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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
都市税争奪対抗戦編
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49話 メイドスのSS


 円形型の特設闘技場の外に出た俺達。各入り口付近で、メイドスとドリボラの参加冒険者へ都市税争奪対抗戦の運営管理をしていた特務機関員が声を上げ呼びかけをしている。


 「メイドスの参加者は、東の参加者専用入り口まで ドリボラの参加者は西です。メイドスは東、ドリボラは西の参加者専用入り口までー! 」


 各所で、同じ呼びかけをする特務機関員。


 俺達は、東の参加者専用入り口に移動する。すると、支部長のブライトとトーマスが待っていた。


 「どうしたんじゃ? 2人とも」

 「試合前の応援に来ただけさ かざねくん達なら問題無いだろ 執拗い様だが、怪我だけしないように頼む」

 「わかっておる ほんと心配性じゃのう あっ、それより『税杯くじ』は買ったか? 倍率10ついておる 金貨30枚用意して買っておけ クックク 数分後には、その金貨が300枚になっているからのう クックク」

 「『税杯くじ』… わかった」


 俺達は、話をすると特務機関員の案内で入り口から中で待機するように指示を受ける。入り口から10mほど歩くと、そこは収容人数500名ほど入れそうな部屋が現れた。何も無い長方形の部屋… ただの空間であった。テーブルも椅子も置いていない。説明によると、この部屋で約30分待機するのだという。


 ▽▽▽


 同じ頃、西側の参加者専用入り口にはドリボラの参加者が集まり、特務員の指示で待機部屋に案内されていた。もちろん、ネビルもその中にいる。煙草を咥えるネビルに、手下達が話しかけた。


 ネビルのパーティーには、ある特徴があった。布で口マスクを素早く巻くために首に黒い布が巻き付けてあるのだ。当然、リーダーのネビルにも黒い布が巻き付いていた。


 「ねえ ネビルさん 昨日の話は本当なんですかね? 」

 「ん? 剣獣殺の件か 話半分だろうな 1人で、あの剣獣殺は無理だろ」

 「そうですよね 一応、参考誌によるとSSが3名になってますけど… 」

 「ハッ! あいつらだろ? 北ダンジョン攻略したっていう どうせ、チンケな方法で運よく未開拓地の発見が出来たに過ぎない 実力が伴わないSSランクなんだろうよ 他のやつらもBランク 良くこんなんで『税杯』に出てきたんだと関心するぜ ハッハハッハ」

 「ほんとだ ぷっ Bランクで出てきたのかよ」

 「ウケルよな 勘違いしてんじゃねえのか? 」

 「たったの8人って… 」


 少し離れた場所から、数名の冒険者がネビルの元に指示を仰ぎに来た。


 「ネビルさん 作戦は? 」

 「おう 俺達のパーティーは序盤、防衛に回る そうだな… BランクとAランクの攻撃型を40名ほど連れて荒らして来い 残りは俺達と防衛につけ。

 1人や2人、こっちに抜けてきても構わねえ 抜けてきたのは俺達で排除する

 わかったな? 」

 「了解した 編成は? 」

 「お前に任せる まあ、そんな気張るな たった8人しかいねえ相手に」


 どうやら、ドリボラは油断している。完全に実力を見誤っているようだ。


 ▽▽▽ 


 風音は、煙管を取り出し煙草を吸いだす。


 「おい、そこの お前じゃ、お前」


 部屋の突き当たりで、闘技会場への入り口になる扉に立つ特務機関員に灰皿を持って来いと風音が言う。


 「灰皿と椅子じゃ 早く持って来い」

 「あ… いや 私はここから移動できないので… 」

 「汚れてしまうじゃろう」

 「風音 俺が持ってきてあげようか? 」


 特務機関員も、所定の位置を動けないのだろう。俺とカーベルで、椅子と灰皿の変わりになる物を探し戻る事にした。

 幸い、臨時屋台がぎっしり立ち並んでいた。俺は、露天商からゴミになった容器を貰い近くの井戸で水洗いをした。カーベルは折りたたみ式の椅子が売っていたのを覚えていたので買いに行ってもらった。


 「はい 灰皿の変わり」

 「風音様 買ってきたッス 折りたたみ式の椅子ッス」

 「おっ ご苦労じゃったのう いくらした? 」


 風音は、カーベルに椅子代を渡すと椅子に座る。


 「うむ 良いではないか」

 

 ギシギシと、身体を上下に動かし耐久も確認している。


 「まったく… ここの運営は碌なもんじゃないのう 待機させるわ 椅子は無いわで」


 トトカルチョで負けたのを思い出したのか、風音がイライラして特務機関員に文を付ける。特務機関員は、バツの悪い顔をしていた。


 「おい 特務員 お前は『税杯』くじは買ったか? 」

 「は… はい」

 「ほほう お前らも賭け事をするんじゃな で、この試合は? 」


 特務員は、更にバツの悪い顔をする。様子を見ていたゼスが、自分の手のひらを両目に被せ目を瞑る。


 「ん? どっちに賭けたんじゃ? 」


 答えは解っている。風音は答えを知りつつ、敢えて特務員に言わせようとする。こういう時の風音は楽しそうだ…


 「ド… ドリボラです」

 「なんと!! こやつは、ドリボラに賭け 金をドブに捨てるのか!? 金持ちじゃのう で、いくら買ったんじゃ? 」

 「金貨10枚です… 」

 「メイドスに賭けとけば金貨100枚になっていたのにのう もったいないのう」


 風音は、そう言うとゼスに問い掛けた。


 「のうゼス わしらのランク SSは、それほど安く見られておるのかのう? 」

 「そういう事では無いと思う ただ、警護や魔獣・盗賊討伐より低く見られているのは確かだ メイドスのSSランク冒険者は未開拓地発見で貰ったSSと認識されている。」

 「ふむ」

 「だが、未開拓地発見でSSになったとしても解っているやつは解っているさ 8階層のキングタイガーを討伐して先に進んだからな それなりに実力があるってのは、そこそこ認識されているはずだ」

 「なるほどのう… 」

 「要因は他にあると思っていい… 」

 「なんじゃ!? 」

 「俺達以外がランクBってところだろうな… 」

 「なるほど… 」


 風音とゼスがカリナ達を見る。カリナ達は申し分けなさそうに下を向く。


 「しかし、実力はSだ それは間違いないだろう 安心しろ」

 「ありがとうございます ゼスさん… でも、悔しいですね」


 カリナが答えた。


 「何を言ってるんだ? 冒険者登録したの何時だよ? 俺なんてBランクになるまで1年はかかったと思うぞ 気にするな」


 カリナの肩をポンと叩くゼス。


 「そうじゃぞ お前達がBランクだから回りは油断してくれるんじゃからのう クックク おかげで倍率も上がったという訳じゃ! 」

 「「「おっ!」」」

 「そのお蔭で各自金貨300枚入るんじゃ めでたいではないか! 」

 「そッスよね! 」

 「そうよ! お蔭で また服が買えるじゃない! 」


 少し暗くなりかけた空気が明るくなる。その時、銅鑼の音が3回鳴った。


 ドーン ドーン ドーーーーン!!


 「そろそろじゃのう クックク 楽しみじゃ」


 風音は、そう言うと女面を外して鬼面に変える。面から2本の角が生え口から牙を突き出す鬼面であった…


 「風音 こわっ… 」

 「クックク 戦を楽しもうではないか!! 」


 我慢が出来なくなったのか、風音は折りたたみ式の椅子から立ち上がり闘技場の方を見つめている。暫しの時が過ぎ、参加者入場の合図が鳴らされた。


 ドーン ドーーーーン!!


 銅鑼の音が、2回鳴らされると案内役で立っていた特務機関員がドアを開けて先に進むよう指示する。


 「どうぞ、進んで下さい」


 風音を先頭に、案内された細い通路を抜け俺達は闘技場に足を踏み入れた。


 俺達と、同時に入場して来たドリボラの冒険者達。沸き起こる大歓声。


 「うおおぉぉ!! 出てきたぞ ドリボラだ! 」

 「頼んだぞ! ドリボラ!! 」

 「お前らに賭けてんだ! 負けるんじゃねえぞ!! って、8人しかいないメイドスに負けようもねえな ガハハハ!! 」

 「少しは楽しませろよ メイドス せめて5分は持たせてくれよ! 」


 大半の観客が、ドリボラの勝利を疑っていない。

 しかし、風音の存在を知る者は違った。


 メイドスギルド支部 支部長ブライト。

 ギルド本部 本部長アドルフ、副本部長カテリーナ、ダンジョン・遺跡部門責任者 部長トーマス。

 そして、ディオルド王国 管理局特務機関 局長アラン。


 この人数差を、どの様に対処し勝利するのか… 

 風音から視線を逸らせないのであった。


 両陣営の上に、パネルが表示され戦闘開始の合図が鳴らされた。

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