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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
冒険者編
5/66

05話 情報


俺と風音は“時空の歪み〟に飛ばされた地点から近くの町を目指す途中、追い剥ぎに遭遇したが風音が見せた驚く異能で撃退。


 到着した町の入り口には門番が2人、剣を腰からぶら下げ片手に盾を装備していた。俺達は無視するように町の中へ入ろうとすると、1人の門番がやさしく話しかけてきた。もう1人の門番はやる気なさそう態度で、壁に寄り掛かりタバコを吸っている。


 「やあ あまり見ない顔だね どこから来たんだい? 」


 うっ! 何て言うかな… 俺は自身の顔色を悟られないように、とっさに下を向き言い訳を考える。


 どこから来た?… 言えない。親は?… 言えない。今の俺には何を聞かれても話せないし話したところで信じてもらえないだろう…

 そんな事をあれこれ考えていると、質問してきた門番が


 「わかった 行っていいよ… 」

 

 さっきまでの表情とは一変、何の感情もない顔になり真っ直ぐ向いて町に入る許可を出した。様子がおかしい…

 風音はスタスタと町の中に入って行く。俺は黙って、その後ろをついてく。

 はっ!? と、思った俺は風音の横に行き小声で問い掛ける。


 「風… 風音… 門番に何かしたんだろ? 」


 涼しい顔をした風音が答えた。


 「面倒そうじゃったので、わしらを町の子供だと錯覚させただけじゃ」

 

 「なっ!? そんな事まで出来るのか… あの人は… 門番はずっとあのまま」


 「落ち着け 2時間ほどで元に戻るわ わしらの事も覚えておらんじゃろ」


 「ならいいけど… 」


 どうやら、門番にかけた術はレベルの低い意識操作と風音は説明した。アイテムや術によって対策でもしていない限り大抵の人間はかかるという。


 町の中央付近に到着した俺達。そこは広場になって露店が何軒か営業している。

 何かの肉を串に挿して焼いた店、魚の塩焼きを出す店など、品揃えが被らないよう出店されていた。


 風音は、串肉を焼いてる露店の前に立ち止まると店主に声をかける。


 「その肉は、なんの肉なんじゃ? 」

 「ん? お穣ちゃんは、はじめてかい? これはイノシシの肉だよ」

 「ほぉー 2本貰うかのう 」

 「まいどー 銅貨1枚ね」


 風音は、懐から“剣獣殺〟から奪い取った袋を取り出し、銅貨1枚を店主に渡す。俺と風音は1本づつ串肉を食らう。匂いもなくジューシー 悪くない。しかし、量が足りない。朝、出掛けにパンをかじっただけで何も口にしていなかった。


 「風音 もうちょい何か食べようよ」

 「うむ では、こうしよう お前にもいくらか金を渡すから好きに屋台を回ってくるといい ただし、ただ買って食べて帰って来るな 何か情報を聞いて帰ってこい。 あと、わしの目の届かない所までは行くなよ」


 「わかった」


 すると、風音は“剣獣殺〟から取り上げた袋から銅貨3枚を取り出し俺に渡した。


 「では、食べ終わったらここに集合じゃ」


 そう言って風音は魚の塩焼きの露店で買い物をはじめた。

 

 (情報か… ゲームのチュートリアルで住人に話を聞いてフラグを立てていく。確かそんな事やったな… )


 そんな事を思いながら露店を眺めて歩く。すると、秤を設置した露店がある。俺は、その露店の前で立ち止まった。すると、タバコを吸い俺に気がついた店主が声をかけてきた。


 「いらっしゃい 買い取りかい? ん? なんだ手ぶらか」

 

 どうやら客じゃないと判った店主は、再びタバコを吸いはじめる。


 「あのう… ここは何の買い取りをしてるんですか? 今日、この町に来たばかりで… 」

 

 そういうと店主が答える。


 「ああ そういうことか… ただの冷やかしかと思ったよ ここは魔石の買い取りをしてるよ 知ってるだろ? 魔物の中にある魔石 この秤1メモリで銅貨1枚と交換さ」

 「なるほど 魔物って黒いライオンみたいなやつだよね? 」

 「えっ!? そりゃ魔物だけど… そんなのここらでは拝めないよ ハハ ダンジョンでも行かないと、その手の大物なんかにゃ」

 「えっ? そうなの? さっき見たけど」

 「おいおい冗談だろ? ハハハ さっき言った通りダンジョン上層のエリアボスか『魔獣召喚士』の契約魔物以外に… 本当に見たのか!? 」


 店主の顔色が変わる。


 (うっ!? まずったかな… )


 顔色を買えた店主が質問してきた。


 「坊主… まさか“剣獣殺〟に会ったのか!? 」

 「あ… いや、見間違えたかも ライオンじゃなくもっと小さな… そう! イノシシくらいだったかも」


 慌てて俺は修正した。


 「ああ… そうだろ でなきゃ坊主はここにいないだろな この町の北の森に二人組みの追い剥ぎがいるから気を付けろよ! 間違っても近づくなよ、出会ったら最後… バラバラにされて全て毟り取られるからな… 」


 店主はブルブルッと震えて追い剥ぎの事を教えてくれた。


 「あ… ありがとう 北には行かないように気を付けるよ」


 俺はその場を離れた。

 (やばかった… あの追い剥ぎ達を撃退したなんて言ったら、こっちまで怪しまれてしまう。上手く誤魔化せた… だが収穫はあった。魔物に魔石、そして『魔獣召喚士』… 詳しくは判らないが良しとしよう。)

 

 俺は一度、風音が待つ合流地点へ戻る事にした。

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