

「ん?なんだありゃ。」


距離から見るに俺ら同じくらいの大きさか。

そして、数も増えている。

推定十数体。


「みんな!起きろ!

影が近づいてきている。

十分に警戒しろ!」

「わかった!」





影の正体がわかった。

蟻だ。

俺らの天敵。


「あれが…蟻!」

「仲間が何人もやられたやつじゃねーか!

あんなにたくさん…」


まずい…


俺たち【角砂糖】は蟻にとっては餌以外の何者でもない。



「どうするカクザ!」

「みんな…

全滅を避けるには…

散らばって逃げるしかない!」

「カクザ…わかった!

健闘を祈る!」


25人(個)、散らばって逃走。





はぁ…

うまく撒けたようだ。


それはそうと…

なんか武器が欲しいな…


みんな無事かな…



なんか落ちてんな。

黒い…筒のような…

まあいい、ちょうど剣くらいの

長さだ。

護身には使える。

持つと手が黒くなるのは

難点だな。




キシィィィィ…


ん?


振り返ると蟻がいた。


まずい。


逃げ切れるか?

一か八か走り出した。



蟻の足は俺よりも速い…


戦うしかないのか?


俺は黒い筒を構える。


「来るな!」


シィィィィ…


「てぃやぁぁぁぁ!」


ドガッ!

ダガッ!

バシッ!



はぁ…


蟻を…倒した?

やったァァァ!


みんなにも教えてやろう。

蟻の倒し方!


①、棒を構える。

②、頭を滅多撃ち。

③、離れる。


どうだ。

完璧なマニュアルだ。


24人の仲間たちにも

教えてやらねば。











三、

どれくらい歩いただろう。

道中蟻を何匹か倒していったが…

一向に景色が変わらん。


木目の向きが変わっていないのでクルクル同じところを歩いているわけではないと思うが…


お?


なんか小高い場所があるぞ?

登るしかねーな!



よっとな。


うわぁ!

すげー!



目の前には草原が広がっていた。

綺麗だ!

見たことないものばっかり!


突っ切ってみるか!





まぁ、

あんまり何もなかったんで

省略するが…


どうやら俺たちがいた場所は

屋内だったようだ。

ボロい離れのような場所。


んで、

主屋に着いたんだが、

入る場所を探しているとこだ。




お!

排水溝だ!

こっから中に入れるかな。




スタッ!


よし。

中に水はない。


ここから中のシンクにでも

繋がってる場所を探そう。



ザァァァァァァァ……



水の音?

行ってみよう。



あー。

下水道に繋がってんだな。


こっちはダメだ。


なら…

あっちに行ってみよう。







上に穴を見つけた。


シンクじゃね?


頑張って登るか。

にしても…

どうするか…


壁伝い?


仕方ない…








はぁ…

まだ半分か…

壁長い…


幸いここには蟻が出没しないので邪魔されることはないが…

休憩できない…


登り続けよう…

壁を登ろう!


レッツクライムウォール!


壁がある。

だから登る!


前進(上進)あるのみ!

壁登り、壁登り!


・・・。


まだ3分の2…


我壁登る、故に我あり笑!


壁登っていこーう!

登っていこーう!


壁、壁登ーれー!

ウォールクライムマン参上!






着いた!


ハァ…ハァ…

死ぬかと思った。

(思ってないけど)



予想通りシンクだな。

さぁ…どうやってシンクを登ろうか。

ツルツルしてるから

さっきのようにはいかないぞ。



「あのー!どちら様?」


誰だ!


「俺はカクザ。角砂糖だ。」

「そこは危険です。

こちらへどうぞ!」


そう言って声の主は

紐を垂らした。


「それを伝ってこちらへ!」

「感謝する!」





すっすっ…


「えっと…角砂糖のカクザさんでしたっけ?

ようこそ!

私はシーナ・モンシュ。

レストラン

[チョウミー・リョーウ]へ!

その中でも、

ここはシューガノランド!

砂糖の国です!」

「砂糖の国?」

「えぇ、

クイーン・シューガノ様が

治めております。」

「クイーン・シューガノ?」

「あなたも砂糖ですので、

招待します!

ついてきてください!」




ついていくと、

なんか…なんだ?

棚があって、その中が

部屋のようになっている。


「ここが

シューガノランドです!

チョウミー・リョーウの

五大勢力のうちの一つです。」

「五大勢力?」

「そう。

シューガノランド、

ソルーティア、

ヴィーネガ、

ソイーソス、

ソミランド、

の五つの国です。」

「そうか…」



「クイーン・シューガノ様!」

「あーら!シーナちゃん!

お帰り。

その人は…?」

「角砂糖のカクザだ!」

「カクザさんですか。

どこからお越しになられたの?」

「知らん。離れのようなところだ!」

「何故ここに?」

「俺たちのいたガラスの部屋が地面に落ちて砕けた!

蟻に襲われて逃げてきた!

仲間がいたんだが…

24人だ。

探している。協力してくれないか?」

「んー。手伝ってあげてもいいわ。でも〜。

それ相応の実力を見せてもらわないと…

来て!」


「お呼びでしょうか。」


なんだ!明らかに強そうな

男が現れたぞ!


「彼はコクウト。

この国の舞台の隊長よ。

彼に膝をつかせなさい。

それができたらあなたに

協力してあげる。」

「望むところだ!」


「シーナちゃん。

審判は任せたわ。」

「はい。」







「これより!

シューガノデュエルを

始める!

正規ルールは

どちらかが戦闘不能になるまで。

今回は特別ルール。

カクザが戦闘不能になるか、

コクウトが膝を付くまで!

両者!位置につけ!」


シーナが豹変した。


「カクザと言ったか?

お前は俺の膝を付かせることができると本気で思っているのか?」

「…仲間を探すためだ!」



「ルェディィ!

ギォォォウ!

(訳:レディ ゴー!)」



「ぬぉぉぉ!」


タッタッタッタッタ…


「突撃が単調だな!カクザ!」


ドン!


「クファッ!」


俺の突撃は虚しく、

コクウトの棒による打撃が

俺の腹に直撃する。



「まだだ!」


タッタッタッタッタ…


「同じ手か?」


ドン!


「グァァァァァァァ!」


ハァ…ハァ…


残念ながら、

俺には突撃することしか能がない。

すなわち、対人戦が

ゴミだということだ!


どうする…

考えろ…

俺は仮にも主人公だ…

考えればきっと打開できる…

あーーー…

んーーー…



あっ!



「おい!コクウトと言ったな!

今度はお前の番だ!」

「何がだ!ずっと俺が攻撃していたぞ!」

「お前がこっち来いってことだ。

察しろよ!」

「なんだ?角砂糖の分際で、

[黒糖]に勝てると思ってんのか?上等だ。

俺が突撃するまで!」


タッタッタッタッタ…


「終わらせてやる!

角砂糖!」

「来い!」


ヒュン!


コクウトの棒が来る。


だがしかーし!

俺は小さい!


頭を下げればぶつかりません〜♪


手を横に〜♪

(カクザが棒を横一文字に振る。)


ヒュン!

ドン!

(カクザの棒がコクウトにヒット。)


あら危ない♪!

(反撃されそう。)


頭を下げれば大丈夫〜♪

(しゃがんで避ける。)


「おう?」

反撃は俺の上を飛び越え、

コクウトが転倒。


膝は突いた笑笑


「俺の勝ちでいいんだよな?」


まさか毎朝謎に聴こえてくる

アルゴリズム体操が役に立つとは。

(カクザのいたところの近くにはテレビがあった。)


「くっ…俺の負けだ。」













四、

「あら!あなた勝ったのね。

いいわ。約束だから協力してあげる。

あなたの仲間がいるかもしれない場所なら知ってるわ。」

「一体…どこなんだ!」

「ヴィーネガよ。」

「五大勢力の一つだな?」

「その通りよ。

最近奴らは我々と

仲が悪くてね…

何故かって?」

「聞いてないが…」

「それはね…

改造生物MRNの材料に

我ら砂糖を用いているからよ!

しかも、悲しいことに、

国境付近を警備していた者たちを拉致しているの…シクシク…」

「なに?そんな下劣なことをしているのか!」

「もしもあなたのお仲間が

ヴィーネガ付近に行ってしまったら…」

「捕まっているかもしれない!

それはまずいぞ!」

「そう…私たちもヴィーネガには相当恨みがある…

この際全面戦争を仕掛けようかしら。

早速議会を開きます!ちょっと待っててね。」

そう言ってクイーン・シューガノは奥の扉に入っていった。




30分後…


「待たせたわねカクザ君。」

「結果は…?」

「議会の結果…」

「ゴクリ…」

「我らシューガノランドは…」

「…」

「ヴィーネガに攻め入り…」

「攻め入り…?」

「ま…」

「溜めんなよ。早く言え!」

「す!」

「さっさと言えや。

読者も望んでないぞ?そんな溜め。」


ごちゃついたが、

シューガノランドは

ヴィーネガと戦争することになった。


「エギーユレットル、放て!」


針でできた矢文だ。

「おい、シューガノ!

これは何をしているんだ?」

「宣戦布告よ。

宣戦しないと戦争ではないから。これを事変にはしたくないの。」

「そうか…」


「それはそうと…

あなたに武器を授けよう。

その黒い筒…シャー芯よね?」

「これシャー芯っていうのか。

知らなかった。」


「シャー芯も悪くないんだけど、折れやすいのよね…

だから!

だから私は!

これを授けよーう!

テッテレー!

聖槍ツーマ・ヨージー!」

「聖槍…

ツーマ・ヨージー…だって⁈」

「心の清きものにしか持てないという伝説の槍…

さぁ、その穴から取り出すが良い!」


ズズズズズ…


ピカァァァァァ!


「こっ、これは…!」

「それこそ、伝説の槍よ!

あなたは清き心を持っているのね!」

「爪楊枝じゃないか!」

「そうよ!それを世では

爪楊枝と呼ぶわ!」


「心強ぇぇや!

んなわけあるか!

たしかにこのシャー芯よりは

強度高いけど、

高いけども、

なんか想像してたのと違う!」


「想像に惑わされるな!」

「申し訳ない!」




ヒュン!


ストッ!


「ヴィーネガからだわ。」

『宣戦を受けてやる。

全面戦争と行こうではないか!』

「相手も本気ってわけか…」

「では全軍!出撃よ!」


ザッザッザッザッ…


鎧を着た兵士たちが進軍していく。

「カクザ君!あなたは

私と一緒に馬車で行くわよ!」

「えぇ…」

「文句でもあるの?」

「なんで馬車…馬に乗りたかった。」

「あなた馬乗れないでしょ。」

「あぁ。乗ったことはない!」

「じゃあ来なさい!」



道中鎧を渡されたが、

動きづらいので

肩のやつを右肩に着て、腰のやつだけ着た。

まぁ、多少は防御に役立つだろうし。

何より腰のやつは

シャー芯を刺しておくことができるからもらった。




「ヴィーネガの軍勢よ!」



相手もなかなか数が多い。


「カクザ君、あなたは

ヴィーネガの本土に行ってお仲間を探してきなさい!」

「わかった!感謝する。」










戦場の裏を回って

ヴィーネガ本土へ向かう。


警備はかなり手薄で、

爪楊枝で強行突破できた。



城内に地下牢的なものでも

あるのがお約束な気がするので、棚のような城に侵入していく!



うわっ…

なんか気味が悪い生物が

ボトルの中に詰められている。


これが…

改造生物MRN…?


「みんな?いるのか?

いるなら返事しろ!」



「カ、ク、ザァァァァァァァ?

どぉこぉぉぉ?」


おいおいマジかよ…











五、

ボトルに詰まっているのよりも

はるかに大きい

MRNが現れた。


しかも俺の名前を…

知っている…



「なぜ…俺の名前を…?」

「カクザァァァ!

いるのかァァァァ?」


まさか…トーウ?

いや…嘘…え?

そんなはずは…


「トーウ…なのか?」

「カク、ザァ?

ソォォウ!せぃかい!」




「オホホホホ!

君は角砂糖だね?」

「誰だ!」


奥から誰か出てきた。


「私はサミーコ・バル。

ここの研究所長だ。

どうだ!私たちの研究の

成果は。

作り方を教えてやろう。

まずは、

酢の民の体を元にして

その周りに砂糖の民を

並べて、

バトゥー(泡立て器)の中に詰める。

そして、できた液体に、

酢の民の脳をいれ、

固まるのを待つだけ。

今回のは角砂糖を

用いたので、脳が混ざり切らなかったんだ。

なので、意識混濁を起こしている。」


なんてことだ!

こんな非人道的な実験が

行われているなんて…



「許さないぞ!

仲間を返せ!」

「そう言われて返すと思いますか?MRN!やってしまえ!」


プシュゥゥゥゥ…


ボトルが開いた!


大量のMRNが

中から溢れ出てくる。


囲まれた…


「オホホホ!

MRN一体でも破るのは容易ではないというのに、

この数だ!お前に勝ち目はない!」

「クソったれが!」


俺はまともに戦闘はしたことはないし、

ましては初のまともな戦闘が

形が不安定な元仲間が

混じった改造生物だなんて、

精神的にもやばい…



とりあえず…


薙ぎ払え!


爪楊枝のリーチを活かして

周りのMRNたちを

薙ぎ払う。


しかし、

何回やっても

MRNは倒れやしない。


「オホホホ!

どうですか?

とても高い耐久力を

持っているのですよ。」

「クソ…どうやったら倒せる!

教えろ!」

「それはだね!

中心部付近の…

言うとでもおもったか?」

「言えよ。

フェアじゃないな。」

「勝てばいいのです。」


あいつを殴った方が早いか?


爪楊枝を棒にして、

棒高跳びをする。


ピョーーン!


クルクルクル…


ビターーーン!


「オホ?」


見事、脳天に命中笑笑


「なんだと!…バタッ」


やったぜ!





どうやら、

MRNたちを操っていたのは

サミーコだったようだ。


ドロドロドロ…

MRNたちが溶けていく…


液体になってしまった…


ウニョウニョウニョ!


ん?


「カクザ!ありがとな!」


「トーウ…なのか?」

「おう!」


なんと溶けた跡から

トーウが蘇った。

他の仲間たちも。


「カクザすげぇよ!

俺らで抵抗しても勝てなかったのに。」

「だって…武器持ってたし…」

「でもな…

まだここにいるのは全員じゃない。15人しかいないんだ。」

「じゃあ残りの9人は…」


トーウは首を傾げた。


「探そう。」

「カクザ、わかった!

俺たちも手伝うぜ!」




「…で、シューガノとかいうのに手伝ってもらってここにきたんだが…

城内で仲間を助けたら、

弾薬庫があるはずだから、

全部爆発させろって

言われてんだ。」


そう。

仮にもこれは戦争だ。

シューガノも本気なんだ。

借りた恩は返さねぇとな。



「カクザ!弾薬庫、あった!」

「よし!今行く!」



中には大量のアルコール。


シューガノから貰った

マッチの先端!



着火!

「みんな!離れろ!」


ゴスッ!


ブウォォォォ!


ドガーーーーーーーーン!




思った以上の威力だ。

充分に離れたつもりなんだが、

軽く吹き飛ばされてしまった。


「トーウ!みんな!無事か?」

「うん。無事だよ。」


「みんな!着いてこい!

シューガノランドに帰るぞ!」

「なにそれ。」

「砂糖の…王国…」

「マジか、そんなのあるんだ。」






しかし、戦場では

シューガノの勢力が

劣勢だった。


「みんな。聞いてくれ!

あの人たちは俺が

みんなを探すために

ヴィーネガに戦争を仕掛けてくれた。

今度は俺たちが恩返しする番だ!手伝ってはくれないか?」

「助けてもらったんだ!

できることはなんでもする!」

「ありがとう。」




今俺たちは

敵の背後にいる。

つぅ、まぁ、りぃ!

奇襲ができるわけだ。


しかし、

今俺たちはたったの16人。

しかも戦闘経験ほぼゼロ。

何ができる?

考えろ…

考えるんだ…

(あれ?さっきも…)


あ!

たしか、ヴィーネガ城に

火をつけた。

その火を持ってきて背後から焼き討ち!

完璧じゃないか。


「みんな!そこら辺から

燃えるものを探せ!

相手を背後から焼く!」

「わかった!」



落ちていたキッチンペーパーを

千切り、みんなで火を持ってくる。



「よし、本日 2度目の…着火!」



ボォォォォォォ!


奴らは酢。

燃えにくいが、

効果はあるはず。



「ギャァァァァ!」

「熱い!」

「助けて!」


聞いてていい気はしないが、

これも仲間を改造したり…

シューガノ勢力を

劣勢に陥れた奴らに

報いるため…














六、

放火が効果を表し、

シューガノ勢力は

見事に勝利。


「カクザ君。

あなたのおかげで勝利できた。

どう?シューガノランドの

兵士にならない?」

「兵士?」

「そう。あなたは

戦闘センスがないくせして

何故か勝利をおさめている。

しかも特に頼んでない余計なことをしてみんなを救った。

我々を勝利に導いたあなたのお節介には感謝しているわ。」

「それ…褒めてるのか?

それとも単に侮辱しているのか?」

「どっちもよ。」


うぜぇぇぇぇ!


「兵士って何すんだよ。

こき使うつもりか?」

「えぇ。そうよ。

あなたにはこの国のために

命を捧げてもらうわ。」

「んなもんならねーよ。」

「もちろん平兵士からとは

言わないわ。

そこそこの立場から始めさせてあげる。」

「そこそこってなんだよ。

不満しかないね。

俺はやらない。

大体お前超ムカつくんだよ。

女王だからって図に乗るな。」

「なんてことを…

無礼なあなたには罰を与えるわ。

1週間通風口門番の刑よ。」


なんだそれは…


「待ってくださいシューガノ様。

彼は私たちを救ってくれたのですよ?」

シーナが言う。


「シーナちゃん。

あなたまで私に歯向かうの?」

「そんなつもりじゃないですけど…」

「いいわ。あなたも

カクザ君と一緒に

通風口門番の刑よ。」

「シューガノ様…?

ご乱心ですか?」

「なんたる無礼!

早くつまみ出しなさい!」








「ウェェェェン!シクシク…」

「おい。泣くなって。」


俺はシーナと共に

通風口門番の刑とやらに

処されることになった。


「シーナ。泣いてるとこ悪いが…通風口門番の刑って?」

「…通風口からは…ヒック…

危険な獣が出てきます…ヒック…

蟻だけじゃないです…

ヒック…鼠…トカゲ…ヒック…

1番危険なのは…

イタチと狸です…ヒック…

門番はほぼ3日以内に殺されると言われています…ヒック…」

「教えてくれてありがとう。

それしゃっくりか?」


ちょっと、いや、

かなりやばいんじゃないの?

蟻だって大勢だとやばいし、

鼠やトカゲは倒せる気がしない。

イタチと狸だって?

冗談じゃない。


爪楊枝は没収されなかったけど…いや、

それどころかなんか

武器貰えるとかなんとか…





「…ここが通風口ですぅ…ヒック…

もう終わりです…ヒック…

ウェェェェン!」

「落ち着けって。

1週間だろ?多分死なない。」

「えぇ…死なないだけならできます…ヒック…少なくともここでは…ヒック…ですが…隠れてたらダメなんです…ヒック…

もし蟻一匹でもシューガノランドへ入れてしまったら…ヒック…

処刑ですぅ…ヒックヒック…」


マジかよ…

これは苦行だ。

詰み?詰みなのか?


「えっと…シーナ。

君…武器は使えるんだっけ?」

「えぇ…少しは…」




しばらくしてシーナが

落ち着いたので、武器庫へ

行って武器を取ることにした。


「自由に使っていいんだよな?

ここにある武器。」

「えぇ。」


爪楊枝が複数本…聖槍設定はドコヘやら。

だが、これで折れても大丈夫。

針。リーチはあるし、

強度も高けりゃ、

斬ることも出来る。

ネジ。リーチはシャー芯と

同程度。しかし、とても重いので鈍器として使える。

鼠の前歯を加工した斧。

強度も高いし、切れ味抜群。

リーチがないのがネックかな。


「カクザさん!

これはどうですか?」


シーナは白い槍を

持ってきた。


「これは?」

「鼠の骨を加工した槍です。

ツーマ・ヨージーよりも

強度は高いし、何より、

切れ味が高いです。」

「いいね。それ使おう。」







「来ました!蟻です!」


蟻が四匹程度。


「よしやってやる!

…ところで…何持ってるの?」

「これですか?

鼠の毛と蟻の牙と

トカゲの小骨を加工した

弓矢です。」

「そうなのか…」


弓矢なんてあるのか…

シューガノランドの加工技術は

割とあるんだな。



「蟻は的が小さいので

ギリギリまで引きつけることをおすすめします。」

「そうなのか。」

「いえ、弓矢の話です。

槍は…お好きにどうぞ。ニコッ!」

「はいはいそすか。」



よし!

潰しに行こう。


「とりゃ!」


ジャキ!

ジョキ!

ズバッ!

シュイン!


「ワースゴイデスネ!」

「なんか棒読みムカつくから

やめてくれないか?」

「冗談ですよ。

蟻はフェロモンを出して

他の蟻を導きます。

なので蟻の通った跡を

徹底的に水で流します!」


バシャ!

バシャ!




「見てください!鼠です!」

「倒せるのか?」

「鼠は的が大きいので

私が援護射撃できます。

カクザさんは近づいて

斬るなり、突くなり、

お好きにどうぞ。」

「倒すぞ…」




「チュゥぅぅぅぅ!」


「来やがれ!」


一狩り行こうぜ!


しっかり距離を取って戦う。

何故かって?怖ぇからだ。




「チュぅぅぅぅ!」


ピュッ!


ザクッ!


後ろからシーナが

援護射撃をしてくれている!


「トドメだ!」


ザクッ!


目に突き刺さる。


「チュゥゥゥゥゥ!」


バタッ…


「鼠が倒せるなら上出来です。

しかし…大群で来た時に

対応できるか…そこが大切です。」

「だとしたら割と生き残れるんじゃないか?」

「大群舐めないでください。

数十匹の群れの中で

全ての鼠の目を狙えますか?

無理ですよね。残念です。」

「そうか…」


たしかにそこまで対応しきれるとは思えない。


「あと、6日と18時間。

頑張りましょう。

生き残れるとは思えませんが。」






それから五日間は

蟻、鼠、トカゲなどなど、

討伐して食ったりだとかして過ごしていた。

一度群れにも遭遇したが、

小規模だったので

討伐できた。


「カクザさん。

狸の匂いがします。

近くにいるかもしれません。」

「マジかよ。」


そんな大きな獣を

討伐できるとは思えない。



「でもさ、討伐すれば

戻ってもいいのか?」

「わかりませんけど…

狸は基本的に誰かが囮になってどこかに連れて行くので、

恐らく討伐したものはいないです。」

「倒してみたい。」

「好きにしてください。

私はあなたの判断に従いますから。」



「うゆぅぅぅぅぅん!」



「狸の声です!」

「危なくなったら俺が囮になるから…挑戦してもいいか?」

「はい。分かりました。」












七、

「うゆぅぅぅぅぅん!」


「おい!こっちだ!」


戦闘開始!

レッツファイト!


ここが貴様の墓場だ!


狸が突撃してくる。


棒高跳びで飛び越えて

狸の脳天に下突き!


プスッ…


全然刺さりやしない。


「うゆぅぅぅぅぅん!」


怒らせてしまった。


やはり鼠と同様に、

目を狙うべきか。


シーナの援護射撃はあるものの、狸が力尽きるのを待つのは

現実的じゃない。


高跳び主体で立ち回るしか

ないようだ。



もう一度高跳びをして、

目を狙って攻撃してみる。


しかし、相手は獣。

危機察知能力が半端じゃない。

いわゆる野生の勘ってやつか?


「うゆぅぅぅぅぅん!」


狸が前足で振り払う動作をする。

まずいぞ!



振られた前足を

槍で叩き、その反動で

上方向に回避する。


そのまま頭へ飛び込み、

目を狙って下突き。


狸は大きく口を開いた!


やばい。

喰われる。



「喰われてたまるかぁぁぁ!」



全力で槍を振る。





ジャシュバッ!


何だ?



白い粒で作られた斬撃が飛んだ。



狸は大きく怯む。


この粒は…砂糖⁈


「うゆぅぅぅぅぅん!」



狸が凄い速度で暴れ始める。


「来い!」




「うゆぅぅぅぅぅん!」


さっきのに技名でもつけてやるか!


「『白斬シュクルクーペ』!」



シュゥゥゥゥゥ…



バタッ!




「カクザさん…狸を…」

「倒したのか…?」

「凄い!初の快挙じゃないですか?」

「知らんけど…嬉しいぜ!」

「これを持って帰れば

解放されると思います。」










七、

「何だこれは…」




シューガノランドが…

壊滅している…?


「ど、どういうこと…でしょうか…」

「生き残りを探すぞ。」




ドンドンドン!


ん?

なんだ?

下から音が聞こえる。


瓦礫を退けて

確かめてみると、

扉のようなものがあった。


「誰かいるのか?」

「カクザ!助けて!」


トーウ?


「トーウなのか?」

「そうだよ。カクザ!

助けて!扉が開かない。」


槍で無理やりこじ開ける。


ギギギギギ…

バキッ!


「カクザ!ありがとう。」

「トーウ、何があった?」

「あのね…」





カクザの刑執行直後のこと…


「ソルーティアに宣戦された。よって応戦する!」

「シューガノ様、本気ですか?」


クイーンシューガノとコクウトが話している。


「えぇ。ソルーティアは

早かれ遅かれ私たちを滅ぼすつもりよ。

だから今、戦う。

しかし…私たちは

勝てない…

ヴィーネガとの戦争直後というのもあるけど…

ソルーティアは

ソイーソス、ソミランドと

同盟を結んでいるらしいの。

国力で圧倒的に不利よ。」

「逃げてはダメなのですか?」

「逃げる?そんなの言語道断よ!

いい?仮にも私はこの国の

女王なのよ?国を治めるということは相応の責任が私にはあるのよ!逃げるなんてできない。

そして…今の私たちには希望がある。」

「誰ですか?」

「カクザ…」

「でも先程通風口に…」

「それは逃すためよ…

あの人なら、通風口なんかじゃ死なない。そう感じたの。

しかも、どうやらカクザ君は

戦闘経験がないようだから、

シーナと一緒に経験を積ませたいというのも少し。

戦争するなんて言ったら、

カクザ君は参加しようとするわ。

だから強めに追い出した。

その方が…

私が死んでもシーナちゃんが

悲しまないでしょ?」

「…わかりました。

私はいつまでも貴方についていきます。」

「全軍!防衛配置に付け!」









現在…


「それで僕たちは

シェルターで隠れていてくれって言われて…」

「シューガノは?」


トーウは首を傾げる。


「カクザさん…」

「シーナ、どうした?」

「絶対見つけてください…」


シーナが涙目になりながら

訴えかけてきた。


「わかった。トーウたちも

手伝ってくれるな?」

「カクザ!もちろんだ!」






丸一日探したが、

一向に見つからない。



えっと…確か72時間だっけ?

生命を維持できる限界の時間うんたらは…


いつ戦争があったのかは分からないが…


シューガノは…



「トーウ、いつ戦争があったか分かるか?」

「多分3日前くらいだと思う。」


72時間は過ぎてるわけか…


「シーナ…見つかってももう、亡くなってるかも知れない…」

「そんな…まだ生きてます!

シューガノ様はこんなことでは死なない。」

「捜索は続けるけど…

あんまり期待しない方がいいかもな。」

「うぇぇぇぇん!シクシク…」


可哀想だが…望みは薄い。


シューガノが

たっぷり酸素があって、

かつ、怪我をしていないことを

祈るしかない。








その夜…




「…」


ん?


なんか聞こえたか?


「シューガノ!いるのか?」


「…」


そうか、昼間は

みんなで作業していたから、

微かな声が聞こえなかったんだな。



俺は声が聞こえた所を掘り続けた。



ガサッ!



手が飛び出てきた。

ゾンビのようだ。


「シューガノか?」


ズガガガガガ…


「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」


唸り声をあげてシューガノが

這い出てきた。


「シューガノ!生きてたのか!

てっきり死んだものだと…」

「ここに埋まったのは

2日前よ。

敵がまだいたから…

襲われたらまずいと思って

自分で穴に潜ったの。

そしたら出られなくなって…

テヘペロ!」

「可愛くないぞ。

迷惑かけやがって。

シーナはあんたのこと

本気で心配してたんだからな!」

「でも、敵に殺されるよりマシじゃない?」

「それはそうだが…

まぁ…無事でよかった。」









「シューガノ様ぁ!

無事でよがっだぁぁ!」

「ごめんね。シーナちゃん。」


しかし…

シューガノランドを

ここまで壊滅させる

ソルーティアは許し難い。

シューガノはムカつくが、

一応恩人だ。

シューガノランドの仇は取る。







翌日…


「本当に行くの?

カクザ君は無理しなくていいのよ?」

「あぁ。俺は行く。

一応狸を倒したんだ。

きっとなんとかなる。」

「…気をつけてね…」

「必ず帰ってくる。」






鼠や狸の骨を加工し、

武器を作って

トーウたちにも持たせた。

シーナも一緒に来たいというので連れてきた。


そして…

どうしよう。

よくよく考えたら

敵は三つの国。

国を相手にするのだけでも

危険なのに。

それが三つも。


「カクザさん?

多分三つの国を同時に相手することはないと思いますよ?

ただ同盟を組んでいるだけで

同時に襲ってくるわけじゃないと思います。」

「じゃあソルーティアを

潰すぞ。」


シューガノの話だと、

ソルーティアの方向にも

俺のまだ見つかっていない

9人の仲間たちもいるかもしれないらしい。















かなり歩いたな…

ソルーティアは遠いな。


「シーナ、あとどれくらいだ?」

「もうすぐ着くと思います。」

「あれか?」

「んー…多分そうですね。」

「なんか煙上がってないか?」

「も、燃えてます?」




ソルーティアは無くなっていた。


「近くにバーナーが置いてあります。」

「誰がこんなことを?」
























「ニンゲンです。」










八、


「ニンゲンだと?」



「レストラン

チョウミー・リョーウを

作った神です…」

「なんだって?」





「カクザ…あれじゃない?」



そこには天を突くほどの大きさの生き物がいた。


「あれが…ニンゲン…?」

「はい。」


シーナは望遠鏡(加工したガラス片)を取り出し、


「見てください!

あなたがたの仲間と思われる人がニンゲンに掴まれています!」


「なに!」


俺の体は動き出していた。


「カクザさん!無茶です!

狸は倒せても、ニンゲンは無理ですよ!」

「知るか!関係ない!」







「てぃあぁぁぁ!」


高跳びをしてニンゲンに近づく。


ズバッ!



「いっっってぇぇぇぇぇ!」


ゴゴゴゴゴゴ…


やつが喋るだけで地響きがする。


「俺のぉ!仲間をぉ!

返えせぇぇぇぇぇ!」


「『白斬シュクルクーペ!』」


ズバッ!


「角砂糖がぁぁぁ!

俺に歯向かうなぁぁぁ!」


ニンゲンはバーナーを使って

攻撃してきた。


まずい…

範囲がかなり広い。


そして、速度が圧倒的だ。


「『舞白斬ルシュークルトルナード』!」


回転して斬撃の竜巻を

起こす。


「いてっいてっいたい!

なんだよ!砂糖如きがよ!」


ニンゲンは麺棒を

取り出し、そこらじゅうを叩いた。



地面に麺棒がぶつかるたびに

地面が揺れる。


「カクザさん!

やめましょう。逃げて!」

「そうだよカクザ。無理がある!」


「仲間が捕まってる。

見捨てられるかぁ!」



ドン!ドン!


「『白斬シュクルクーペ』!」


「いてぇな!このヤロー!」



やはり…目を潰すしかない!



高跳びをする。


「トドメだ!」


七秒だけでいい。

俺に力を!



「カクザさんが…光った…」

「凄い…」




「『白白乱舞ブロンシュクルテュルビュランス』!」


シュシュシュシュ…


ズザザザザザザ!



「ギャァァァァ!」



斬撃の嵐は目だけでなく、

ニンゲンの顔ごと切り裂いた。



フラフラ…




どすぅぅぅぅぅぅん!



ニンゲンが倒れた…








九、


その後、

シューガノランド総出で

ニンゲンを縛りつけた。


ニンゲンからは

何やら赤い液体が出ていたが、

気にしないでおこう。


ニンゲンは全く起きてこないので恐らく死んだのだろう。




「カクザ君。

よくぞ神を殺しましたね。

なんか…複雑だけど。」

「そうだな。

仲間は助けられた。

しかし…ニンゲンの住処を

漁っても、8人しかいないんだ。

残り一人は…どこだ?」

「カクザ君。

私はあなたが仲間を見つけるまで手伝うから。

シューガノランドのみんなで。」

「そうか…ありがとう。」


「カクザさん。

七秒間…光りましたね。

何なのでしょうか?」

「さあな。だが、自分でも考えられない威力が出たな。

まさに…覚醒…」






数日後、

複数人の黒服のニンゲンたちが

レストラン

チョウミー・リョーウに入ってきた。


ニンゲンは一体じゃないのか…



俺たちはニンゲンから隠れるために

棚の奥に国を築いて、しばらく平和に暮らしました…


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― 新着の感想 ―
[良い点] 俺たちはニンゲンから隠れるために 棚の奥に国を築いて、しばらく平和に暮らしました… 独特過ぎてすごい! つなも独特さを目指して成功したいです お互い頑張りましょう^_^
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