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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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114話 Aランクの実力

「外の奴らは全員倒したみたいだな。」


辺りを見回すと騎士や私兵が至る所で倒れ伏している。


「次は中に突入ですね。」

「まあ待て。」


勢い込んでそのまま行ってしまわない様に肩を掴んでおく。

神眼を発動して透視の魔眼を選択する。

外からでも屋敷の中の様子がよく見える。

玄関となる扉の近くや階段を上りきった場所、廊下などの物陰に隠れている者が数名見える。

そして一番人が多いのは屋敷の三階である。

通路の奥に進むほど人が多く見え、その先に街で見かけた領主がいた。


「領主が三階の奥の部屋にいる、道中に隠れている者も多いから注意した方がいいな。」

「そんな事まで分かるの?何かのスキル?」

「そんな所だ。」


メリーが好奇心で聞いてきたが曖昧に返事しておく。

知り合いと言うだけで敵対しないとは言い切れないので、唯一気付かれていない神眼のスキルについては教え気はない。


「中に行く方はどなたにしますの?」

「俺達のパーティーに加えて、メリーと藍も来い。それと冒険者の中から五人ついて来てくれ、残りの五人はこいつらの見張りだ。」

「私達がついて行っては外で戦闘できる者が居なくなってしまいますがいいのですか?」


藍の疑問に心配ないと返しておく。


「クロード、フレア、サリー。」

「「「はっ!」」」


櫓が三人の名前を呼ぶと一瞬にして目の前に現れて地面に膝をつく三人。

それぞれ傭兵団絆誓に所属する団長、副団長、団員である。

櫓のパーティー以外の者達は慣れていないため突如現れた三人に驚いている。


「お前達はここに残る冒険者に危険が及ぶ場合その対処をしてくれ。」

「かしこまりました、ここは我々にお任せください。」


三人を代表してクロードが答える。

メリーと藍の初見殺しの様な戦い方にあっさり負けてしまい落ち込んでいるかと思ったが、むしろその挽回をと意気込んでいる様だ。


「なら早速行くぞ、それと一階はメリーと藍に任せる。扉を開けて直ぐの所に潜んでいるから注意しろよ。」

「どーんと私達に任せておきなさい。」

「挽回のチャンスを与えてもらい感謝します。」


櫓が玄関の扉を勢いよく開け放ち二階に繋がる階段に向かうと物陰や死角に潜んでいた者達が一斉に襲いかかってくる。


「遅いですね。」


櫓の後ろから風の様に飛び出した藍が得物の小太刀で飛びかかって来た者達を次々と打ち据えていく。

峰打ちなので死んでいる者はいないが、全員強烈な痛みに悶えて起き上がれない。

瞬刀の二つ名の通り、櫓でも目で追うのがやっとと言うほどの速さで小太刀が振られているので、B、Cランク程度の実力では反応する事も出来ないだろう。


「このアマ!?」


次々と敵を倒していく藍に攻撃を仕掛けてくる者もいたが、斬りかかる姿勢で凍らされたかの様に動きが止まっている。


「貴方達の相手は藍だけじゃないわよ。このメリー・カースドも遊んであげるわ。」


腕組みをして偉そうに堂々名乗りを上げたメリーに何人かの騎士や私兵が襲い掛かるが、先程藍に攻撃を仕掛けた者同様に襲い掛かったままの姿勢で固まってしまった。


(あれは呪縛の魔眼のスキルではないな?一斉に何人も動きを止めるとは違うスキルか魔法か。)


呪縛の魔眼は目のあった者の動きを止める事が出来る魔眼である。

複数の相手を一斉に止める事は出来ない。


「この程度で動けなくなるなんて大して強くないわね。」

「油断禁物ですよメリー。」


動きが止まっている者達を次々に峰打ちで藍が仕留めながら言う。

既に床には二十人ほど倒れ伏しているが、まだまだ押し寄せてくる。

それでも息のあった戦い方で次々と敵を倒している二人なら問題無いだろうと思えた。


「ここには二人残って捕縛の手伝いをしてくれ。だが自分の安全を最優先に考えてもらって構わない。」


そう指示してネオン、シルヴィー、冒険者を三人引き連れて階段を上がる。

踊り場まで来ると弓矢を持った者が三人現れて一斉に弦を離して矢を放って来た。

シルヴィーが前に出て槍を片手で回転させ全て弾き落とす。

直後一気に階段を駆け上がり石突で腹を突き三人共気絶させる。

二階も一階同様次々と敵が出てくるが、シルヴィーが槍で全て薙ぎ払って倒していく。


「二階は私にお任せください。」

「分かった、ここにも捕縛要員として二人残ってくれ。おいミズナ起きろ。」


櫓が左手に嵌められている精霊の腕輪に呼び掛けると、近くに目を擦りながらミズナが姿を表す。


「眠い・・・。」


ミズナは御者をしている時と飯を食べている時以外は殆ど寝て過ごしている。

今も寝ていた所を起こされたのだろう、不機嫌そうである。

櫓が無言で片手に唐揚げが沢山乗った皿をボックスリングから取り出すと、眠気が吹き飛んだかの様に目を見開き、一瞬で掻っ攫っていく。

これは先日ギルドで解体されたキラーバードの唐揚げなのだが、宿の調理場を借りて作ってみた所パーティーメンバーもフレーヌの家族も大絶賛だったのだ。


「唐揚げは至高の食べ物・・・。」

「美味しそうに食べてる所悪いが、こいつらの護衛をしてくれ。危険が及びそうになったら守るだけでいい。」


櫓がミズナにお願いするが唐揚げに夢中で反応がない。


「ボックスリングの中に戻すぞ?」

「ちゃんと護衛するから任せる・・・。」


右手を唐揚げの乗った皿に近付けながら言うと、身体で皿を覆い隠しながら早口で返事をする。

少し不安は残るが二階を任せて、ネオンと冒険者の女の子を連れて三人で三階に繋がる階段に足を掛けた。

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