うちのゴーレムは遠隔操縦です(読み切り版)
小説初めて書いたわ
勇者ジャックの視点
「そんな…どうしてこんなことに…!」
「我の真の能力は敵を乗っ取り、その力を得ることだ…! 貴様の仲間の体は乗っ取らせてもらうぞ!」
俺たちは魔王の討伐に成功した。しかし、なぜこんなことになってしまったんだ…!
「くそッ…!まだ俺が少しでも押さえていられるうちに俺ごと魔王を殺すんだ!ジャック!」
仲間のゴーレムのカエサルが言った。だが、俺には…!
「…俺には…仲間を壊すことなんてできない! 他に手はないのか!?」
「いや…ない! …だが、やつの能力は完全に乗っ取りが終わるまで次の対象に移ることはできないはずだ」
わかっている…遺跡の伝承で知ったことだからわかってはいるんだ! でも、仲間を殺すことなんて…!
この葛藤を読み取ったのか、カエサルは言った
「わかった…なら俺はここで、自己破壊する!」
「待てッ!貴様、命は惜しくないのか!」
魔王は慌てたようにこう言った。
しかし、彼の剣の切先は彼のコアの方を向いていた。
震える切っ先は、確実に少しずつ、彼のコアの方へと向かっていく。
魔王は吠えるように
「やめろ…ヤメロォォォォ!」
と叫んでいたが、段々と切っ先はコアへと近づいていく。そんな中、俺はただその様子を見ていることしかできなかった。
一緒に旅をしてきたのだからわかる…彼を止めてしまうのは、彼への侮辱にほかならないということを
そしてついにその切っ先は
彼のコアを貫いた
「あ…あああ…」
俺はそんな声を出すことしかできなかった。そして、涙を流し叫ぶまで、そう時間はかからなかった。
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オリバー(カエサル)視点
「そんな…どうしてこんなことに…!」
「我の真の能力は敵を乗っ取り、その力を得ることだ…!貴様の仲間の体は乗っ取らせてもらうぞ!」
マジかよ!こいつ乗っ取るのが能力の魔王だったよ!
伝承で読んだ魔王の中で最もあくどいって有名なやつじゃねぇか!
これは最悪だ…
「くそッ…!まだ俺が少しでも押さえていられるうちに俺ごと魔王を殺すんだ!ジャック!」
乗っ取る能力を持っているなら、この体は破棄するしかないかぁ…カエサルと名づけたこの機体は俺の最高傑作だったんだけどなぁ…
「…俺には…仲間を壊すことなんてできない!他に手はないのか!?」
えぇ…遠隔操縦の兵器なのにためらうのか…
「いや…ない!だがやつの能力は完全に乗っ取りが終わるまで次の対象に移ることはできないはずだ」
すごい葛藤しているな…
ひょっとして最高傑作ってことがわかっているからなのか?
そうか…なら負い目感じさせたくないな
「わかった…なら俺はここで、自己破壊する!」
「待てッ!貴様、命は惜しくないのか!」
魔王は慌てたようにこう言った。
昔のゴーレムは生命体らしいからなぁ…きっと魔王はそんな昔の生物と勘違いしてるんだろう
てか力つよいな!まだ数10パーセントしか乗っ取られてないのに少しずつしか近づけさせられないぞ!
魔王は吠えるように
「やめろ…ヤメロォォォォ!」
と叫んでいたが、まあ関係ないことだな、このまま終わらせてしまおう
切っ先がコアを貫くときにジャックの顔が見えたが、なんかめっちゃ絶望してないか?え?そんなにこの機体好きだったのか…なんか悪いことした気分だなぁ