107話 底無しの胃袋
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やったああああ!
いつも見てくれてありがとうございます。
それと今更ですが今回の話の様な日常話とかの平和回が個人的に好きで、物語が進まない時もあったりしますが、まったり付き合っていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします!
メリーと藍が慌ただしく出ていってしまったので、櫓も食事を済ませて店を後にした。
特にやる事もなくなり日も大分沈んできたので、宿に帰ろうとしていると見覚えのある顔を見かける。
「そんな大荷物でどうしたんだレーネ?」
宿屋の看板娘のレーネが荷車を引いている。
「あ、櫓さん。お父さんに買い物頼まれちゃって、その帰りなの。」
荷車には中身は見えないが木箱が沢山載せてある。
かなり息が乱れていて、華奢なレーネが引くには辛そうである。
「何をそんなに頼まれたんだ?」
「あー、えーっとね、食材なんだけど。」
レーネは言いにくそうに教えてくれる。
考えるまでもなく原因となった奴の顔が思い浮かぶ。
「悪いな、俺の連れのせいで。」
「ううん、気にしないで、買い出しも宿屋の仕事なんだから。」
そうは言ってもこれだけの量を一回で仕入れるのは異常だろう。
宿屋と言っても食材が傷む前に捌ける量とは思えない。
つまりそれだけ消費する当てがあると言う事だ、信じられないほど食べる客が。
(金を持たせて食べ歩きにさせとくんだった。)
櫓は溜息を吐きつつ心の中で後悔した。
「取り敢えず休憩したらどうだ?」
そう言ってボックスリングから取り出した果汁水を渡してやる。
「え、いいの?ありがとう。」
レーネは嬉しそうに受け取り果汁水を美味しそうに飲んでいる。
「ふぅ、生き返った〜。よぉし、もうひと頑張りしますか。」
「代わりに持つぞ?」
「え?流石にそれは悪いよ、これ結構重たいんだよ?」
「ボックスリングに重さは関係ないから気にするな。」
そう言って大量の木箱毎荷車をボックスリングの中に収納する。
いきなり大きな荷車が消えたので、レーネや周りの通行人が驚いていて、この感覚久しぶりだなと微笑した。
「ええ!?どこ行っちゃったの!?」
「心配するな、魔法道具の中に仕舞っただけで宿に着けばちゃんと出す。」
「便利でいいな〜、私も欲しい!」
「白金貨を用意出来れば買えるかもな。」
「そんなにするの!?高過ぎて買えないよ。」
レーネと他愛もない会話をしていると直ぐに宿に到着する。
荷車だけを出して食材の入った木箱は中に運んであげる。
「ただいま〜。」
「おかえりなさい櫓さん、レーネ。食材をお父さんが待ってるわよ?」
「分かってるよ〜。」
「食材はどうしたの?」
買い出しに行ったはずのレーネが食材を持って入ってきていないのを見て首を傾げるフレーヌ。
「櫓さんが持ってくれたの、でないとこんな早く帰ってきてないよ。」
「え?ダメじゃないのお客さんにそんな事させたら、ごめんなさいね櫓さん。」
「気にしないでくれ、俺からレーネに言ったことだ。それに魔法道具の中に仕舞っただけだから、負担は全くないしな。それより何処に置けばいいんだ?」
「そうなんですね、それでもありがとうございます。すみませんが食堂の方にお願い出来ますか?レーネ案内頼むわね?」
「はーい、櫓さんこっちだよ。」
レーネに連れられて食堂に入ると一つの机だけ山の様に皿が積み重ねられている。
そしてその机ではミズナが肉料理を美味しそうに食べていた。
まだ食事の時間にはなっていない様で、ミズナ以外に客はいない。
「お父さんお待たせ。」
「レーネやっと帰ってきたか、他の客に出す分が間に合ってよかったぜ。」
厨房の方からレーネの父の声だけが返ってくる。
ミズナが食べた皿を洗うのに忙しくて手が離せない様だ。
「櫓さんここに置いてくれる?」
レーネに指示された場所に木箱を次々と出していく。
「ありがとね、本当助かったよ。」
レーネはお礼を言って次々と木箱を厨房に運んでいく。
レーネの父から料理を作るから皿洗い変わってくれと言われており、休む暇もない様子である。
「ミズナ、どんだけ食えば気が済むんだ?」
この状況を作り出している元凶の元に行って話しかける。
「ご主人おかえり・・・。」
料理から一瞬顔を上げて櫓の方を向き一言話したかと思うと直ぐにまた料理を食べ始める。
そろそろ食事の時間だろうと、櫓もその机に座ってミズナが食べるのを見ていると、新たな料理が運ばれてくる。
「すまないな、時間がかかってしまって、新しい料理だ。ん?連れのお客さんかい?もう晩飯の時間だから注文が決まったら言ってくれな。」
「なら料理長のオススメで頼む。それよりミズナが迷惑をかけてすまなかったな。」
「迷惑だなんてとんでもない、俺の作った料理をこんなに美味しそうに食べてくれるんだ。迷惑どころか嬉しいくらいだ。」
料理長は笑いながら厨房に消えていく。
特に迷惑などと気にしてない様で良かったとホッとした。
少しして櫓の料理が運ばれてくる。
「おお、美味そうだ。」
「はっはっは、味は保証するよお客さん。」
「美味しそう、料理長私にも同じやつ・・・。」
「まだ食べるのかよ!?」
櫓は晩ご飯まで一緒に食べようとしているミズナに思わず突っ込んでしまった。
料理長は笑いながら承諾して厨房に行ってくれた。
料理を食べ終えてもまだ食べようとしているミズナを強制的に引きずって食堂からだすと、フレーヌに呼び止められる。
言いにくそうにミズナの食事代が金貨一枚ではギリギリ足りないと言われて、一食でどれだけ食いやがったんだと溜息混じりにボックスリングから金袋を取り出した。
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