表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1

初投稿です

 「おいクウ!何してんだ!ボケっとしてねぇで仕事しろ!」


 嫌な怒号で目が覚める。俺をこき使っているクソ野郎の声だ。


 「うるせぇ!黙ってろ!」


 と、言えるはずもなく、俺は淡々と鍬を振り続ける。それもそのはず、俺の今の立場は奴隷、口答えなどする時は、直ぐに首が飛んでしまう。


 あいつの名前も知らないまま、俺はずっと畑を耕し続けている。あいつもみすぼらしい格好をしているところを見れば、俺の管轄があいつなだけであいつも奴隷か、雇われの身なんだろう。俺はイライラしながらも作業を続けた。


 何も言えないまま、ここで奴隷をしているのにも訳がある。


 あれは1年前のこと____






 「やっと15歳になったな!クウ!」


 笑顔で俺の名前を呼ぶのは父、アクの声だ。


 「やっと、あなたも働いてくれるのね、ずっと働き手が少なくて困ってたの。あなたが私たちの血を継いだスキルを授けられれば、少しは楽になるわ」


 冷たい声で返すのは、義母のラウ。

 ラウは俺を産んでいない。本当の俺の母は俺を産んだ時に他界したそうだ。だから、本当の母じゃないために俺と義母の関係は悪かった。


 「早く準備して、スキルを授かりに行くわよ」


 「まぁまぁ、そんなに急ぐことでもないじゃないか」


 「商人には時間が大事なのよ!この子のために割いた時間でどれだけ商売ができると思っているの?そんなのだから、あなたはずっと売上が上がらないのよ!」


 「うぐっ…」


 父もラウも商人だが、この婚約は母の方から一方的に結んだと言っても過言ではない。立場が何倍も上のラウは顔の整った商人というカテゴリだけを見て、父を欲しがった。


 下に入れと何度も命令するラウを断り続けた父を絶対に断れない婚約で、縛ったのだ。そこに俺という思いもよらぬ邪魔な付属品がついて来たので、俺は嫌われているのだろう。


 「必ず商人のスキルを貰いなさいよ!それ以外を貰ったら、あなたの仕事は無いと思いなさい。最悪の場合も考えておくのね」


 「…はい」


 スキルは神が与えるものであるのだから、血を継いでいると子も同じスキルの可能性が高いとはいえ、ランダムで選ばれるのだから、理不尽な脅しであることには間違いない。しかし、父の立場も考えると、言い返すことは出来なかった。



 こうして、街にある教会にたどり着いた。


 15歳になる同い年の子が多く集まっている。ざっと500人はいるだろうか。俺は最後に到着したので、最後尾に並んだ。


 「〜〜、スキル:鍛冶師!おめでとう!」


 最初に並んだやつのスキルが発表され始めた。


 どうやら初めのやつは鍛冶師のようだ。鍛冶師はこの世界の全てである武器や道具、装飾品から家具まで、全てを作ることが出来る。


 スキルのレベルが上がる事に、より強力で丈夫なものを作ることが可能で、スキルにもよるが、近接格闘系のスキルを貰わない限り、上がらない個人のステータスに補正をかけたり、持っていないスキルでも、武器が持っていれば発動させることが出来たりする。

 この世界で、最も重宝されるスキルだ。

早速、周りから勧誘を受けていた。



 その間も次々に呼ばれており、大半が市民のようで、その中で商人や剣士、魔法士、薬師などが細々といるようだった。


 「次!エレナ、前へ」


俺の前のやつが呼ばれた。腰に剣をたずさえているのを見ると、親が冒険者なのだろう。


 「エレナ、スキル:勇者!?素晴らしい……!」


 「私が……勇者……」


エレナという少女が勇者と呼ばれた途端、一気にその少女は、大量の人に囲まれた。


 「俺たちのパーティに入らないか!」


 「いや、私たちの方がいいわ!」


 「あなたは私たちのところにくるべきです」


色んな勧誘が彼女に押し寄せているようだ。


その横で俺の番が来た。周りは未だ彼女に夢中で俺の方を見るやつなどいなかった。


 「次!クウ、前へ」


呼ばれた俺は聖職者に手をかざされた。


 「クウ、スキル:器喰者……?お、おめでとう?」


俺のスキルは、商人ではなかった。


 「き、きしょくしゃ?ですか?どんなスキルなんでしょうか……?」


 「さ、さぁ?私はよく知らないなぁ……?自分で確かめて見てくれ!ゴホン!これでご神託を終了する!」


未だに勇者に釘付けの者たちは、立ち尽くす俺のことなど全く見ず、俺の授かったスキルがどんなものかもわからずにご神託は終わってしまった。


 「あなた、ずっと足でまといだったのに、ここでまで恥をかかせるのね。少しでも我が家に貢献しなさい。奴隷として売らせてもらうわ」


立ち尽くす俺に冷たく、蔑んだ声で投げかけるのは義母のラウだった。


 「お、おい!そこまで言わなくたって……」


庇おうとする父を俺は制止した。


 「……わかりました」


_______




ということがあったのだ。こうして俺は今、奴隷として1年間働き続けている。


奴隷と言っても、買われた値段の倍の金額分働けば、奴隷から解放されるのだが、なんのスキルかも分からない俺は、如何せん周りの誰よりも動きが遅く、また、力も弱い。だから、1年も働いているのにも関わらず、解放される兆しがない。


そんな日々が続いている中、俺は器喰者がどんな能力なのか何度も試してきた。


文字通りに何かを食うスキルなのかと試し、とにかく色んなものを食べようとしてみた。奴隷なのでどうしても限られていたが、朝と夜に出される食事はもちろん、畑にいる虫や土、草さえも口に入れた。


結局、食べれるものはひとつもなかった。


俺は、もうスキルの可能性を諦めていた時だった。

【懇願】

「面白い!」

「続きが気になる!」

「更新がんばって!」

と、思ってくださった方!

ブックマークと広告下↓の【☆☆☆☆☆】から

ポイントを入れて応援して下さるとありがたいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今後どうなるか楽しみです。 更新頑張ってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ