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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
北ダンジョン編
30/66

30話 バジリスク


 学者2名を連れた、北ダンジョンも全ての財宝を運び出して9階層から撤退。8階層へ風音をはじめゼス、カテリーナ達が移動して来た。俺とカリナは、倒したキングタイガーの魔石を空いた手押し車に積んでダンジョンを降りて行く。


 ゼスが全員に指示を出す。


 「みんな聞いてくれ 調査は完了だ ご苦労様です。これからメイドスに向かって戻るが、その前に食事にしておこう 炊事係り以外は、馬車から離れず警備をよろしく」


 ダンジョンから戻った風音は、ダムとマリーの元に行き変わった様子は無かったか確認する。ゼスはカリナと、料理道具と材料を持ち小屋の中にある炊事場へ向かった。雑兵のほうも数名が小屋に向かい食事の用意をはじめる。


 「ご苦労じゃったな 変わった様子は無かったか? 」

 「はい 異常ありません」

 「はい! 」 


 学者の、トーマスとアレクシスも風音達の元へ行きダムとマリーに労いの言葉をかけていく。

 

 ―― 数時間後


 メイドスに戻ると、ギルドの前は冒険者達でごった返しであった。


 「おっ!? 何か来たぞ! 」

 「ゼスじゃねぇか!? 」

 「おい! ゼス! 北ダンジョンで何があったんだ!? 」


 俺達は、表の冒険者達を無視して応接室へ向かった。応接室で支部長のブライトが俺達を出迎えた。


 「ご苦労だった!! ゼス! かざねくん! たくやくんも座ってくれ」

 「なんだこれは? 大騒ぎだな もうバレたのか? 支部長」

 「ああ 昨日、北ダンジョンから帰ってきたパーティーが雑兵にダンジョンから追い出されたらしい 何かあったんだろうと色々勘ぐってる段階なんだ」


 風音は、煙草を吸いだし支部長に助言する。


 「話をするしかあるまい」

 「しかし、かざねくん… まだ王都に荷を運んでいないのに情報を漏らすなんて事は無理だ」

 「8階層突破に成功したが、9階層に新種の魔獣が現れて討伐していたと話したらどうじゃ? 財宝なんかの話は伏せとけばよい」

 「その手でいくしかないか… 」

 「ほっといたら 何時までもあーしてるぞ あやつらは それに9階層の魔獣は託也が契約したから見せるだけで解散するじゃろう わしに任せとけ」


 俺達は、騒ぐ冒険者達に説明しにいく。風音が大きな声で冒険者達に呼びかけた。


 「お前ら 何を騒いでおるんじゃ! ギャーギャー みっともない」

 「嬢ちゃんじゃないか!? 」

 「誰だ? 子供じゃないか? 」

 「ほら このあいだ ビーノをのした」

 「俺、見てたぜ! そこの嬢ちゃん めちゃくちゃ強いんだぞ! 」


 何人かは、ビーノと風音がやりあったのを知っていたため風音の説明は省かれた。


 「わしから説明してやる 聞いとけ 8階層をクリアーして9階層に行ったが新種の魔獣が出たため王都から討伐の手伝いに行っておっただけじゃ 魔獣の討伐は成功した 危険だったため北ダンジョンは一時、封鎖したまでじゃ 今は封鎖も解除されて、何時も通り魔物狩りが出来るようになっておる」

 「新種の魔獣… 強かったのか!? 」

 「どんな魔獣だったんだ? 教えろ! 大きさは? 何匹いたんだ? 」


 冒険者達は、情報を引き出そうと捲し立てる。


 「知りたいやつは着いて来い 闘技場で見せてやる 1匹は契約したからみせてやれるぞ」


 冒険者達を、引き連れ西の闘技場に到着すると風音が俺に向かって依代を出せと言った。俺は、言われた通り巨大魔獣を出した。依代を投げると青白く大きく光りその姿を現した。辺りはパニック状態に陥った。


 「ぎゃあぁぁぁ!! 」

 「ひひぃぃぃ! なんだこれはぁぁ!! 」


 一番驚いていたのは、ギルド学者のトーマスとカテリーナだった。


 「ま… まさか 本当に実在したとは… 」

 「ん? トーマス 知っておるのか? 」

 「文献に記されていた古代魔獣だ… バ… バジリスク… カテリーナの話を聞き半信半疑ではあったが… 実在していたとは… 」


 トーマスはショックのあまり、その場で尻持ちをついてしまった。カテリーナ本人は顔面蒼白。ブルブルと身体を震わせてバシリスクを見る事すら出来ないでいた。恐らく、以前の体験の恐怖を呼び起こしてしまったのだろう…


 俺は、近くによりバジリスクの体に触れもっと小さくなれないか聞いて見る。

 すると、スルスルと体が縮まっていった。言葉が通じるようだ。俺と同じくらいの大きさまで小さくなる。俺は、やさしく首の辺りを撫でてやった。


 「こういう訳じゃ キングタイガーすら倒せないものに こやつを倒せるはずもない 他に何匹もいるからのう… まあ、暫くは先に進めまい」

 

 風音は嘘を付いた… まあ、すぐに真実は伝わるだろうが良い時間稼ぎにはなっただろう。


 「なるほどな… こりゃ手に追えないな」

 「ああ… あんな怪物 無理無理」

 「それじゃ 北ダンジョンは今まで通り 狩りは出来るんだな? 支部長」


 「ああ 封鎖は解除された 今まで通り魔石の交換もする どんどん稼ぎに行って欲しい」

 

 何とか、冒険者達の混乱が解消されたようだ。続けて風音が冒険者達に北ダンジョンに向かうルートを聞きはじめた。


 「お前ら 西の都市に寄って北ダンジョンに行ってるそうじゃな? 」

 「ああ… 剣獣殺が出るからな 北ルートは」

 「安心せい わしがちいとばっかし懲らしめた 二度と出てこれんじゃろう」

 「なんだって!? どうゆう事だ 嬢ちゃん!? 」

 「言った通りじゃ 態々、西に回らなくとも良いと言いたかっただけじゃ これで北ダンジョンに関する説明は終いじゃ」


 俺達は再び応接室に集まる。


 「ふぅ… ありがとう かざねくん これでなんとかなった」

 「かまわん それより支部長 剣獣殺は何時ごろから北で追い剥ぎをするようになったんじゃ? 」

 「半年くらい前かな… すぐ依頼を出して討伐に向かってもらったが… やつらはこっちの人数が多いと決して出てこないんだ 数人だと逆に返り討ちになってしまって自然と西回りのルートが完成してしまった」

 「ふむ… わしが追い剥ぎならもっと人が通る場所でやるがのう… どうも解せんのじゃ のう… 西ルートを形成した事で誰が得をした? 」

 「西の支部… 都市マリル… 」

 「ちょっと前から少し気になっていたことじゃ わしの思い過ごしかもしれんからあまり気にするな 支部長」

 「ああ… 考えもしなかった かざねくんには本当に驚かされっぱなしだ」


 「託也 魔石の換金をして みんなを連れて家に戻って寝とけ 明日、日が昇る前に王都に出発じゃ 風呂にも入って疲れを取っとけ」

 「了解」

 「学者も寝取ったほうがいいぞ」

 「ああ 隣の部屋で横になっててもらって構わない カテリーナも寝ときなさい」

 「わかった 少し休ませてもらうよ 父さん」


 アレクシスとカテリーナが隣の部屋で休憩に入った。すると、思い出したかのように支部長が依頼料をゼスに渡した。


 「ゼス ここまでご苦労だった 約束の金貨500枚だ」

 「400だったろ? ここから王都の依頼はギルド本部でもらえるんだろ? 」

 「かまわん それだけの仕事だということだ 遠慮せず貰っといてくれ」

 「ゼス 雑兵に予定を伝えてくれぬか? 交代で休むように言ってきてくれ」

 「わかった 俺達はどうする? 一度戻るか? 」

 「いや… わしは今日ここで見張っとく 何かあれば、ここからすぐに対処出来るからのう」

 「了解だ それじゃ俺も今日は、ここで寝る事にする 食い物とか買ってきとくよ」

 「うむ 頼んだぞ」


 ゼスは、伝言を伝えるために雑兵の元へ向かい買い物へ行った。風音は窓際に立ち広場を見つめてクロを出す。袖口から出てきたクロは、見る見るうちに風音より少し大きなサイズに変更した。


 「クロ 広場に行って見張れ 異変があれば知らせよ」


 クロはズルズルと体を引きずり表に出ていった。


 「わしは少し ここで横になるからのう トーマスも休んどけ」

 「わかった かざねくん」


 風音はソファーの上で足を伸ばし横になる。気の休めない連続の日が続く。


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