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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
王都編
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39話 海旅行 その2


 俺は、ゼスが捌いた刺身を食らう。


 「うーん! 美味い!! 刺身最高! 」

 「美味いよな 俺も大好きだ とろりとした食感が堪らないよな」


 ゼスも、刺身が好きらしく魚を捌きながら嬉しそうに答える。

 ふと、ダムの方を伺うと、カーベルが隣で何やら騒いでいる。


 「ダム! 釣りなんかしてないで飲もうぜ! なあ ゼスさんのところで刺身食おうぜ」

 「いいよ 行けよカーベル 俺は酒より釣りの方がいいんだ」


 会話が、聞こえたゼスはカーベルに言う。


 「おーい カーベル ダムの邪魔をしてやるな こっち来て飲んでろ」

 「ダムは ほんと釣り馬鹿だな」


 そう言って、カーベルは氷の箱の中からゼスが持ってきた酒をコップに注ぎ飲みはじめた。


 「かはぁ! うめぇ! ゼスさん この酒、美味いっスね! 冷やして飲む酒なのかな いくらでも飲めそうっス! 」


 カーベルは、アル中決定かもしれない… 


 「わしにも酒をよこさぬか」

 「風音様! 何時の間に… 」

 「たった今じゃ ゼス 座るところは無いのか? 」

 「ああ 今、椅子を借りて… って! かざねさん 何だその格好は!? 」

 「クックク 似合うじゃろう! 」


 風音は麦藁帽子を被り、昨日のサングラスをかけ真っ白いワンピースの水着の上に半袖のパーカーを着ていた。サングラスさえ無ければ可愛いのに…残念すぎる。そして、後ろに立つ女性陣! 

 カリナは、オレンジ色のビキニの上に風音とおそろいの半袖パーカーを着こなす。続くアルマは、この中でダントツの色気を放っていた。黒いワンピースにおそろいのパーカーだが水着の切れ込みが凄かった… 油断するとヤバい状況になる予想は出来たので、なるべく見ないようにした。

 隣のマリーは、黄色いワンピースを着ている。普通のワンピース… とっても可愛らしいのだが、腕宛と肩宛をしている。何でか不思議に思い質問してみた。


 「マリーは、なんで腕宛とかしているの? 」

 「契約動物を、もっと慣らすために召喚しているの」

 

 マリーが上を向くと、頭上で召喚契約した鷹が旋回している。


 「なるほどねえ」

 「ゼスさん 魚貰えますか? あの子に食べさせたいんですけど」

 「あ… ああ かまわんよ たくさんあるから食べさせろ」


 ゼスの視線は風音に釘付けだった… そんな、ゼスの気持ちを察してか風音は態と上目遣いの視線を送ったり足を突き出したりする。まさかゼスは… ロ… なのか。

 

 「こっち来なさい ご飯だよ」


 マリーが頭上で回る鷹に声をかける。鷹はゆっくり空から降りてきて、マリー自身が作った腕の止まり木にしがみつく。マリーが、手掴みした魚の切り身を口元に差し出すとパクパクと食べ出した。


 「たくさんあるから ゆっくり食べなさい」


 マリーは、鷹に優しく声を掛けながら切り身を食べさせる。


 「託也 わしらに何か言う事は無いのか? 」

 「えっ!? 別に無いけど… 」

 「はぁっ!? もっと こうあるじゃろ? 綺麗とか可愛いとか ああん!? 」


ああ… なるほど。そういう言葉が欲しかったのか 判った。


 「あ ごめん 気が効かなくて うん みんな可愛いと思うよ」

 「クックク そうであろう はじめからそう言えば良いのじゃ のうアルマ」


 何故か、アルマにだけ相槌を求める風音。アルマは真っ赤な顔をしてこちらをチラ見してくる。風音はそんなアルマを見てニヤリとしていた。一体、何なんだろう…


 ピィ ピィィー


 餌を食べ終わった鷹が、空に飛んでいくと空中でホバリングをはじめる。次の瞬間、海に向かって急降下をし海面すれすれを飛ぶ。

 ゼスを構っていた風音が、その様子に気付いて口を開いた。


 「あやつ ミサゴか!?」

 「ミサゴ?」

 「うむ 鷹の仲間なんじゃが 海岸付近や水辺に住む鷹じゃがクマタカみたく小動物を狩りするのではなく魚を狩りする鷹じゃ」

 「へぇ 鷹って1種類かと思っていた 色々いるんだね」


 海面すれすれを、飛んでいた鷹の足元が一瞬だけ海に浸かる。次の瞬間、魚を掴んで高度を上げていく。鷹は、魚を捕獲してマリーの頭上で旋回をはじめた。


 「よし いい子ね その箱の中に入れてくれる? 」


 マリーは、氷が入った箱を指差すと空中で旋回していた鷹が魚を放し箱に入れマリーの肩にしがみつく。


 「賢いのう マリー 大事に育てるのじゃぞ」

 「はい 風音様」


 風音は、ゼスが用意した椅子に座るとコップに注がれた酒を飲む。


 「おっ これも美味いのう 王都の酒か? 」

 「ああ 売っていたのは王都だけど作っている場所はコクロ村というところだ」

 「ふむ ところでマリー そやつに名前は付けぬのか? 」

 「付けます んー 何がいいのかなあ… だいたいは決まっているんですけど」

 「何じゃ? 」

 「ポーロです… 」

 「良いではないか ポーロ 後は、メイドスのギルドを覚えさせるんじゃ」

 「はい! 」


 風音は、鳩としてマリーとポーロの活躍を期待している。しかし、メイドスだけ覚えさす気なのか聞いてみた。


 「王都とか他の都市は覚えさせないの? 」

 「信用出来る相手にしか鳩は飛ばさせん」

 「風音は、そういう所は徹底しているよね」

 「当たり前じゃ 下手にあちこち飛ばしては情報が漏れたりするからのう」

 「確かに… 」

 「さて、せっかくの海じゃ 少しだけ泳いでみるかのう 皆行くぞ」


 風音達は、パーカーを脱ぎ捨て浜辺に走っていった…

 

 これからメイドスに帰りパーティーメンバーの、特訓が始まる事をこの時は誰も知る由もなかった。

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