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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
北ダンジョン編
27/66

27話 排除完了


 ゼスの家で、食事を終えた俺達は客間でまったりしていると玄関を叩く音がする。支部長のブライトが迎えにきたようだ。


 ドンドンドン! 


 「ゼス! 私だブライトだ 開けてくれ!! 」


 ブライトは玄関を通され客間に行くと、武装したカリナ達の物々しい雰囲気に圧倒される。


 「一体これは!? 」

 「ああ 支部長 気にしなくていい 仲間だ 彼らも北ダンジョンと王都まで一緒に行く」

 「おお! これだけいれば少しは安心だ」

 「で、来たのか? 」


 ゼスが尋ねる。


 「来たぞ! 王都から学者1名と手足れ2名がギルドに到着した」

 「わかった みんな! 手はず通り行くぞ」

 「了解! 」


 ゼスが、ブライトの後ろに乗りギルドに向かう。黒蓮を操る風音の後ろに俺が跨り、カリナ達は馬車1台で後を追う。


 ゼスとブライトは、2階の応接室で待っているギルド本部から来たトーマス、王都から着いたばかりの学者アレクシスと合流した。


 ▽▽▽


 ギルドの裏に、馬車を止めて置ける広場がある。そこには、雑兵数名と荷馬車1台の横に男二人が煙草を吸って立っていた。男二人の側には馬が2頭いる事から荷馬車とは別行動をすると思われる。


 風音は、広場に入ると黒蓮から飛び降りる。俺は、預かった手綱を柵に結んで風穴を撃てる様に準備しておく。カリナ達は、広場の手前で荷馬車を止め乗り込んだまま待機していた。風音は袖口から煙管を出し煙草を吸いながら歩き出した。


 外はすでに暗く、街に設置されたランタンの火が灯されている。風音の後ろには、異様なシルエットが街の明かりで写し出される。すでに依代が出されているのだが何時もの白い依代ではなかった。あれは… マムシ。マムシの依代は風音より少し大きく巨大化しいて、風音の頬をチロチロ舐めたりしていた。

 風音とマムシに気付いた男二人はとっさに身構える。風音は煙を吐きながら男二人の前に立つと挨拶をする。


 「こんばんわ」


 男二人は黙って様子を見ている。


 「聞こえんかったのかのう… こんばんわ」

 「ああ… こんばんは」

 「おお 聞こえておったか 返事が無いんで聞こえてないのかと思ったわ」

 「誰だ… 」

 「今回、ゼスと組んで北ダンジョンを攻略した者じゃ 名は風音」

 「ああ… 俺達は同行者だ 俺がゲイル そっちがフランだ」

 「わしが聞いた話では王都の学者1名、手足れ2名と雑兵数名がメイドスに立ち寄ってからダンジョンを目指すと聞いておる 間違いないか? 」


 「… 」


 「もう一度聞くぞ… 間違いないか? 」


 「ああ… 間違いない」


 その瞬間、風音はマムシに命令を下す。


 「クロ! そこに潜む者を飲み込め! 」


 風音が、クロと呼んだマムシの斜め後ろを指差し飲み込めと命じた。クロは即座に巨大化して、大きな口を開き何かを飲み込んだ…


 「ギャャァッ… 」


 一瞬、人の声がしたように聞こえた。恐らくクロに飲み込まれたアサシンであろう。すると、二人の男のうちの一人フランが声を荒げて風音に食って掛かった。


 「貴様! 何をした!? 」

 「お前は わしが何かしたように見えたのか? それとも、何か都合の悪い事でも起きたのか? 」


 風音が、冷たい視線でフランに言うと何も返答出来ないでいた。


 「そうじゃ 言うのを忘れておった わしらが発見した宝の護衛は、王都までに変更となった 途中で族に強奪されたら堪らんからのう クックク」


 風音が、そう言うと二人の顔色が変わった。風音はくるりと方向転換して歩き出す。


 「最後に言い忘れた わしは、お前らを誰一人信用していないからのう 可笑しな真似さえしなければ生きて帰れるであろう クックク」


 俺と風音は、広場を後にする。ギルドに向かう風音は、カリナ達の荷馬車の横を通り過ぎる時に小声で言う。


 「頼んだぞ お前達」

 「はい… 」

 

 カーベル達が小声で返答を返す。やつらに動きがあった場合、広場入り口を馬車で塞ぎ捕らえるように命じていたのだ。


 ▽▽▽


 俺と風音は、ギルドの2階の応接室に向かう。クロは、巨大化を解き俺よりも少し大きいくらいまで小さくなっていた。

 俺達が、応接室に入ると全員が硬直してクロを見る。


 「かざねさん… それは!? 」

 「わしのペットじゃ クロじゃ クックク 可愛いじゃろ あっ それより、一人捕らえたぞ クロ 吐き出せ」


 クロは身体を部屋一杯まで巨大化させると飲み込んでいたアサシンを吐き出すと、風音と同じくらいまで小さく戻った。


 「ゴフッ… ゴフゴフッ」


 男はクロの体液を飲み込んだらしく嘔吐物を吐き出している。風音は、アサシンと思われる不審者の足を風穴でへし折った。


 パチン ボキッ


 「グワァアァァ! 」


 風音の躊躇の無さに一同が言葉を失う。


 「こやつは、裏の広場で透明化していたアサシンじゃ 手足れというやつらの関係者じゃ どの辺が手足れなのかは疑問じゃがな クックク」

 「やはり… トーマス、この事を早く本部へ… 鳩がいないか」

 「うちのメンバーも王都に飛ばせるのがいないしな… 」


 ブライトとトーマスが頭を抱える。


 「まあ 先に聞き出そうではないか こやつから全てを」

 「… 」

 「次は手を吹き飛ばすぞ? 時間がないんじゃ」


 風音は、腕を上げ再び指を鳴らそうとする。


 「ま… 待って下さい! 話します! 全部話しますから!!」

 「簡潔に答えろ 依頼されたのか? 」

 「は… はい」

 「誰に? 」

 「ゲイルとフランです… 」

 「託也 足を吹き飛ばしてもかまわん 動けなくして引きずって来い」

 「了解」

 「絶対に逃がすでないぞ… 」


 ▽▽▽


 俺は、風音に言われた通りゲイルとフランを捉えるために再び広場に向かった。カリナ達の馬車は移動していない、動きは無いようだ。

 荷馬車を、通り過ぎようとした時カリナが小声で声をかけてきた。


 「どうした託也? 何かあったのか? 」

 「隠れていたアサシンが自白した これからあの二人を捕らえるよ」

 「わかった 手伝おう」


 ダムが、馬車を移動させて広場の入り口を封鎖する。そのままダムは馬車から降りて逃げ道を塞ぐ。荷台に残るマリーは、もしもの為に追跡用にペルを召喚し待機する。俺を、先頭にカーベルとアルマが後ろをついて来る。ゲイルとフランは俺達に気付くと


 「何者だ? 」

 

 二人は、ナイフと剣を構えた。


 「ゲイルさんとフランさん? 」

 「ああ そうだが」

 「風音が呼んでいるので来てもらえます? 」


 俺は、紳士的に事を運ぶため来て欲しいとお願いする。二人は不味いと思ったのか逃走を企てようとした。いきなり、左の手のひらをゲイルが握ったナイフで切り裂かれてしまう。


 「いたっ… 」


 すかさず、剣を構えたフランは後ろのアルマに向かって突きを入れてきた。しかし、横にいたカーベルがナックルを装備した拳で剣を横叩きし軌道を逸らすと俺に向かって剣が突き刺さる。


 「いたたたっ! 」


 今度は右腕に剣が突き刺さり血が吹き出した。それを見たゲイルとフランは走り出そうとしたので2本風穴で足を吹き飛ばす。


 「ぐはっ!」


 二人は転げ続ける、逃げる事は出来ないだろう。


 「たくや! 大丈夫か!? 」


 アルマとカーベルが走りよる。


 「すまん… まさか託也に突き刺さるなんて… 」

 「ああ 大丈夫だよ ほら」


 すでに傷口は塞がっていた。左のてのひらの傷もまっさらに治っている。


 「風音様と同じなのか!?… 」

 「うん… 風音は俺の母親みたいなものだから」


 俺達は、ゲイルとフランに駆け寄り風音に言われた通り引きずりながら応接室に連れていった。 


 「連れてきたよ」


 二人を、引きずって部屋に入れると風音が俺に駆け寄ってきた。


 「託也! どうしたんじゃ その血は!? 」

 「ああ ちょっと切られて刺された」

 「こやつらめ… 」


 風音は、ゲイルとフランを殴り始めた。


 「ちよっちょっちょ… もう塞がってるから 大丈夫だから落ち着いて」


 俺は風音を掴んで制止する。落ち着きを取り戻したのか、俺の傷口を確認するとソファーに座りお茶を啜る。すぐさま、風音が質問をはじめた。


 「ゲイルとフラン… 首謀者は誰じゃ? 」

 「それは… 」


 その時、複数の人間が階段を駆け上ってくる音がした。


 ダダダダダッ


 「失礼… その者達を引き渡してもらいたい」


 口に布を巻き、顔が判りづらくなっている数名の男と、軍服を着る年配の男が立っていた。彼らの左肩からは3本の赤い刺繍が施されている。


 「ア… アラン局長!? 」


 思わずトーマスが声を上げた。


 「おお トーマス君 ここだったか その者達を引き渡してはくれぬかな? ある案件の重要参考人だ 聞きたい事が山ほどある」

 「と、言いますと? 北ダンジョンの件と言う事ですか? 」

 「ああ しかし、それ以上の事は言えないので勘弁して欲しい そして、ここに集まっている諸君らは北ダンジョンの件に絡んでる者として話しておこう。 此度の働きご苦労であった! 王都では、詳細を首を長くしてお待ちになってる方がいらっしゃる もちろん、褒美もとらせるとおっしゃっているので期待して王都に来るが良い!  そこでだが… メイドスの支部長は? 」

 「はい 私 ブライトです」

 「おお 君か 王都より護衛の依頼を受けて欲しい すでにギルド本部には話を通している。依頼内容はメイドスから王都への学者警護と荷を無事に届ける事 王都に着き次第支払われる。」

 「ゼス… やってくれるな? 」

 「かざねさん… 」

 「かまわん ただ働きにならんで良かったのう どっちしても護衛はするつもりじゃったからのう クックク」

 「ほう… とんでもないのがいたもんじゃ」


 アラン局長と呼ばれる男が風音を見て唸る。


 「のう… 局長とやら まさかとは思うがトカゲの尻尾切りではあるまいな? 」

 「まさか我らが、その者達とグルだと? 」

 「さあのう… わしは自分の仲間以外、信じぬからのう」

 「ふぅ… それもまた大変だな まあ心配ない 依頼の件は頼んだぞ」


 風音は黙って煙草を吹かす。

 アラン達はゲイルとフラン、そしてアサシンを連れてすぐ出発して行った。


 「あやつらは何者じゃ? 」

 「彼らは特務機関だ 裏で王都を支えると、肩書きはいいが表に出せない王都がらみの件は常に特務が動いてると言われている 詳しい事はわからないな」

 「ふむ… 学者 出発は明日の早朝で良いか? 」

 「あ… ああ いいですよ 明日からお願いします」

 「で、見たんじゃろ? 価値はどうなった? 」

 「トーマスさんと同意見です 希少価値の高い物が含まれています」

 「そうか 良かったのう ゼス! 」

 「ああ ありがとう かざねさん」

 「とりあえず、戻るか 支部長、雑兵に予定を伝えといてくれぬか? 」

 「わかった かざねくん」

 「戻るぞ」

 「了解」


 こうして、俺達の長い一日は終わった…

 

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