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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
都市税争奪対抗戦編
51/66

51話 ゼス死す


 自陣地の防衛が、壊滅状態に陥っている事に気付いたドリボラの攻撃部隊が前線から後退し守りに入ったのだ。

 これに、気付いたゼスが風音に事態を報告しようとした時だった。


 「隙あり! 待っていたぜ!! バルラ!! ベルラ!! 」


 ゼスの後方から、首に黒布を巻いた魔獣召喚士が召喚済みのヘルドック4体に襲いかからせた。


 「くっ!! しまった!? 」


 2体が両手に噛みつき、2体が両足に噛みついた。完全に動きを封じられ地面に転がされてしまった。


 「くっ… 油断しちまったぜ どうにかしないと… 」

 「遅いぜ てめぇは終わりだよ!! 」


 隠語を、駆使して攻撃したい場所を的確に… そんな調教方法が昔から存在したのだ。特に、裏家業を生業として者は隠語で攻撃箇所を使い分けていたという。


 当然、契約魔獣の首を狙った攻撃は禁止事項とされているが、隠語を使われると立証するのが難しいため処分が有耶無耶にされてしまう。


 この場合、ゼスに対してバルラ『腕を攻撃しろ』ベルラ『足に攻撃しろ』と命じた魔獣召喚士はゼスを殺した後で魔獣契約を破棄すれば良い。


 「くそ!! 」

 「グワッハハハ!! 」


 観客席から悲鳴が聞えた。


 「「「キャーーー! 」」」

 「おい ヤバいぞ あれは… 」


 ヘルドッグ4体が、ゼスの身体に噛みつき辺りが血で赤く染まりだす。


 「グルルルルル… 」


 ヘルドックは、首を揺さぶり続ける。更に出血するゼス。


 「ちっ… 意識が 朦朧としてきた… 」


 風音は、ネビルの手下を探している最中だったが観客席の異変に気付く。視線の先を確認すると、4体のヘルドックに噛みつかれたゼスが倒れていた。


 「ゼスーーーー!! 」


 風音は、俊足でゼスの元に駆け寄るとヘルドックを次々と蹴り殺す。


 「きさま… 許さんぞ」


 風音は、身体を震わせネビルの手下である魔獣召喚士の両手首、両足首を手刀で切断した。


 「うぎゃーー!! 助けて!! 」


 その場で、転げ回る召喚士を無視してゼスの側に走っていく。


 「ゼス!! しっかりするんじゃゼス!! 」

 「か… かざねさん 試合はどうなった? 勝ったのか? 」

 「しっかりしろ! まだだ! まだ終わってはおらん! 」

 「そうか… じゃあ祝杯だな… 帰って何か作らないと… 」


 意識が、すでに飛んでいる状態だ。顔から血の気が引いている。


 「風音!! ゼスさん!? どうしたんだこれ!? 」


 異変に気が付いた俺とカーベルは風音の元に走った。


 「どうしたも何も… そこに転がっている召喚士の魔獣4体にゼスが… 」


 風音の後ろには両手首、両足首を切断された男が転がっていた。


 「どうにかならないのか 風音!! 」

 「… 出血が多すぎる」


 ゼスの周りは血だらけだった…


 「か… かざねさん いるのか? 」


 ゼスが意識を取り戻した。


 「ゼス!! しっかりしろ! 」

 「ゼスさん! しっかりして!! 」


 俺達は声を掛け続けた。


 「か… かざねさん 俺… 死ぬのか? ここで死ぬのか? 」

 「死なん! お前はこんなところで死ぬ気か? ならんぞ!! 」

 「こんな… こんなところで 死にたく… ない」


 ゼスが再び意識を飛ばした。もう、時間が無い…


 「託也 カーベル ゼスの顔を隠せ わしの血を飲ませる」

 「風音… 」

 「早くしろ! ゼスを死なせて良いのか!? さっさとしろ!! 」


 俺とカーベルは、観客から見えないように外套を広げる。風音は、自分の手を切りゼスに血を飲ませた。その間、風音はゼスに語りかける。


 「飲め… こんなところで死ぬのは馬鹿だけじゃ 飲め 生きろ 生きてわしらと旅を続けるぞ ゼス 誰がわしらの飯を作るんじゃ? 」

 「風音… 」

 「風音様… 」

 「ところでお前達 なぜ持ち場を離れた? 」

 「パネルで人数確認したよ アサシンは居なかった 相手はオブジェクト前にいる10名足らずだけだよ… 」

 「そうか… とりあえず、様子をみよう 戦闘不能としてゼスを陣地に運んでおけ 残りはわしが片付ける」

 「わかった… 」


 風音は、そう言うと真っ直ぐ敵陣地へ1人で向かった。

 俺達はゼスを抱えて、陣地の入場通路に運んだ。


 風音の、氷穴展開はゼスが倒れている時に解除されていた。防衛しているドリボラの冒険者に風音が降参を促す。


 「お前達… 見ての通り実力の差は歴然 降参を薦めるがどうする? 」


 ドリボラの冒険者は最後まで抵抗するようだ。


 「降参はしない… 人数だけでいえば まだ、うちに分がある」

 「2度と冒険者が出来なくなるぞ? 良いのか? 」

 「誰もがビビると思ったら大間違いだぜ!! 」


 突然、剣を振りかぶった男に風音は無反応。


 ビシャーーーー!!


 僅かに避けた、風音であったが腕を切り落とされる。血が吹き出す。


 「よし! 散々、仲間の手足を切ってくれたお返しが出来たぜ! 」


 横から話に割って、風音に剣を切りつけた冒険者が言い放った。


 「ほーう… お前は、あいつらの仲間か なら見逃せんのう」


 スパン


 風音は、残った方の手で手刀を作り切りつけてきた冒険者の手首を切り落とす。冒険者の手は剣を握ったまま地面に落ちた。


 「ぎゃああ!! いでぇぇぇ!! いでぇぇぇぇょよぉぉぉ!! 」

 「「「「ひぃぃー!! 」」」


 ズボッ グリ


 風音は、手首を切り落とした冒険者の目玉を1つ刳り貫いた。


 「きゃーーー!! あたしは駄目 降参するわ… 」

 「お… おれも 冗談じゃねえ!! 降参だ… 」


 次々に、降参する冒険者達。最初に話した冒険者以外全てのドリボラ陣営の参加者はパネルから消えていた。


 ボコボコ


 風音の腕が高速再生しだした。


 「まったく… また着替えねばなるまい」


 そう言うと、真っ赤な着物から真っ黒い着物へと変更する。


 「お前は降参しないのか? 」

 

 風音がパネルを確認する。どうやら、Sランク冒険者のようだ。


 「あ… ああ 負けるのは間違いないだろう しかし、戦わずして負ける訳にはいかないんだ… それが冒険者として俺の生き様だ」

 「なるほどのう… 良い心がけと言いたいところじゃが それで冒険者として終わっても構わないというのか? 」

 「… それも、仕方のない事なんだと思う」


 その冒険者は下を向き意地を通す気のようだ。


 「良かろう 本人の自由じゃ」


 風音は、そう言うとドリボラのオブジェクトに手を添えた。


 ズガーーーーーンッ!! バラバラバラ…


 風穴で、オブジェクトを粉々に吹き飛ばした。


 ドンドンドンドンドドドドドンドーーン!!


 試合終了の合図が鳴る。

 風音は、その冒険者の横に行き肩を叩く。


 「また今度じゃ」


 風音は自陣へスタスタと戻って行った。


 「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 」」」

 「あんた達 すげえよ!! 強すぎるぜ!! 」

 「決勝は楽しみだぜ!! こりゃ、もしかしたらもしかするかもな! 」

 「メイドス!! そうか… あんただろ! 北ダンジョン攻略したの! 」

 「ああ! きっとあいつらだぜ! すげえもん見させて貰ったぜ! 」

 「決勝頑張れよ!! 」


 割れんばかりの声援がメイドスに送られた。

 だが、誰一人としてその歓声を聞く者はいなかった… すぐに、通路に運ばれているゼスの元へ皆が走る。


 「託也! ゼスは何処じゃ? 」


 風音が走りながら、ゼスの居場所を俺に聞いてきた。


 「戦闘不能と、審判に言って治療を頼んだよ そこの待合室にいるはずだよ」


 30分間、試合前に待機させられた部屋を目指す俺達。


 部屋に飛び込む風音。


 「ゼス!! ゼスーーー!! しっかりしろ! 」


 風音はゼスに覆いかぶさるように身体を揺らす。


 「いててて… どうしたんだ かざねさん 痛いじゃないか… 」


 「ゼスーーー!!」

 「「「ゼスさーーん!! 」」

 「お… おお みんな無事か すまんな なんか、意識が無くなってたようだ 試合の途中までは覚えているんだが… 勝ったのか? 」

 「決まってるじゃん ゼスさん! そんな事より… 本当に良かったよ グスッ… 」


 俺は、はじめて人前で涙を流した。その涙は、面で隠れて誰にも見られていなかった。


 「託也… どうしたんだよ? 一体… 」


 ゼスは、何で俺が泣いてるのか状況が飲み込めていない様子だ。


 「まったく… 心配させおって グスッ…」

 「かざねさんまで… 」

 「「「グスッ… 」」」

 

 結局、全員泣いていたのだった。


 「あ… あのう」


 存在を忘れていた…

 運営を任されている特務機関の治療士だろう。2人の特務員がそこにいた。


 「あ… 帰っていいですか? 」

 「うむ 良くやってくれたのう 礼を言うぞ」


 風音が、治療士に礼を言うと何もしてないと言い出した治療士。


 「なに!? 」

 「いえ… 私達がここに来た時には、すでに傷口は塞がっており心拍も正常でした… 」

 「… 」


 風音はゼスの手足を確認する。


 「傷が無いのう… 」


 風音は、手刀でゼスの腕を軽く傷つける。


 シュッ


 「あ… かざねさん 痛い… 痛くないな… あれ? 」


 風音はニヤリとした。


 「あー お前達ご苦労じゃったな 帰って良いぞ」

 「あ はい… では、お大事に」


 治療士が、帰ったのを確認するとゼスに風音が告げる。


 「ゼス 引き継いだようじゃのう わしの血を」

 「えっ!? 何それ 何の事だ かざねさん!? 」

 「見てみろ 傷が塞がっておろう」


 風音が、手刀で与えた傷は完全に塞がっていた。


 「な… 飲んだのか!? 俺が、かざねさんの血を… 」

 「説明は後じゃ とりあえず、飯じゃ みんな飯に行くぞ」


 俺達は、飯を食いに闘技場を後にした。

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