31話 王都
俺達は、ゼスの家に着くと帰り際に露店で買った串肉や魚を食べ、各自部屋で眠りについた。
―― 夜中
がっつり、睡眠を取った俺達はギルド裏の広場入り口に馬車を止めてギルド1階の長椅子に座り待機する。俺は、様子を見に応接室に行ってみた。
「お邪魔します… 」
「お 託也 来たか」
ゼスが、ソファーの端に座り声をかけてきた。その横には風音が横になり寝ていた。
「ゼスさん ちゃんと寝たの? 」
「ああ さっき起きたばかりだ」
「風呂でも入ってきたら? まだ時間あるし」
「そうだな… 温泉に浸かってくるかな」
「わしも行く… 」
「風音 起きてたの? 」
「いや… 寝ていたが お前達が建物に入った足音で起きた」
「あ… ごめん」
「よい ゼス みんな起こして温泉に行くとしよう」
「おっけー 託也達はうちの風呂入ったんだよな? 」
「うん みんな入ったよ 俺達が見張るから行ってきてよ」
ゼスは、迎いのソファーで横になるトーマスと隣の部屋で寝ていたアレクシスとカテリーナを起こして温泉に向かった。支部長は心配だからとギルドで待っているという。俺達は交代で広場の見張りをする事にした。大人数で集まっていても逆に目立つので約1時間の3人交代。まずは、俺とアルマとマリーで見張りについた。広場の中には、クロもいるので馬車に座って様子を見てる事にした。何事も無く時間が過ぎていく…
▽▽▽
露天風呂では、風音とカテリーナが湯に浸かったところだった。
前回の露天風呂で、見たら殺すと言われ後ろを向いたまま振り向けないルールは同じであったが、風音は温泉に浸かりながらゼスの前に移動する。
「な… なんで来るんだ!? かざねさん! 見えちゃうから駄目でしょ! 」
すると、風音がくりると背中を向けて
「肩が凝ってしまってのう… 辛いんじゃ ゼス 肩を揉んでくれ」
「えぇっ!? 駄目だ! 」
ゼスは、顔を真っ赤にして全力で拒否する。すると、風音はゼスの手を握り自分の肩に置く。
「ほれ 揉んでくれ」
「… 」
諦めたゼスは真っ赤になりながら風音の肩を揉み解す…
「うむ… 気持ちいいのう わしの専属肩揉みにしてやろう ゼス」
「ほんと… 勘弁してよ かざねさん…」
「クックク」
その様子を、遠目で眺めるカテリーナ… 父ブライトが、言っていた言葉が脳裏に浮かんだ。『ただの餓鬼に見えるのか? よく見てみろ… 』確かに…
見た目は幼くても、別物。圧倒的な力だけでなく、人心の掌握、先見の明、経験値、全てが桁違いに思えた。
「そうじゃゼス カリナ達に金貨100渡してやれ わしらは100づつ 残りはそうじゃな… 武具やマジックアイテムに使うのはどうじゃ? 」
「やっぱりそうか 同じ事考えていたよ かざねさん」
「うむ わしと託也に関しては武具など必要ないが カリナ達の底上げに使っておきたいのう… 」
―― 数時間後
風音達は露天風呂から戻って応接室で寛いでいたが、出発するため動き出した。空は、まだ暗いが1時間も経てば明るくなってくるだろう。
俺達は、メイドスから西へ向かいマリル付近で南下するコースを使う。特に問題無く進む一行、単騎の馬が荷馬車を挟み護衛していく。
…… …
ゼスが、馬を寄せて風音に近づく。
「かざねさん 見えてきたぞ あそこが王都だ! 」
風音は、ゼスの視線の先を見ると高い塀に囲まれた巨大な都市、王都が姿を現した。その広さは、メイドスの5倍はくだらないだろう。
その時、正面から3頭の馬が一行に近づいてくる。口元に布を巻き付けた特務機関の連中だった。3人は、一行の手前で逆方向に向き直して先頭付近にいた、ギルド本部副本部長カテリーナに話しかけていた。話を聞き終えたのかカテリーナがゼスの元まで下がってきた。馬に乗りながら特務機関の伝言を伝える。
「ゼス! ここから特務も護衛に参加するらしい 王都付近の策敵は済んでいるらしいから3人の後に続いて欲しいとの事だ」
「わかった」
一行が、王都に近づくと特務の人間が脇道から合流してくる。合流した特務員は、荷馬車の横に付き護衛していく。
王都の、南門が目視出来る距離まで来ると減速の指示が出た。このまま、王城まで進むようだ。南門の検問は特務機関とギルド本部で事前の打ち合わせが出来ていたのであろう、素通りであった。検問中の強奪を回避する策なのだろう。
真っ直ぐ南下した王都中央には、一際目立つ城が聳え立つ。周囲の建物とは違い、水が流れる堀と高い壁に囲まれた金殿玉楼。王家の旗なのか国旗なのか、判らないが市中の道路に旗がはためいている。
一行は、市中を抜けて王城前の跳ね橋で停止命令を受ける。そこには4名の門番が待機していた。特務機関の人間が説明すると、荷馬車と王都の学者アレクシスが入城を許される。特務機関の1人がカテリーナに今後の指示をする。
「お疲れ様でした! 今後の指示はギルド本部長に直接致します。関係者は連絡が付くようにしといて下さい。」
「わかりました ご苦労様でした。」
そう言って、特務機関員と財宝を載せた荷馬車が次々に王城へ入っていった。王都学者のアレクシスも後に続く。
「聞いての通りだ ゼス 一度、ギルド本部に行こう」
「わかった カテリーナ」
こうして、俺達は王都に財宝を運び査定を待つだけとなった。




