48話 予選開始と税杯くじ
俺達は、食料を買い宿屋で食事をしていた。
ドンドンドン
「わたしだ かざねくん ブライトだ」
宿屋の部屋のドアを叩くのは、メイドスギルド支部長ブライトだった。
ゼスが、部屋の鍵を開ける。
「大変だったらしいね… 遅れて済まない トーマスに案内してもらった」
「別に問題無い 遅かれ早かれ、あやつらはこうなっておったわ」
ギルド本部に立ち寄った支部長は、剣獣殺の件を本部長のアドルフに聞いてきたらしい。そこに、戻ってきたトーマスと宿屋に来たのだという。
「一杯どうだ? 支部長 トーマスさん」
ゼスが、コップに酒を注ぐ。
「じゃあ一杯だけ貰おうか。明日は、大怪我だけはしないようにな 皆」
「ああ 解っているさ 支部長」
…… …
1時間もすると、ブライトとトーマスは宿からトーマスの自宅に戻る。ブライトはトーマスの家に泊まるらしい。
俺達は、明日のドリボラ戦の打ち合わせを始める。
「予定は変わらん ゼスは、わしの後ろに付いて相手のパネルで人数を照らし合わせアサシンの有無確認じゃ」
「了解」
「防衛は、わしのクロも放っておこう 保険じゃ」
「「「了解」」」
「両サイド 左からカリナ 右からカーベル 無理はするな わしが氷穴で援護もするでのう 相手の数が多いと感じたら、防衛ラインまで一度下がって託也も援護に回れ」
「「「了解」」」
「皆、無理をするでないぞ こんな事で怪我でもしたら馬鹿らしいからのう」
「うん 地下遺跡の調査が待っているからね」
「そういうことじゃ 今日は、早く寝るんじゃぞ 明日は1回戦から見にいくからのう 楽しみではないか 冒険者がどんな戦いをするのか クックク」
―― 次の日 1回戦第1試合 トロレス140名 対 トレイル50名
すでに、特設闘技場は熱気の渦に包まれていた。
「凄いのう… こんなに戦を見に来るんじゃな」
「ああ 4年に1度の祭りだからな」
「ねえ 観客の中にいる新聞みたいなの持ってる人達って何なの? 」
「あれは賭けだよ 毎試合賭けが行われているんだ」
「「えっ!? 」」
「本当かそれは!? 」
「あ… ああ 闘技場の入り口で賭けが出来るよ」
「それを早く言え!! 託也!! 行くぞ! 」
「う… うん」
俺と風音は、急いで『税杯くじ』と呼ばれる券を買いに行く。
簡単に説明すると、トトカルチョ。ヨーロッパにあるサッカー賭博と同じで国が認めている賭博である。日本ではサッカーくじ(トト)と呼ばれるものだ。
俺と風音は、入り口まで戻ると参考誌なる物を購入。各都市の参加人数と冒険者ランクが記載されている。
『税杯くじ』の窓口では対戦カードがボードに記載され下に配当が表示されていた。
「トロレス2 トレイル6… Sランクは若干、トロレスが多いのう」
「140名と50名じゃ分が悪いよ 倍率2って事は倍だね」
俺は、トロレスに金貨10枚を賭ける。
「なんじゃ 託也 ガチガチじゃのう クックク これだから素人は」
そう言うと、風音はトレイルに賭け金の上限、金貨30枚を賭けた。
「クックク これで金貨180枚になるのう」
隣のボードでは、第2試合と第3試合の『税杯くじ』が購入出来る。倍率が、ドリボラが2 メイドス10となっていた。俺と風音はニヤリと笑う。もちろん、メイドスに金貨30枚を賭け『税杯くじ』を購入した。
飲み物を買い、ゼス達がいるところに戻った。
「買ったのか? かざねさん」
「当然じゃ! トロレスが勝てば金貨180枚じゃ!! 」
「「「「「… 」」」」
皆が、同じ顔をしていた。ダメだ、こりゃ。
「それより皆、自分達の試合は買った? 」
「いや、未だだけど」
「「「買ってない」」」
「倍率みたら うちらは10ついてたよ 金貨30枚の『税杯くじ』買っちゃったよ 勝てば金貨300枚だよ? 」
「「「!!」」」
「ち… ちょっと俺も買ってくるわ」
「あたしも!! 」
「ゼスさん待って! 私も行きます!! 」
結局、みんな自分達に有り金の全てを賭けていた…
ドーン ドーン ドーーーーン!!
銅鑼の音が、3回鳴る。準備の開始合図だ。
円形闘技場の両サイドにオブジェクトが運ばれる。
ドーン ドーーーーン!!
銅鑼の音が2回鳴った。参加冒険者の入場だ。
配置されたオブジェクトから前に3mのラインが引かれている。そこより、前に出るのは試合開始の銅鑼の音が鳴ってからだ。それまではラインの手前で待機となる。両陣地に、参考誌と同じ冒険者ランクがパネルに表示された。
両陣営は、すでに武器を抜き戦闘体勢に入っている。
ここで開始の合図が鳴る。
ドーーーーーン!!
「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
開始直後、30名ほどオブジェクトの周りに残しトロレスが仕掛ける。所詮は多勢に無勢… トレイルの人数が、次々とパネルから消えて行く。
人数で押される、トレイル側の諦めは早く自ら自己申告で退場する者も出てきた。開始10分も経たない時間だった。
防衛陣と戦闘するトロレス。隙を付き、ストライカー3名がオブジェクトに張り付き破壊に成功。
ドンドンドンドンドドドドドンドーーン!!
連続して鳴り響く銅鑼の音。試合終了の合図だった。
トロレス側に、20名の戦闘不能を出したものの数の暴力には勝てなかったようだ。風音は歯軋りを立て、観客席の最前列まで歩き出しトレイル陣地に野次を飛ばし始めた。
「ぐぬぬぬ… こらぁー! 同じ負けるにしても、もう少し堪えんかあ!! わしの金貨30枚返せぇぇ!! 」
俺とゼスは、暴れる風音を羽交い絞めにして闘技場の外に連れ出した。
「風音 落ち着いて 次、試合だよ」
「わかっておるわ!! ぐぬ… ドリボラめギタンギタンにしてくれるわ! 」
えっ… 何でそうなるの




