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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
冒険者編
6/66

06話 ギルド


 「おっ 戻ったか 場所を変えるぞ」


 集合場所に着くなり移動をする。どうやら、宿屋と『ギルド』の場所を聞いたらしい。まず、俺達が向かった先は『ギルド』だった。

 

 道中、『ギルド』の説明をしだす風音。


 「この国には、ギルドという組織があって 登録費さえ納めれば、身分証を作ってもらえるそうじゃ それと、盗賊退治や要人警護といった依頼を斡旋してくれるようじゃ 旅をするにしても身分証があれば、各所すんなり行き来できるだろうし、金に困れば仕事も斡旋してもらえる 詳しい事は登録してから聞くとするかのう」


 なるほど… 確かに便利だ。この短時間で、ここまで調べてくるなんて、ただ食べ歩きしているだけだと思っていたのに… 


 「で… 託也 お前の方は、どんな情報を仕入れてきたんじゃ? 」

 「お… 俺はたいした情報無かった… 魔物ってのがいて、その中に魔石があるらしいんだけど それを秤ではかって1メモリ銅貨1枚に換えてくれる買い取り屋がいたよ それと魔物を出す魔物召喚士ってのがいるらしい。多分、さっき風音が退治した女の方のジョブだと思うよ」

 「ジョブ? なんじゃジョブとは? 」

 「職業みたいなものかな」

 「なるほどのう… 他にもありそうじゃな そのジョブとやらわ おっ、着いたぞ 確かここじゃ」


 3階建ての立派な建物の横に、2階建ての建物がある。風音が大きなドアノブを引くと広間が現れた。


 広間には、長椅子とテーブルがいくつも置かれ、仲間同士が食事や酒を飲んでいた。中央に黒くて長い丈夫そうなカウンターが備え付けてある。その内側には業務を受け付けてくれるであろう女性2名が座り、その奥ではデスクワークをしている男性職員2名と女性1名、計5名の姿が見てとれた。


 「酒も飲みたいが… とりあえずは登録じゃな」


 風音はテーブルに置かれる酒が気になるのかチラチラ見ながらカウンターに近づいて登録を申し込む。俺は後ろからついていく。


 「ちょっといいかのう ギルドに登録したいのじゃが いくらかのう? 」


 カウンターに座っていた女性に話しかける。すると、


 「あらあら こんにちは ギルドに登録ということは『冒険者』になりたいという事なのかな? お名前は? 」

 「風音じゃ そんでこっちが託也じゃ」


 風音が答えると、受け付けのお姉さんがクスクスとしながら話し出す。


 「かざねちゃん ごめんなさい 冒険者になれるのは15歳からなの そっちのたくやくんはなれそうだけど かざねちゃんにはちょっと早いかな」


 そう言われた風音はふくれっ面になりながら喚きだした。


 「なんじゃと! わしは託也より年上じゃ! 人を外見で判断しおって」


 自分は俺より年上だと捲し立てる。すると、受け付けのお姉さんは困った様子で俺に聞き返す。


 「ねえ たくやくん… 本当なの? 」

 「はい… 俺より年上なんです… 俺は15です」


 さすがに何百歳も、年上だとは言えずにいると


 「こう見えてわしは16じゃ! ほんと、この外見のせいで困るんじゃ! 」


 プンプンしながら言っている風音を、困った目で見る俺の様子を見て年上と判断されたのか、お姉さんは、深々と頭を下げて申請を受理してくれたのだ。


 「申し訳ありませんでした すぐに登録させていただきます。1人銀貨3枚となります」


 少し時間がかかるから好きな席に座って待って欲しいとの事だったので、テーブルに座り待つ事にした。だが、風音は落ち着かない様子… 隣のテーブルにある酒が気になってしょうがないみたいだ。すると、玄関の方から声が聞こえてきた。


 「今回の遠征は 大漁だったよ! 」

 「ああ やっぱ魔石取りはダンジョンだよ」

 「ですよねえー」


 どうやら、この町を拠点に活動している三人組の冒険者パーティーがダンジョンから戻ってきたらしい。


 「よっ 今帰りか? 」


 隣の席で飲んでいた男が戻ってきたパーティーに声をかける。


 「おう 今、戻ったところだよ 今回は2日も潜ったから大漁だったぜ 2袋だ ゼス」

 「景気いいな ビーノ 北に行ったのか? 」

 「ああ いつものコースさ あいつらは厄介だからな… 西のマリルで1泊してから北に向かった」

 「それが賢明だ… やつらはヤバいからな」


 隣で酒を飲んでいる男にビーノと呼ばれ、冒険者パーティーのリーダーっぽい男の歳は二十五くらいだろうか、彼が俺達に気付いて話しかけてきた。


 「なんだい? かわいいお客さんだな ゼスの知り合い? 」

 「いや 冒険者登録に来たらしい」


 隣で飲んでいた男、ゼスは受け付けのお姉さんとのやり取りを聞いていたらしくビーノに答えた。

 

 「え? ちょ待てよ まだ早くないか? いくつなの? 」


 わかっている… みんな悪気はないのだろう。しかし、誰が見ても十歳くらいにしか見えないのだ。風音は、質問に答えず俺を見て溜息をつく。


 「はぁ… たくやよ これだから子供と缶蹴りするしかなくなるんじゃ」


 俺に向かって毒を吐く。


 「ビーノやめとけ あの子は16歳みたいだ 連れの子も15歳 冒険者としての登録資格はある 外見で不憫な思いをしてきたようだ ほっといてやれ」

 

 ゼスがビーノを制止する。それにしても恐ろしい男だ、どんだけ話聞いてるんだよ… ゼス。しかし、ビーノは余計な事を口走ってしまった。


 「まあ確かに、冒険者登録の資格はあっても冒険者としてやっていくのは別の話だな まあ、せいぜい死なないように頑張りなよ お二人さん ハッハハ」


 ああ… 終わった 俺は頭を抱え込んでしまった。


 「小僧 お前が言う、死なないように頑張れとは、ちと分が悪い相手がいると回り道して目的地に到着ってやつの事を言っておるのかのう? 」


 風音が言うとビーノが少しムキになって言い返してきた。


 「小僧ねえ ハッハ かわいい顔して言うじゃないか 参ったねこりゃ… そう、その通り 生きてなきゃ意味はないからな! 実力もないのに粋がっても早死にするだけだって言いたかっただけさ」


 すると、ダンジョンで取ってきた魔石を換金してもらっていたパーティーメンバーの二人が合流してきた。


 「なに? どうしたのさ? 」

 「何かあったんですかー? 」

 「いや、冒険者登録に来たって言うから心構えってやつを教えてやったのさ」

 「へぇー えらいじゃん! 」

 「ですよねえー」


 風音が、呆れ返った顔で言い放つ。


 「わしより弱いやつらに何を教われと言うんじゃ? 」


 一瞬、場の空気が凍りついた… と、思いきや


 「キャハハハ かわいいー」

 「プハハハ ですよねえー」

 「なっ? 面白いだろ さっきなんて小僧って言われちゃったぜ ハッハハハ」


 何気に、ゼスも下を向き笑いを堪えながら肩を震わす。仲間が合流し気を良くしたビーノが、すかさず畳みかける。余程、小僧と言われたのが気に食わなかった様子だ。


 「何だったらお嬢ちゃん 少し手合わせしてやるぜ? 本物の冒険者がどんなもんか知るのも勉強のうちだろ どうする? そっちは二人で構わないぜ こっちは俺1人 さぁどうする? 」


 仲間の女が止めに入る。


 「ちょっとビーノ 子供相手にやめときなよ 怪我させちゃうよ」


 ビーノは女の耳元で


 「なあに 2~3発小突いてお仕置きするだけだ そんな酷い事までするかよ」


 風音はすくっと立ち上がり


 「いいじゃろ しかし、ただ遣り合うのもつまらん 賭けをせんか? お互いの有り金 全てを賭けて どうじゃ? 怖いか? 」


 「うーん… この子、一回痛い目にあった方がいいかも」

 「ですよねえー」


 ビーノの連れは、風音の言動に呆れてしまったようだ。


 「おっけー それでいこう 西門を出ると闘技場がある そこではじめよう」


 「待て待て待て! 子供相手に何言ってるんだ!? 辞めとけって! お嬢ちゃんも早く謝りなって ビーノはソードマスターで、この町一番の冒険者だぞ 多少、腕に覚えがあって二人掛りでも適いっこない わかるだろ!? 」


 必死に止めるゼス。しかし、風音もビーノも聞く耳を持たない。関係者が闘技場へ移動をはじめる。


 「おい 何だ? 喧嘩か? 」


 別の席で飲んでいた冒険者達が集まり出した。


 「別に喧嘩じゃねえよ 冒険者を甘く見ている新人冒険者に少しばかり押し置きってところかな ハッハハハ」

 「そいつはいい事だ 早いうちに冒険者ってものを教えてやらんとな」


 冒険者達はゾロゾロと関係者の後についていく。 


 うわぁぁぁぁ!!! どうしよ… この人達、殺される…


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