【第16話】運動音痴
演習場の片隅で、青ざめているのがもう一人。ミランダである。
「う… ウィズくん、どうしよう。私ホウキ乗れないよ…」
「う、うーん…」
ホウキに乗ること自体は、比較的基礎的な魔法で、子供の頃から乗り回すことも少なくない。
北半球上級魔法学校の入試には、魔力測定もある。本当にホウキに乗れないほど魔力が弱かったら、いくら筆記を頑張ったとはいえ、試験突破は考えにくい。飛べないと思い込んでいるだけで、コツが分かれば飛べるんじゃないだろうか、とウィズは思った。
「じゃあさ、補助の先輩が何人かいるみたいだから、そのうち一人に、先に乗り方のコツを教えて欲しいって声かけてみようよ!」
そうと決めたウィズの行動は早い。
小さな体を更に縮めて目立たないように動きながら、さっさと先輩に声をかけに行き、ミランダへの個別レッスンを申し込んだ。
先輩は、クリフォード先生へ了承を取りに行ってくれる。それを聞いて、クリフォード先生は学生全体へもアナウンスした。
「よし、ホウキに乗ること自体を先に教えて欲しいって学生はいるか? いれば、今日はこのカナリー先輩に付くといい」
「カナリーです、よろしくね」
カナリーと自己紹介した先輩は、耳が鳥の羽根の形になっている女性だ。サイズ的にあれで飛ぶわけではないだろうが、いかにも飛行魔法学教室に所属といった風貌だった。
スペルが先輩の方へ歩き出すことはなかったが、ラスターの視線の端で、スペルの肩が一瞬ピクッと動いたのが見えた。
「他にはいないか? よし、じゃあ始めるぞ!」
クリフォード先生は、手に持っていた短めの棒を、ホウキに展開した。
木製の落ち着いたブラウンの柄に、シルバーの穂。それだけならごくスタンダードなホウキだが、特徴的なのは柄と穂の繋ぎ目部分だ。4枚のトンボの翅が、日の光を浴びて、キラッと虹色に偏光した。
それまで森に気を取られていたエイチェルの意識が、一気に先生に向いたので、見守っていたセリアルは、今度こそ安心できた。
「飛翔する生物と言えば、鳥を連想する人が多いかもしれないな。だが、空は虫達の楽園でもある。中でもトンボは凄いぞ。スタミナもテクニックも、申し分ない空の覇者だ」
クリフォード先生が、トンボの翅の付け根あたりに触れると、翅が高速で羽ばたき始める。
「まぁ、俺のこのホウキに関して言うと、翅は3割舵取り、7割飾りかな! じゃあクイックライドのデモをやるぞ! あの飛び降り台の下に集合な!!」
鮮やかにホウキに飛び乗ると、飛び降り台の上に降り立った。学生達は慌ててぞろぞろと、飛び降り台の下に移動する。
「まず、ホウキは普段持ち歩いている形状に圧縮すること!」
クリフォード先生が、ホウキを短めの棒に戻した。
「そして、普段持ち歩いているように収納すること! この状態からスタートだ!!」
学生達に見えるように、腰の圧縮ポシェットにホウキをしまった。
「で、ここから落ちる」
と言ったかと思うと、先生はまっ逆さまに地面へ… とはならず、もうホウキに乗って飛んでいる。台から落ちる暇もなかったほど素早い。
おでこに当てたままの偏光ゴーグルと、小刻みに羽ばたくホウキの翅が、太陽の光を背景にしてギラギラ光っていた。
「ぉわ~」
気の抜けた声をあげながら、思わずエイチェルがパチパチと手を叩いた。周りの学生もなんとなくつられて拍手する。
クリフォード先生は、機敏に旋回しながら、学生達の目の前に降りてきた。
「どーもどーも、ありがとう。とまぁ、やってることは単純だ。始めての学生なら、落ちて5m以内くらいで乗れれば上出来だぞ。心配なら、ポシェットにしまわずに、手に持ったところから始めてもいいけど、慣れたら全部やってみてくれよな」
先生が、飛び降り台の柱を指差した。10cm間隔で目盛りがふられているようだ。
そして、その更に下では、先輩達が真っ白なマットを敷いている。
「んで、見ての通り、もし落ちてしまっても大丈夫! クッションがあるからな」
と言っても、クッションと呼ぶにはどうにも薄いように見える。正直、シートと呼びたいくらいペラペラだ。せめて、呼べてマットだろう。
不安しかなく、スペルの眉間にはシワが寄りっぱなしである。
「じゃあ、手順が分かったらどんどんやるぞ! はい、行った行った! 何回飛び降りてもいいからな! レイヴン、ホウキ持ってない学生に予備を貸してやって」
「はいはい。じゃあこっちで~」
レイヴンと呼ばれた男の先輩が、手を挙げて合図をした。
「…ちょっと、借りてきます…」
「お、おう」
相変わらず覇気がない口調で、スペルが先輩の方へ向かった。とぼとぼ歩く背中に悲壮感が漂い過ぎている。笑いそうになるのを誤魔化すために、ラスターはちょっと咳払いをした。
*
学生達が、次々に飛び降りては飛び立っていく。先生が飛び立つまでに何m落ちたか、下で計測していて教えてくれている。大体の学生は、5~10m前後といったところか。まだ20m下まで落ちてしまった学生はいない。
エイチェルとセリアルの順番も近づいてきた。セリアルがエイチェルに聞く。
「どっちが先に行く? 私行こうか?」
「え、やだ私が先にやる! セリアル、絶対こういう反射神経使う系はうまいでしょ。後だと恥ずかしいから先がいい!」
「いや、こんなことやったことないから分かんないよ。いや、いいけどね」
クイックライドは、中級学校でもやることが多いが、普通は単に速く飛び立つ練習をするだけである。この20mの大がかりな飛び降り台は、飛行魔法の選手用のジムくらいにしか無い。
セリアルは、その場で何度かホウキを出したりしまったりして、イメージトレーニングをした。
「では、お先に!」
エイチェルがセリアルより1歩前に出る。
「はい、次ー!」
下から聞こえるクリフォード先生の合図と共に、エイチェルが飛び降りた。
ポシェットからホウキを取り出し、展開。ホウキに魔力を込めて、そのまま飛び立つ。
「おおぉ!!! 3m90cm!! いいぞ! 素晴らしい!!」
クリフォード先生が親指を立てているのが見える。セリアル達より前に、3m台だった学生は幾人もいなかった。なんだ、エイチェルうまいじゃないか、とセリアルは拍子抜けした。
次、セリアルが飛び降りた。
「おぉ! 4m30cm いいぞいいぞー!!」
クリフォード先生は、また親指を立てて褒め言葉を叫んでくれるが、あぁ、負けちゃった、と思った。落ちながらだと、ポシェットから他の物がこぼれそうで怖くて、少しまごついてしまったのが原因かな、と思った。
降りて待っているエイチェルのところまで向かう。
「何だよエイチェル、普通に私よりうまいじゃん!!」
「いやいやいやいや、セリアルに反射神経で勝てるとはとても思えなかったからさ!」
「やったこと無いものは私だってこんなもんだよ! というか、エイチェルはやったことあったの?」
「えっ、あぁ、これと全く一緒ではないんだけど、木登りして飛び降りるのなら、小さい頃から何度も…」
「……あぁ、なるほど、納得」
そうだった。だってエイチェルである。虫採りしたあと、面倒くさいから飛び降りる、なんていかにもやりそうである。競技や勉強としてではなく、趣味の延長で身に付いてしまっているのだ。
「うーん、でも確かに反射で負けるのはちょっと悔しいなぁ。練習すれば勝てるかなぁ」
「え、じゃあ私だって練習しちゃお! ねぇもう1回行こうよ!!」
ニコニコしながら、エイチェルがセリアルの手を引いて、駆け出した。
*
「行かないの?」
飛び降り台の順番が来たのに、立ち止まってしまったスペルに、ラスターが話しかけた。スペルは、左手で持った共用のホウキに視線を落とす。無難な木製の、焦げ茶色のホウキだ。
「…ラスター、先に行っていいですよ…」
「ん、まぁいいけど…」
あまりに不安げなので、後ろから見ててやろうと思っていたが、こう言われたら仕方ない。ラスターは一歩前に出た。
「んじゃお先に!」
ラスターは、軽い感じでさっさと飛び降りると、素早くホウキを展開して飛び乗った。
「おぉ! 3m30cm! 今のところ暫定1位だぞ!!」
クリフォード先生が叫ぶ。
スムーズな着地でラスターが地面に降り立つと、飛び降り台の登り口の近くにいたエイチェルとセリアルが、方向転換をして駆け寄ってきた。
「今、1番って言われたのラスター!? すごい!」
「あー、うん、そうみたい」
素直に褒めるエイチェルに、ラスターが照れる。
「あーぁ、エイチェルにもラスターにも負けてる。なんか悔しい! 絶対練習する!!」
セリアルは、口では悔しがっているが、顔はどちらかと言うとわくわくしている感じだ。セリアルに悔しがられるなんて、褒め言葉と同義である。一番セリアルに悔しがられたいのは、スペルだろうな、と思いつつ、ラスターは飛び降り台の上を見た。次はスペルの番である。
スペルは、呆然としたまま、下にいるラスター達のことを見ていた。ホウキは縮めてあるが、ポシェットには入れず、手に握りしめたままだ。
「うーん、大丈夫かねぇ、あいつ」
「スペル君は、緊張しいなのかな?」
「さぁ。聞くと否定するんだけど、オレは、高いところが苦手なんじゃないかと思ってるんだけど。絨毯は平気っぽいからさ、下が見えるのが嫌なのかなって」
「ふーん」
セリアルは会話には加わらず、飛び降り台のてっぺんを見上げた。
順番が来たのになかなか進まないものだから、周囲が少しざわつき始めたその時、ぱちり、とスペルと目が合った。
下からは細かい表情まで読み取れなかったが、その瞬間、スペルは突然ジャンプして飛び降りたのだった。
*
飛び降り台の上に佇むスペルの気分は、最悪だった。
ラスターは、びっくりするほどホウキがうまかったし、一緒になって楽しそうに話しているセリアルもエイチェルも、十分上位の手際だった。彼らに心配そうに見上げられるのも、それはそれで腹立たしい。
でも、正直とにかくホウキには自信が無いのだ。スペルの通っていた中級学校の飛行魔法学では、絨毯との選択式だったため、避けて通れてしまっていた。それが裏目に出て、今、逃げ場が無い。
下手でもいいからせめて、笑われない程度に済ませたくて、イメージを膨らませようとするが、全くピンと来なかった。
しかも、今日はラスターにつられて、学食でやたらと沢山食べてしまった。緊張と相まって、気分の悪さに拍車をかけていた。
眉間にシワを寄せたまま見下ろした時、セリアルと目が合った。
どうせ、僕なんて足元にも及ばないと思って、余裕で見てるんでしょ。
笑うなら笑えばいい!
ええい、ままよ!!
急にヤケクソ心に火がついて、次の瞬間スペルは飛び降りた。
流れる景色がゆっくりに見える。だが、自分の動きもまた、どうにもゆっくりで、もどかしさと焦りが入り交じった。
もう何メートル落ちただろう。早くホウキを展開しなくては!
両手で握りしめていた棒を、何とかホウキの形にして、何とか落下が止まる。
しかし、乗れない。
原因は、自分の頭より上でホウキを展開してしまったからなのだが、修正の仕方がわからない。まるで木の枝からぶら下がるように、スペルはバンザイの姿勢のまま、ホウキにぶら下がる格好になってしまった。
体力のある人なら、ここからホウキの上に簡単に上がれるのだろうが、半分パニック状態のインドア男には、無理な話だった。
ぶら下がったままもがくスペルを見て、もうお決まりのパターンになりつつあるマーティンのバカにした笑いが響く。
あまりにも意地の悪い笑い方に、セリアルは止めに入ろうかと思ったのだが、笑われている相手はスペルである。自分が助ける義理があるんだろうか、という考えが、ふとセリアルの足を止めた。自分に助け船を出されても、むしろ反発を食らいそうな気さえする。セリアルは、動くことができないままの自分の足元へ、とりあえず視線を向けた。
「片腕だけでも、肘がホウキの上に乗せられれば乗れるぞ! ほら、頑張れ! 懸垂懸垂!!」
クリフォード先生が、スペルに向かって体勢を立て直すアドバイスを叫んでいる。何とか力を振り絞ってホウキによじ登り、右の小脇にホウキの柄を抱える形になった。
「もうそのまま降りちゃえよ!! おーい、聞いてるー!?」
ラスターのアドバイスも、スペルには聞こえているが、そういうわけにはいかない。ここまで来たら意地だった。とにかくホウキに乗ってやる。みっともなくてもしょうがない。だって既にこんな状態なのだから。
スペルはどうにかこうにか右足をホウキにかけて、よじ登った。ただ、まだ虫が木の枝にたかるように、全身でホウキの柄にしがみつく格好だ。
「よし、よくやったぞ! そこまで来たら、あとは上体を起こす!!」
上体を起こす。
この細い棒切れの上で、足で体を支えることもできないのに、どうやってそんなことをするのか。ホウキに乗る人々を見て、スペルが常々思っていたことだが、今は、やるしかない。
恐る恐る、体をホウキの柄から離していく。
できた!!
そう思えたのも束の間、スペルの体がゆっくり傾きはじめた。
くるり。
両手両足でホウキの柄にしがみついたまま、またもやぶら下がる格好になってしまった。
ちらりと飛び降り台に刻まれた目盛りを見る。
14m。
だいぶ下まで落ちているが、まだ地面まで6mもある。真下にあるのはペラペラのクッションもどきのみ。落ちたくない!!
しかし、さっきぶら下がった状態からよじ登るために、ずいぶん体力を消耗してしまった。重力は無情にも、スペルの非力な握力にとどめをさしてくる。
「あ…」
もう無理…。
手が、足が、ホウキから離れる。
「あっ! おい、スペルー!!」
ラスターが急いでホウキを展開して駆け出したが、ちょっと距離がある。間に合わない。
スペルはそのまま白いマットの上へ落下した。
思わず目を覆う学生達。
しかし、先生も先輩も、助けに駆け寄っている気配が無かった。
ぽよぉん
白いマットが気の抜けた音を立てた。
音の通りにマットは非常に柔らかく、スペルは固まったまま、マットの上でぽよんぽよんと大きく弾んでいた。薄くても問題無かったのは、変形魔法がかけられていたからだったのだ。まぁ、冷静に考えればそうか… と、妙に他人事のように考えながら、スペルは弾む世界を眺めていた。
魔力の抜けたホウキが、遅れて落下を始める。
スペルに向かって落ちていくところを、ホウキで駆け寄ったラスターがサッとキャッチした。
「おー、残念。せっかくホウキに登って挽回したのに、惜しかったな!!」
クリフォード先生が、ニコニコのまま歩いてくる。
「君は、焦らないで済むところで練習してからやった方がいいな」
「はい、おっしゃる通りです…」
変なプライドが邪魔をして、ホウキに乗れないって言い出せなかった。そのせいで、授業のスムーズな進行を妨げた上に、余計な恥をさらしてしまった。
スペルは自己嫌悪でうつむいた。
「カナリーのところでコツを掴んでおいで」
カナリーと呼ばれた先輩は、ホウキに自信がない学生数人にコツを指導していた。見ると、教えられている学生は、先輩の前で、ちゃんとホウキに乗って浮かんでいる。
意地を張らずに教えてもらっていたら、今頃スペルも乗れるようになっていたかもしれない。
「はい…」
「お前がホウキ乗れないなんて、思わなかったよ」
ラスターが、スペルの腕を引っ張って立ち上がらせた。次の学生の邪魔にならないところまで移動する。
「どうせ僕はバランス感覚が死んでる運動音痴ですよ。ラスターはいいですね、お上手で」
「おぉ、嫌味を言う元気はあんだな!」
「う…」
落ちていきながら、ラスターが助けに来てくれたのは見えていた。あんな格好悪い自分を笑わないでいてくれる友達にも、つい嫌味を言ってしまう自分にうんざりする。
「すみません。ホウキをキャッチしてくれてありがとうございました」
「うわ、スペルが素直だとなんか怖いな。いいよそんなかしこまらなくて!」
まぁ、どういたしまして、と言いつつ、ラスターはちょっと照れくさそうに頭を掻いた。
「大丈夫だったー?」
エイチェルが駆け寄ってくる。
「ねぇ、あの白いマット? クッション? すごいね! すごいポヨポヨ!! どこも痛くないの? ニトフィット練習用の球体とどっちがポヨポヨ?」
大丈夫だった? と一応聞きつつも、興味があるのは変形クッションの方。興奮気味に捲し立てる姿に、スペルの自己嫌悪が少し和らぐ。
「あ、あぁ、幸いどこも痛くないです。ニトフィットより弾力がありますかね…」
「ほほおぉ…」
「エイチェル、わざと落ちちゃダメだかんな」
「や、やらないよ!」
エイチェルが走って行ってしまったのでついてきたが、セリアルは、エイチェルの後ろで目立たないように立っていた。自分の方がでかいので、隠れられないのは承知の上だが、あんまりスペルと顔を合わせたくなかったのだ。
しかし、エイチェルやラスターとのやりとりを観察していると、特別意地の悪い人には見えない。いつも悪態をついているマーティンの方が、よっぽど底意地が悪く見える。
自分の考え過ぎならいいんだけど、と思った時、またスペルと目が合った。
恥ずかしさとも、苛立ちとも取れるような複雑な顔をして、スペルは目を逸らすと、ラスターから共用のホウキを奪い取り、くるりと方向転換をした。
「僕、もう一度チャレンジしてきます!」
「うわぁ何言ってんだバカ! カナリー先輩のところに行くのが先だろ!」
「バカって言う方がバカなんです!」
「この意地っぱり! 初級学校生かよ!!」
ラスターは、小声でちょっとごめんな! とエイチェルとセリアルに謝ると、スペルを無理矢理カナリー先輩のところへ引っ張って行った。
エイチェルは、ちらりとセリアルを見上げた。ぽかんとした顔で突っ立っている。
「…マットが気になって、思わず話しかけに来ちゃったんだけど、なんか、ごめんね」
「あ、いや、エイチェルのせいじゃないでしょ」
「気にしない、のは難しいかもしれないけど、でも、気にしないで!」
「うん、はは…」
「敵意を向けてくる人に凹んでる暇があったら、好意を向けてくれる人と楽しんだ方が、人生お得なんだよ!! …っていうのは、うちのお母さんの受け売りなんだけど… だから、まぁ、セリアル、私と練習しよ!」
「…本当、そうだね、ありがとう。行こう!!」
「うん!」
改めて二人は、飛び降り台へ向かった。
何度か練習するうちに、セリアルは1m60cmの記録を叩き出し、同級生の誰も塗り替えられないまま、今日の飛行魔法学の授業は終わった。