記念すべきプレゼント
はじめまにて、104村です。初執筆・初投稿です。読みにくい点はがんがん書いてくださると助かります。これからがんばります
※ある箇所が明らかに現実と異なっていますが後程触れる予定です。
「おにいちゃん、けっこんして!」
無垢な妹が笑いながらいった。4歳の時のことだ。な
にもそんなに珍しいことじゃない。普通に考えれば特別な意味があったわけではないだろう。「お兄ちゃんしゅきしゅき天使」も時が経てば「友達くるからどっかいってて堕天使」になってしまうのだ。それでも……
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「んで、今年はどうするわけ?」
「ん?」
「誕生日プレゼントだよ、妹ちゃんへの。いつもすげぇの用意してたろ?去年は……」
「あぁ、オーロラ素敵!って言ってたからオーロラ見に行ったぞ」
「……だったっけか。お前が17ってことは妹ちゃんも16になるんだろ?仲良いよな」
「まぁな」
俺は殿原三希。可愛いひとつ下の妹、鈴をもつ16歳の健全な高校生である。もうすぐ授業がはじまるというのにわざわざ隣のクラスから話しかけにくるコイツは中学からの友人、南條。アホでバカでモテないが悪いやつではない。
「なんか失礼なこと考えてなかったか?」
「いや、コイツはアホでバカでモテないなって思ってただけ。」
「いや、おもいっきり失礼じゃねぇか!」
「そうか?……って、もう授業始まるぞ。そろそろ戻れよ」
「話そらすな!…んじゃな!」
別れの挨拶もそこそこに俺は物思いにふける。考え事はさっき話題にのぼった誕生日プレゼントのことである。今年は鈴が"本当に欲しいもの"を用意したつもりだが……当然だが誕生日プレゼントは毎年用意している。去年はオーロラで一昨年は有名なモデルも使ってるブランドのバッグとネックレスをプレゼントした。どちらも鈴が欲しがっていた物だし、鈴も喜んでいたはずだが毎年不安なのだ。だから今年も例に漏れず不安……ではない。なんと今年は不安ではない!なぜならこれは小さいときから鈴が欲しがっていたが"絶対に手に入らない"と思ってたもの。喜ばないはずがないだろ!期待に胸を膨らませ、残りの授業を聞き流す……
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「んで、今年のお兄さんのプレゼントはなんだと思う?」
「……わかんない」
私は殿原鈴。15歳の高校1年生。といってももうじき誕生日で16になる。毎年兄は規格外のプレゼントを用意する。たとえば去年はオーロラをプレゼント(?)された。兄いわく「ほら、前にテレビ観てたとき綺麗だって言ってたろ?」とのこと。いや、それで誕生日に2人っきりでオーロラ観に行く、ふつう!? あぁ、プレゼントがぬいぐるみやハンカチだったころが懐かしい。ここのところ目が飛び出るような額のブランド品だの貸し切りのナイトクルーズだの高校生のプレゼントじゃない。最初は得してるしいっか!って思ってたけど、最近はもう怖い……怖くて誕生日近くなると兄の前では気軽に発言できない。「この俳優最近好きなんだよね~」なんていったら誘拐でもしかねないのでは。
「でも、いいよね~お兄さんに愛されてて。うちも兄貴いるけど、まぁ酷いよ!誕生日っていっても期限切れのチョコとかだよ?信じらんない!あぁ、うちも鈴んとこみたいなお兄ちゃんほしかった~」
「私のとこのも……いや、まぁうん」
端からみたら「羨ましい」と言うのもまぁ、わかる……しかし望みがすべて叶うような感覚は最初こそ全能感すら覚えるが次第に罪悪感を感じるようになるものなのである。今年は一体なにがくるか。城か山か島か……
「鈴はあんま嬉しくない感じ?まぁさ、この年になってもそんな大事にしてくれるお兄ちゃんいないよ?鈴も大事にしてあげなね」
「…うん」
今年のプレゼントに戦々恐々としながら残りの授業を……
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「よし、じゃあ帰ろう」
「いや、待って。授業おわったばっかなんだけど。早くない?」
「あー、俺んとこ課題終わり次第だからさっさと終わらせて待ってた」
「あー」
「そういえば今年のプレゼントなんだけど」
「……うん」
「すごいの用意してるぞ!楽しみにしててな!」
やっぱりか~ すごいの用意しちゃってるか~ 嬉しくないわけじゃないし断るのも……最近家空けてることも多いし一体なにを用意しているんだ。心臓がドキドキしているのか胃がキリキリしているのかわからない。
「いや~俺も楽しみになってきちゃったな~」
「そ、そだね…」
この時はまだ私は知らなかった。いかに私の想像が生ぬるかったのかを…
1週間後。
「と、いうわけで~」
「「「誕生日おめでとう~!」」」
「ありがと」
来る鈴の誕生日の朝。父さんと母さんも鈴を祝ってから家を出る。毎年、俺が用意してるプレゼントが一番最後と決まってるので2人は気を遣って早めに退散するのだ。……なんでジブンハカカワッテマセンヨって顔をしているのかはわからないけれど。今年のプレゼントはいままでのプレゼントのなかでも一番自信がある。鈴、泣いちゃったりしないかな…
「じゃあ、鈴。プレゼントなんだけど」
「うん」
食い気味に相づちを打つ鈴。楽しみにしてくれてるんだな……楽しみすぎて待ちきれないって顔してる!じゃあ、満を持して…
「これだ!」
「……え?」
高々と宣言をしてテレビの電源をつける。
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「これだ!」
「……え?」
兄が手に取ったのはテレビのリモコン。おもむろに電源をつける……プレゼントだよね?ビデオレターとか?
『速報です。本日より法改正がなされ実の兄妹での正式な結婚が可能となりました。つきましては……』
へ~そうなんだ~ 兄妹で結婚……ん?
「えぇぇえぇええぇえぇ!!!???」
「これが今年のプレゼントだ!鈴、俺と結婚したいっていってくれてたからさ。鈴ももう16で結婚できる年だろ?これしかないと思って!」
これしかないわけないでしょ!?え?ドユコト??法改正がプレゼントなんてことある!?そもそも高校生だよね!?どうやって……ってかいつの話よ!幼稚園のころでしょ、それ!っていうか…
「鈴」
「へ、え、はい」
「改めて……結婚しよう」
「いや、むりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
こうして生涯最悪の誕生日は幕を開けてしまった。
思いつきで始まったので続きを考え次第、更新しようと思います。感想お待ちしております