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暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
北ダンジョン編
20/66

20話 カリナと黒ローブ達


 バーデン一味を、ロープで動けないようにした俺とゼスは風音と黒ローブの動向を遠目から伺う。時折、バーデンが動いてロープからの脱出を試みるがゼスが後ろからバーデンの頭を蹴りつけ動きを封じる。


 「てめぇ… ゼス!! 後で覚えてろよ 絶対に殺してやる!! 」

 「髭親父… お前に『後』なんてねぇよ ここで魔物の餌になるんだからな」

 「くそっ! こんな事して、ただじゃおかねぇからな! 」

 「… 」


 ゼスは、上から睨み付け再びバーデンの頭を蹴りつける。


 ガツッ! ガツッ!


 「少しは黙ってろ… 」


 俺は、ゼスの横に行き耳元で


 「ゼスさんて案外エグいんですね… 俺、人の頭なんか蹴った事なんて無いんですけど… 」


 するとゼスは、少し離れて俺に小声で言った。


 「託也… もしかしたら、かざねさんの一言でこいつらは生きて帰れるかもしれない だったら、俺達に二度と逆らわないように恐怖を植えつけないと駄目だ! 甘く見られたら、二度三度と襲われるかもしれないんだぞ 俺としては情報を聞き出して魔物の餌にしたいところだよ… それが本音だ」

 

 確かに… 何度も襲われるくらいなら、いっそ殺したほうが楽かもしれない。


 ▽▽▽


 風音は、煙管を齧りながら黒ローブパーティーの前に立ち話し始めた。


 「カリナ スキルを解け」

 「はい」


 風音の横に、カリナは透明化のスキル解除し現れる。


 「で、カリナ こやつらに何を話した? 」


 風音がカリナに冷たく言い放った。


 「手を出すなと… そうすれば殺されないと」

 「わしがいつ殺さないと言った? お前が勝負に勝てば全員見逃すとは言ったが お前は負けたではないか」

 「はい… 」

 「まったく… お前がこやつらが心配で そう言ったのは判るが 嘘はつくでない」

 「申し訳ありません 風音様」


 風音とカリナの会話を聞いていた、黒ローブパーティーは煙管を銜えながらカリナを従わせる、風音の威圧感を感じ取っていた。いや、異様さを感じ取ったと言っていいだろう。

 カリナがこのパーティーで一番の実力者なのは確実。そのカリナが、ここまで従順する風音とは一体…


 そんな視線を感じ取ったのか、風音は再び黒ローブパーティーの方に近づき一人づつ目を合わせていく。


 ナックルを装備し、風音の視線から目を逸らさないではいるが、筋肉の強張りや汗を見る限り警戒しているのが判る。


 「ローブを取って名乗れ」


 風音は、静かにストライカーに言うと頭から被った黒いロープを脱いだ。髪は黒く肌の色は褐色で強気な面構えだが、幼さが抜け切っていない所謂カワイイ系な顔立ちをしていた。身体の方は中肉中背だが、しっかりと筋肉が付いてはいるが、まだ細い感じがする。


 「カーベル… 」


 風音に言われ名乗ると、続けて歳と職業を聞かれる。


 「17… ストライカー」


 風音はカーベルの後ろにいる者の前に立つ。顎で合図し目でローブを見ながら目を合わせる。ローブを脱いだのは女。女の赤髪はナチュラルなウェーブがかかり肌は白く少し気弱そうな感じがする。とても裏家業で殺しをするようには見えない、普通にかわいい顔立ちをしている。

 風音が再び顎を動かした。

 

 「マリーです… 16 召喚士」


 次は、大柄なソードマンの方を見るとローブを脱ぎ名乗り始める。


 「ダム 18 ソードファイター」


 大柄な男ダムは、18とは思えない恵まれた体格をしていた。2mはありそうな身長で筋肉隆々。横にも大きく胸板も厚い。ただし、髪型は丸坊主。せめて、角刈りにしたら良い感じになるだろう。顔も目が開いてるか判らないほど小さい… 言い方を変えれば、円らな瞳でやさしい系。


 最後はダムの横にいる女。ダム同様に、ローブはすでに脱ぎ名乗れと言われるのを待っている様子だった。


 「アルマ 18 ハイウィザードです… 」


 このパーティーで、一番落ち着いた雰囲気を持っているアルマ。髪の色は金髪で腰まで長くサラサラヘアー。身長も割りと高く170cmはあるだろう。スタイルも良く落ち着いてる感じのせいか頭も良さそうに思えてくる。右手にはワンドと呼ばれる魔法系職業が持つ杖を握っていた。


 一通り、黒ローブのパーティーの自己紹介が終わると、パーティー全体に風音が語りかける。


 「わしの名は風音じゃ カリナとわしは勝負して、負けたカリナはわしの部下となり旅のお供をする事となった。お前達はこれからどうするつもりじゃ? 少しだけ時間をやる 自分で考えるなり、皆で相談するなりして決めよ」


 そう言うと風音はバーデン一味の方へ歩き出した。その瞬間、黒ローブパーティーはカリナの元へ集まり事の一部始終を聞く。

…… …


 暫く、沈黙が続いた。カリナが続けて話をしだす。


 「信じられないのは判る だが、真実だ… それに… 何か可笑しい話だが風音様は、今の私達の現状を変えてくれるような気がする。それだけ大きな力を持った人だと思ったんだ… もう、たくさんだ バーデンみたいなカスから仕事を貰って盗みや強盗… 殺しまで… 私は 私は変わりたい! 」


 「… 」

 「あの人について行けば変われるかな? あたし達」

 「どうなんだろうな… 」

 「うちは… カリナがそうしたいなら着いて行く」

 「アルマ… 」


 ▽▽▽


 風音は、黒ロープのパーティーからバーデンの元へ。


 「こら 髭親父待たせたのう 面倒じゃから何もしゃべらんでいい」

 「なっ… 何!? 殺す気か!? 」

 「黙れ! 」


 風音が言うと、バーデンは返事をした。


 「はい… 」

 「!!!!!! 」


 一緒に縛られていたバーデン一味がびっくりしてる。風音はバーデンの前頭部に手を翳し、何かを覗き込むような目で翳した手の先を見つめる。


 「なるほどな… ゼス わかつたぞ こやつにタレ込んだのは」

 「ほっ ほんとか!? 誰なんだ一体… 」

 「どうやら ゼスがわしらと組んだのが気に食わなかったらしいのう」

 「まっ… まさかビーノなのか!? かざねさん 誰なんだ!? 」

 「落ち着け ビーノでは無い あやつの連れじゃ 名は知らんが女じゃ」

 「くそっ!! エルザだったのか… ちくしょう! やってくれたぜ… 」

 「あいつらに話したのか? 調査の事」

 「あ… ああ 風音さん達と組んでダンジョンを回るって… 失敗した」

 「恐らくじゃが 叩きのめしたのが気に食わなかったのかもしれんのう」

 

 ゼスは、心底悔しがる… ゼスにしてみればビーノのパーティーは信用は出来る相手だったのだろう。

 しかし、調査をする事を話したことで現状を招いてしまった愚かさを悔やむ。下を向いて帽子を被りなおすとバーデン達の処分を風音に促す。


 「で、どうする? こいつら餌にす… 」

 「待て こんなやつら殺しても何も変わらないだろ」

 「しかし… 俺達を何時襲ってくるかわかんないんだぜ!? 」

 「問題無い 保険は打つ… 全ての記憶を消去する」

 「なんだと… そんな事出来るのか!? 」

 「こやつら一人づつにかけていく そして、その間のわしの目を決して見てはならぬぞ? 見たらお前達の記憶も全て無くなってしまうからのう」

 「死んだも同然… って状態か」

 「はじめるぞ カリナの方を向いておけ」


 俺とゼスは、同時に黒ローブパーティーの方に視線を向ける。すると、カリナが気付き、風音が何かをはじめると様子を伺う。


 俺は、風音とカリナの射線に入り声を上げた。


 「下を向いてろ!! 言われた通りにしろ! 」


 異常事態を感じ取ったカリナは黒ローブのメンバーに命令する。


 「全員下を向け! 死ぬぞ!! 」


 それでいい… ある意味『死』と同じだろう。全ての記憶がなくなるか… 恐らく、知人、友人… 肉親の事すら覚えていないんだろう。


 …


 「終わったぞ もうこっちを向いてもかまわん… こやつらを自由にしてやれ」


 俺とゼスは、一味のロープを解いて自由にさせる。しかし、術のせいか全員放心状態で座ったまま動かないでいた。恐らく、何人かは無事に帰れず…

 

 風音は、黒ローブのメンバー達に返事を聞きに行く。


 「話は終わったか? 」

 「はい 風音様 皆、部下として風音様に従います。」

 「わかった… お前ら良いんじゃな? 無理強いはせんぞ? 」

 「はいっ!!」

 「よし それじゃ戻るとするかのう あっちは片付いた」


 カリナが、風音に質問をしだす。


 「風音様 バーデン達に一体何を? 」

 「うむ 殺した」

 「えっ!? 殺したって… 動いてますよ? 」

 「別の意味で殺した… やつら全員の記憶を全てなくした」

 「!!!!! 」


 メンバー全員が青褪める… 風音は煙管を取り出し煙草を吹かすと


 「ゼス! 託也! 置いて行くぞ 疲れたから小屋で飯にして戻るぞ! 」

 「さぁ お前達も行くぞ 今日から仲間じゃ」


 風音は、ニコリとして歩き出した。


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