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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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103話 二つ名

メリーが受付嬢から冒険者ギルドの訓練場使用許可をもらえたので、三人で訓練場にやってきた。

櫓達三人以外は誰もいなかったため広々と使える。


「さあ、早速始めるわよ!」


メリーは櫓に自分の実力を見せようと気合が入っているようで、やる気充分である。


「タイマンでやるのか?」

「だって貴方のパーティーメンバーいないじゃない?」


メリーの言う通り、ネオンとシルヴィーは買い物に、ミズナは食事に夢中のため、パーティーメンバーはここには来ていない。


「パーティーメンバーはいないけど、クロード!」

「ここに。」


櫓が呼ぶと目の前に突如、傭兵団絆誓のリーダーであるクロードが姿を現す。


「なっ!?いきなり現れた!?」

「この方は絆誓の・・。」


藍はクロードが誰なのか知っていたのでそこまで驚いてはいないが、メリーは突然姿を現したクロードに驚いている。


「これで二人対二人で戦えるがどうする?」

「そっちでお願いするわ、私は藍がいた方が戦いやすいから。」

「私も構いません。」


メリーと藍は問題無いようなので、クロードの方を向く。


「てことで悪いがクロード、少し付き合ってくれ。」

「承知しました櫓様。」


クロードは(うやうや)しく礼をして言う。

二人ずつで分かれて戦う準備をする。

この訓練場もロジックの冒険者ギルドの訓練場と同じで、死に至る攻撃は意識を刈り取る様に勝手に変換されるので、致命傷は身体に残らない。

なので手加減なしで思う存分戦うことができる。


「櫓様、あの御二方の事を知っておられますか?」


クロードは短剣の具合いを確かめながら櫓に質問してきた。


「いや、有名みたいだが知らないな、クロードは知ってるのか?」

「はい、御二方共にとても有名な冒険者です。パーティー名は希望の光、メンバーはあの御二方だけですが、実績は確かでAランクパーティーです。そして御二方共に二つ名持ちです。」

「二つ名?そんなのがあるのか?」

「Aランクの冒険者になられた方に、その実力が認められた証として、その方の特徴とも言える二つ名が冒険者ギルドより贈られるのですよ。」

「二つ名か、贈られて嬉しいのか?恥ずかしいだけに思えるが。」

「櫓様の言わんとしてることは分かりますが、様々な場面で二つ名が良い効果をもたらしてくれますので、貰っておいて損はありません。ちなみにシルヴィー様も二つ名持ちですよ、双槍のシルヴィーと冒険者界隈では知らぬ者は少ないでしょう。」


初めて聞いたが、二つ名の意味は分かる。

シルヴィーは普段の戦闘で槍を一つしか使わないが、本気の戦いの時には両手に一本ずつ、槍を二つ使って戦うスタイルなのだ。

長物の槍を二つも同時に扱うのは戦いづらいのでは無いかと聞いた事があるが、特にそう感じた事はないらしい。


「二つ名から戦い方が想像できるな。」

「ええ、二つ名持ちは戦い方を多くの方に知られておりますから、対策されて戦いを挑まれる事もありますが、その程度で敗れないからAランクなのです。」


Aランクは冒険者の実質トップランクである。

Aランクの冒険者は世界中で数百人といるが、冒険者全体で見ればごく僅かである。

それだけその場所に辿り着ける者は少ないのだ。


「それであの二人の二つ名ってなんだ?」

「メリーさんは呪術師、藍さんは瞬刀と言う二つ名が贈られておりますね。」

「呪術師に瞬刀か、スキルか魔法で呪いを使うのと、刀の攻撃がとにかく速いみたいな感じか?」


名前から想像した二人の戦い方を考える。


「それで合っています。しかしメリーさんのはスキルか魔法か知られておりませんし、その呪いについての情報もほとんどありません。そしてあのローブが着用者の情報全てを隠蔽する効果がある様なのです。そして藍さんは、本人の動きも速いことは間違いありませんが、Aランクの中で考えれば普通の速度です。しかし振るわれる刀の速さは次元が違い、少しでも目を離せばアウトですね。」


クロードは実際に二人の戦い方を見たことは無いが、二人とも有名な冒険者なので様々な所で二人について聞いた事があるため、詳細な情報も知っているのだ。


「なら得体の知れない呪術師の相手は俺がやろう。攻撃速度が速い相手は、俺の神無月に反応して受け止めたクロードならいけるだろう。」

「頑張ってみます。」


雷を纏わせた刺突攻撃である神無月は、櫓が扱う技の中でもトップクラスの速度を誇っている。

藍の刀の速さがどれほどのものかは知らないが、神無月の攻撃速度に反応できたクロードなら、いい勝負が出来るのではないかと思えた。

そして呪術師と言ういかにもヤバそうな二つ名を持つ相手に対して、いきなり突っ込むのは愚策である。

遠距離攻撃で様子見をするのが良いだろうと考え、クロードよりも自分の方が遠距離攻撃に長けているだろうと考え、メリーの相手は櫓がする事にした。


「ねーそっちは準備できた?」


少し離れた場所からメリーが大きな声で呼びかけてきている。


「いつでもいいぞ。」


櫓とクロードも準備は出来ているので、大丈夫だと返事をする。


「それなら勝負開始!」


メリーが戦いの合図をすると同時に藍が地面を蹴り、滑る様に距離を詰めてきた。

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