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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
王都編
33/66

33話 マジックアイテムとお上りさん


 ギルド本部から、荷馬車警護の依頼料を受け取った俺達は宿屋にチェックインするとゼスの部屋で報酬の分配を開始する。北ダンジョンからメイドスの警護依頼料金貨500枚と、メイドスから王都の依頼料金貨800枚。計金貨1300枚から俺、ゼス、風音、カリナに各金貨300枚が分配された。残りの金貨100枚は、食事代・馬の餌・マジックアイテムの補充等に使われることになった。


 分配が済んだゼスはカリナに話をする。


 「みんな ご苦労さん とりあえず依頼料の分配は終わりだ。カリナ その金貨300枚は皆で分けてくれ 分け方は色々あったとは思うが、今回は均等に分けて欲しいと思っている よろしく頼むよ」

 「はい! しかし… こんなに貰ってしまっていいのでしょうか? 」


 カーベルやアルマ達の目は金貨に釘付けであった。


 「もちろんだ かざねさんも承諾している 明日は、王都を案内するから好きな物を買うといい とりあえず、飯にいくか ね! かざねさん」

 「うむ」


 俺達は、ゼスの案内で宿屋から近い飯屋に入った。各自が、好きな物を頼み飲みはじめる。店の概観は、街と同化していたが中身は居酒屋に近い雰囲気。 客層も、冒険者が対象のようで量も大目。他の席にも、冒険者達がちらほらと飲み食いしている。耳を澄ませば、話の内容も容易に聞き取れる。逆に言えば、こちらの話も聞かれるという事が理解出来る。

 経った数日で、そんな状況に慣れた俺達の食事はひたすら黙って飲み食いするものだった。アルマやカーベル達も、黙ってはいるが理解しているのだろう。必要以上の話は一切しなかった。


 俺達は、早々に飯屋を後にし酒とつまみを買い宿屋へ戻った。部屋に戻ると皆が口々にしゃべり出す。


 「ゼスさん ちょっと質問」


 俺は、ゼスに前々から気になっていた事を聞いてみた。


 「魔法ってどうやって防ぐの? 」

 「魔法か… 魔法軽減装備を着るかマジックアイテム それかスキル付与だろうなあ」

 「そんな装備があるのか? 」


 黙って酒を飲んでいた風音が会話に参加する。


 「ああ たぶん、カリナ達が着ていたローブもその類だったと思うが どうなんだ? カリナ」

 「はい 私達が着ていたローブには魔法軽減が付与されています。」

 「てっきり、顔を隠していただけと思っておったわ そうだったのか… 」

 「スキルって支部長が隼に使っていたスキルの事だよね? 」

 「少し違うかな あれは物理魔法の1回きりの無効化だ 常時、軽減出来る装備の方がいいだろうな 俺も、色々な所を回ってみてきたがアースウォールを付与したマジックアイテムを装備しておいた方が、緊急時は一番良いかもしれないな」

 「魔法か? 」

 「ああ 地系魔法なんだが地面から土の壁を出現させる防御魔法だ 数回の対処であればお勧めだな 逆に相手が魔法系と判っていれば初めから軽減装備の方が無難だ」

 「よし! 明日はそれを人数分買おう ゼス」

 「了解! お安い御用だ」

 「後は報酬を受け取るだけじゃ 皆、今日は飲むぞ! 」

 「おーう!!! 」


 俺達は、眠くなるまで酒を飲み続けた… 結局、3つ取った部屋のうち2つは無駄となった。全員、この場で眠りこけたのであった。


 ―― 次の日の朝


 ゼスの案内で、王都を回る俺達。服・靴・釣具・雑貨等を回って昨夜、話に出たマジックアイテムを購入しに行く。アースウォールが付与してあるマジックアイテムを探したが、種類が多すぎてゼスは悩んでいる。ネックレス・指輪・腕輪・イヤリングと様々な形態で売られていたが結局、各自が好きな形態のマジックアイテムを買う事にした。

 女性陣はイヤリング1択。小さく、嵩張らずに青白い水晶を使った綺麗なイヤリングだった。

 ソードファイターのダムとストライカーのカーベルは、ネックレスを選ぶ。慣れてしまえば気にならないと話していたが指輪や腕輪を身に付けると、暫くは違和感があるのだという。俺とゼスは、指輪を選択する。2人とも拳で戦闘するタイプではないので特に拘らず決められた。


 次に、向かったのが武具屋。

 ここでゼスが、膝下まである長い外套を人数分購入する。フードは無いが各自の体型に合ったものをチョイスした。生地は、薄手だが防御範囲が広く魔法ダメージを大きく軽減してくると説明した。

 ここで、風音がカリナ達に武器を買い変えろと話しだした。


 「お前達 自分に合った好きな武器を買え 費用は気にするな わしが買ってやる 今回の依頼のご褒美じゃ」

 「いいんですか!? 」

 「うむ はじめから決めておった事じゃ のう ゼス」

 「ああ みんなの力が底上げされれば良い事尽くめだ! 」


 はしゃぐカリナ達を横目に、やさしい笑みを溢す風音であった。


 ▽▽▽


 買い物を終えた俺達は、定時連絡の為ギルド本部に寄る。

 風音とゼスが、2階の本部長室に向かう。他の者は、1階フロアーで戻りを待つ事にした。俺は、掲示板の前に立ち膨大な依頼の内容を見ていく。すると、隣にいたカリナが話しかけてきた。


 「凄いわね… なんて依頼量なの」

 「うん 凄いよね さすが、王都って事なのかな」

 「うん… 」


 俺とカリナの会話に、聴き耳を立てていた王都の冒険者であろう2人組みが話しかけてきた。


 「なんだい? あんた達 他所から来たのか? 」

 「うん そうだけど? 」


 若い冒険者… 歳はカリナと変わらない感じがする。


 「ふーん お上りさんか もしかして、ショッピング? フッハハハ! 」

 「… 」


 お上りさんとかって… 田舎者って馬鹿にしてる訳か、嫌な感じだ。俺とカリナが、買い物で抱えていた荷物を見ると笑いだしたのだ。


 「なあ? お前達 どの都市から来たのよ? 」

 

 もう1人が聞いてきた。


 「メイドスだけど? 」

 

 「メイドス? ガッハハハ!! 田舎も田舎! 超田舎じゃねえか! 」

 「王都に比べたら田舎だよね」

 「税杯にも出てこれねぇ ゴミ都市じゃねぇか! さっさと田舎に帰れ! 」


 税杯… 一体、何の事だろう。まぁ、騒ぎを大きくする気はさらさら無いので、無視してその場を立ち去ろうとした時だった。


 「うむ… その税杯とは一体、何の事じゃ? 」


 2階の、本部長室から出てきた風音が煙管を銜えながら階段を下りてきた。すぐ後ろにゼスも続く。


 「風音! 」

 「風音様! 」


 風音は、若い冒険者2人に近づき煙を吹きかけ威圧しながら問い質す。


 「のう… 小童 税杯とは何じゃ? 」


 一瞬、怯んだかのように見えた若い冒険者2人は風音の容姿を改めて確認して答えた。


 「チッ… 餓鬼か 脅かしやがって… お前らもメイドスの冒険者か? 」

 「ああ… 悪いか? 」


 ゼスが、怒り心頭に答える。 


 「毎回、参加費すら納められないメイドスだ 馬鹿にされても仕方ねぇだろが? この中で、あんたが一番歳食ってるんだから知ってるよな? 」

 「ああ… 知っている」

 「だったら教えてやりな 無駄に歳ばっか食って、下のもんの教育もまともに出来ねえから田舎者って馬鹿にされるのさ」

 「正論だな! ガッハハハ!! 」


 歪んでるな… 出身地で他人を見下す若い冒険者。


 「お前ら!! 何をしている!」


 突然、2階の踊り場から怒声がした。フロアーにいた冒険者全員が一斉に振り返る。


 「副… 副本部長!? 」


 若い冒険者2人は、カテリーナが現れると慌てて言い訳をはじめた。


 「こ… こいつが因縁をつけてきたので 言い合っていただけです… 俺達からは何もしていません! 」


 俺を、指差して因縁を付けてきたと言い出す始末であった… 俺達は呆気に取られてしまい怒りすら忘れてしまった。


 「カテリーナ… お前も大変じゃのう 気の毒でしょうがないわ」


 風音は呆れ顔で、そう言うとスタスタとギルド本部を後にした。カテリーナは風音に向かって頭を下げ、悔しそうに顔を歪めた。

 俺達も風音に続いて、その場を後にする。


 「ゼス… 申し訳ない」


 カテリーナがゼスに謝る。恐らく、カテリーナは俺達から因縁を付けたとは思っていないのだろう。


 「お前が、謝る事はない 気にするな」


 カテリーナの心中を察したゼスも、それ以上の事は何も言わずにギルド本部を後にした。

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