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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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118話 お得なおまけ

領主の屋敷に囚われていた者達を解放すると、市民からはこの街の救世主として感謝され、捕縛のために一緒に付いて行った冒険者達は弟子入りさせてくれと懇願してきて、相手をするのに苦労した。

領主や領主に協力していた騎士と私兵全てをこの街の警備隊に引き渡したが、引き取る側である警備隊の中にも協力者が居る可能性もあるので、冒険者ギルドに設置されている過去を少しの間調べる事が出来る特別な魔法道具で調べ回り、無実の者達に監視などをさせるらしい。

そして領主に奪われていた連絡用の通信魔法道具が屋敷にあったので、ギルドマスターのフランクに返却してある。

ここら一番近い五大都市である魔法都市マギカルの冒険者ギルドに連絡を入れたので、近いうちに新しい領主となる貴族が派遣されてくるそうだ。


「やっと解放されたか。」

「シルヴィー様に感謝ですね。」


殴り込みをかけた張本人である櫓達は警備隊に話を聞かせてほしいと暫く拘束されていたが、シルヴィーが気を使って代わりに相手しておくからと早めに切り上げさせてもらえた。


「じゃあ私もちょっと行ってきますね。」


ネオンには弟子入りを懇願してきた冒険者達の訓練を任せてあった。

教わるばかりではなく教える立場になって見えてくる物もあると、それらしい事を言ったら二つ返事で引き受けた。


「さて俺は宿でゆっくりするか。」


直接的な戦闘はしていないものの、ハイヌと対面していた時間が一番精神的に疲れていた。

この世界に来てから初めて、相手の底が全く見えず、負けるかもしれないと思わされた相手だったのだ。


「ちょっと櫓君待ちなさああああああぃ!?」


後ろから声が聞こえたかと思うとバターンと倒れる音が続けて聞こえてくる。

振り向くとメリーがローブの裾を踏み付けて転んでいた。

出会った時と同じくローブがめくり上がり、可愛くデフォルメされたファングウルフがデザインされている子供向けパンツが丸見えになっている。

そして後ろに立っていた藍がローブを元に戻してやっていた。


「俺の前でドジっ娘アピールでもしたいのか?」

「そんなわけないじゃない!このローブ裾が長いから他の事に気を取られると足引っ掛けちゃうだけよ。」


サッと立ち上がって文句を言ってくる。


「分かった分かった、それで何の用だ?」

「櫓さんに指定された素材が全て揃いましたので、魔法道具の製作をして頂きたく声を掛けさせてもらいました。」


藍が素材の入っている袋を渡してくる。


「もう集まったのか?早いな。」

「最後の素材をお店に受け取りに行こうと思ってたら領主に捕まっちゃったのよ、こっちは期限があるからって急いでたのに良い迷惑だったわ。」

「まあ間に合ったんだから良かったじゃないか。」

「そうなんだけどね。それで今から作ってもらえるのかしら?」

「何のアクセサリーに付加させても良いのか?」

「装備出来れば何でも構いません。」


櫓はボックスリングから付加のアクセサリーとしてよく使われる指輪を取り出して、錬金術の名人を発動させる。


完成(コンプリート)!」


呪文を唱えると袋の中の素材は全て無くなり、何の変哲もなかった指輪に炎のマークが出来て、指輪全体が紅くなった。

いきなり出来た指輪に二人の興味が行っている間に調査の魔眼を使って性能を調べておく。


名前 庇炎(ひえん)の指輪

効果 火耐性Lv五 守備力Lv一


希望通りの火耐性Lv五は付いているが、元々予定していなかった付加まで付いている。


(火耐性Lv五の装備を作るには何の素材がいるかって考えて素材を調べた訳だが、それのみが付くわけでは無いのか。火耐性Lv五のみが付く装備を作るにはって調べたらいけるのか?)


試しに錬金術の名人で必要素材を調べてみると素材が若干違った。

調べてヒットした幾つかの出来上がる候補の中から、より良い物の素材が指定される様であった。

錬金術の名人のスキルが素材が若干違うだけで、守備力Lv一が付くのであればとそちらを提示したと言うわけだ。

今まで想定外にスキルが追加で付いた事が無かったため新たな発見である。


「あの、失敗ですか?」


櫓が黙って錬金術の名人のスキルについて考察していたため、失敗してしまったかと藍が不安になって訪ねてきた。


「ああ悪い、成功はしている。おまけで追加のスキルが付いたので驚いていただけだ。」

「えっ?火耐性以外にも付いたって事?何が付いたの?」

「守備力Lv一だな、装備者に一割のバフが付くみたいだな。」

「凄いじゃない!火耐性Lv五だけでも凄いのに、追加で守備力まで上げてくれるなんて!?」

「ええ、これほどの装備品は買おうとしたら幾ら値が付くか分かりませんね。」


藍が言った瞬間に櫓の手から指輪を二つ奪い去るメリー。

高価だと聞いて渡さないとでも思ったらしい。


「せっかく作ってやったのに失礼な対応だな。」

「だってこんな凄い物なら、やっぱり渡さないとか言うかと思ったんだもん。」

「そんな事言わねーよ、素材を集めたのもお前達だしな。」

「作って頂いたのに流石にそれは失礼ですよメリー。」


藍がメリーにジト目を向け、いたたまれない気持ちになってくる。


「うっ・・、悪かったわ、ごめんなさい。」

「代わりと言ってはなんですが食事でもいかがですか?お礼に奢らせてもらいますよ?」

「そうだな、せっかくだしご馳走になるか。」


メリーへの仕返しとして、なるべく高い店で高い物を注文してやろうと心に決めた。

閲覧ありがとうございます。

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