表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴君少女 風音-最凶不死者-  作者: きーぱー
冒険者編
11/66

11話 黒蓮


 風音の、言い付けで昼まで風穴の自主練をさせられている俺は小休憩をしていた。当然、風音とゼスはいない。

 腕にパンパンの張りを感じる。あっちにいた頃は、暇な時にデコピンで空き缶を倒したりして正確さ重視の訓練… いや、遊びを続けてきた。目的があった訳でもなく、ただの暇つぶし程度。

 

 しかし、風音のアドバイスで化けてしまったのだ。ある程度、不測の事態は自分で対応できるようにしとかなければ風音の言った"おんぶに抱っこ"になってしまう。“時空の歪み〟が何時発見できるかも判らない… もしかしたら、このまま永久に見つからない事だってありえるのだ。

 今、自分に出来る事を精一杯やっておくのが自身の為になるのは間違いない。 俺は休憩を終え、再び自主練を続ける事にした。


 ▽▽▽


 その頃、風音とゼスは町で販売されている馬を扱う厩舎を訪れていた。ゼスの実家で、飼っている馬の話を聞いた風音は老馬では旅に連れて行けないと厩舎に来た次第であった。


 「(あるじ)よ お勧めの馬はおるか? しばらく旅に付き合わせたいんじゃが」

 「何頭かいるよ 気にいったのがいたら声かけてくれ」


 そう言うと、何人か人が集まり奥の厩舎から馬を引っ張り出してきた。かなり大柄で立派な黒馬。それを見た風音は店の主に声をかけた。


 「主! それじゃ その馬じゃ! わしらが買おう! 」


 主は、数名と共に立派な黒馬を引っ張りながら駄目だという。


 「ああ こっ! こいつは駄目だ こいつは暴れ馬で、先日買い取った客に怪我させた挙句、馬車までぶち壊したらしい これから殺処分だよ! 」

 

 「ならん! わしが買い取ると言っておろう! 馬を売れ!! 」

 

 風音は、売れと言って効かない。困った主は条件を出す。


 「なら、怪我したり馬車壊されても こっちに責任は押し付けないでもらいたいんだが… その条件でなら売るよ」

 「かまわん! いくらじゃ? 」

 「殺処分して肉にするだけだから… それくらいで構わないよ 後、さっき言った条件で買うと一筆だけ書いてくれ」

 「わかった! よしゼス 書いて来い」


 風音は、ゼスに馬を買わせサインも書かせた。


 …… …


 契約書を貰い手綱を預かるゼス。厩舎から出そうにもビクともしない。困り果てたゼスは風音を呼ぶ。


 「かざねさん… あいつピクリとも動かないぞ なんとかしてくれ… 」

 「まったく… これから先 どうする気じゃ」


 風音は、厩舎の前まで行くと黒馬をじっと見つめる。そして首をそっと撫でた。すると、黒馬は風音の手を何度も舐める。


 「こらこら くすぐったいではないか クックク さあ行くぞ」


 ゼスが手綱を引くとゆっくり歩き出した。すかさず、風音は黒馬の背に乗る。それを見ていた厩舎の人間達は、一瞬怯むが何事も無く厩舎を出て行く風音達であった。背に乗った風音は首を撫でながら黒馬に語りかける。


 「そうじゃのう 名を付けねばならんのう これからは、わしらと一蓮托生じゃ 黒… 一蓮托生 蓮 そうじゃ! 黒蓮(コクレン)はどうじゃ! 」


 ヴルルゥゥヴゥゥゥ


 黒蓮が返事をするかのように鼻を鳴らす。


 「そうか 気にいったか クックク 後で託也にも会わせるからのう」


 一度、ゼスの家に寄り黒蓮を繋ぐと餌を与えた風音とゼスは、馬車工房へ向かい馬車を購入した。


 ▽▽▽


 「どうじゃ? 出来たか」


 風音とゼスが戻ってきた。


 「難しいよ… 何かコツはないの? 」

 「そう焦るな 託也 お前は武術の心得があるからコツさえ掴めば撃てるようになるが 少し自分でなんとかしてみろ 町に行くぞ 昼飯じゃ」


 飯屋に入り定食を頼む。ゼスが地図を広げて、そろそろ目的地を決めて欲しいと風音に言う。


 「かざねさん 目的地はどこにする? 」

 「ここに行って見るか」


 風音が北にあるダンジョンを指差した。

 

 「北ダンジョンか… わかった! ギルドの依頼も受けていいよな!? 」

 「構わんぞ どんな依頼じゃ? 」

 「ダンジョン内部の未開拓部分の調査だ 部屋の見取り図や魔物の沸き時間を調べる事になる」

 「なるほどのう ダンジョンとはどんな物なのじゃ? 」

 「この北ダンジョンは10階建ての建物だと仮定してくれるのが一番理解しやすいかな 大昔に、儀式を行うため建造されたと記されている」

 「儀式!? なんの儀式じゃ? 」

 「古い文献によれば、飢えや災害から民を救うため神を呼び出す といった、類の儀式らしいが詳しくは解明されていない。王都辺りでは学者による研究が続いているが、山の中腹を切り出して作られたダンジョンを攻略できる冒険者がいないのさ それで、研究も進まない状態らしい。」

 「そんなに難しいのか? 」

 「ああ 現在7層までは攻略出来てるが、8層からの魔物が強くどうしても進めないらしい 何でも大型の四足獣が出てきて梃子摺(てこず)るようだ」

 「四足魔獣ねぇ… まあ、何にせよ儀式というのが気になる 行ってみる価値はありそうじゃのう」


 ゼスは、ダンジョンに入ってからルールがあるとも付け足した。先着優先… ローカルルールに近いもので冒険者同士で自然と出来たルールだと話した。例えば、先に5人のパーティーが5層で魔物が落とす魔石狙いの狩りをしていれば後から来たパーティーは別の階層での狩りを余儀なくされる。

 簡単なルールである。しかし、中には掟破りのパーティーも存在していて狩りの妨害をしてくるのだという。それだけ魔石換金が、冒険者の間で金を稼げる方法という訳だ。


 ゼスの説明は続く。特に、今回の依頼は未開拓部分の調査、新規階層への挑戦で報酬も破格。俺達に便乗しマッピングを行う冒険者がいれば排除も行わなければならない。こっちで魔物を倒し別パーティーがマッピングし、手柄を横取りされる話などあってはならない話だとゼスは言う。まさに命懸けの依頼である。


 ダンジョン内では何があってもおかしくない。

 冒険者同士の死闘も叱り… 敗者は魔物の餌になるだけだという。

 …… … 


 午後から、風音とゼスは布団や毛布等旅に必要な買い出しにいくという。

 俺は風穴の練習…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ