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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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94話 優しさは時に痛い

「ちっ新手か、だが皆無事の様だな。」


遠見の魔眼で見た限りでは、巨大マーマンをミズナが食い止め、ネオンとシルヴィーが大量のマーマン達の相手をしている。

ゾンビ達の方を見て悲鳴を上げたと思われるネオンだが、特に怪我などは見えないので見た目に驚いただけだろう。


「それにしてもかなりの数だな。それに湖側からと森側から挟まれてしまう。」


マーマン達と戦っている後ろをゾンビの大群に取られてしまっている。

ゾンビはDランク指定の魔物だが、元の個体の強さに多少影響されるので強いゾンビもいたりする。


「この湖周辺で戦って死んだ冒険者や魔物の成れの果てか。マーマン達を相手にしながらはきついだろうし、ゾンビは引き受けるか。」


ゾンビの大群は、人型、昆虫型、魚型、鳥型と様々である。

死んだ者はある程度解体するか、火魔法や聖魔法などで弔ってやらなければゾンビとなってしまうのだ。


「天剣九式・長月!」


ボックスリングから取り出した霊刀に雷を纏わせて、柄頭の部分を蹴り抜く。

蹴った瞬間に転移したかの様な速さで、ゾンビの群れの先頭に霊刀が着弾し、刀が纏っている電気がゾンビ達に放電されて動きを止める。


「櫓様ご無事ですか!?」

「悪い遅くなった。」


櫓自身も雷帝のスキルで雷を足に纏わせて爆速で移動して、ゾンビ達の目の前に立ちはだかる。


「顔中真っ黒ですけど大丈夫ですか?」

「なんとか見えるから気にしなくていい。それより手こずってる様だな。」

「すみません、幾ら倒してもキリがなくて、それに魔力をかなり消費させられてしまいまして。」


ネオンは怪我などはしていないがかなり疲労は溜まっている様だ。

魔力量の多いネオンだが集団戦闘の経験はあまりなかったので、ペース配分が分からないのは仕方ないだろう。

逆にネオンよりも魔力量の劣るシルヴィーは、未だ平然とマーマン達と渡り合っている。

雑魚敵相手であればネオンと違い、魔装しなくても技術で圧倒できるのだ。

それにミズナが巨大マーマンを倒せば、マーマンの補充は出来なくなるので、それまで時間稼ぎさえすれば、櫓と戦った様な強者との戦いの為の魔力をシルヴィーは完全に温存出来るのだ。


「魔力回復のポーションだ飲んでおけ。」

「ありがとうございます。」


暇な時に作っておいたポーションをネオンに投げ渡す。

これでネオンも少しは楽に戦えるだろう。


「ミズナまだかかりそうか?」

「同じ様なスキルだから相性が悪い・・・。」

「なら道を作るから加勢に行けシルヴィー。」

「分かりましたわ。」


ゾンビ側に右手をマーマン側に左手を向けて、その手に雷が纏っていく。


「雷撃!」


眩い雷が同時に放たれ、ゾンビとマーマン達は次々と吹き飛ばされ消し済みとなっていく。

櫓の攻撃でマーマンの大群の中に道が出来たので、そこを巨大マーマン目掛けてシルヴィーが走る。


「ニンゲンフゼイガ、オレサマノジャマヲスルナ!」


操水によって湖の水がシルヴィーに向かおうとするが、ミズナが水帝のスキルを使って水の壁を作り邪魔をしている。


槍貫砲(そうかほう)!」


腕輪から取り出した普段使いではない使い捨ての槍を、巨大マーマン目掛けて振りかぶって投げる。

少し魔装して強化した程度だが、物凄い速さで飛んでいき、防御の隙を与えない。


「グギャアアアアアァ!?」


シルヴィーの投げた槍は巨大マーマンの腹に命中して、大穴を開け貫いていた。


「ニンゲン、ゴトキニ、コノオレサマガ。」

「しぶとい・・・。」


致命傷を受けて操水のスキルの効果が弱まった隙をつき、ミズナが水を纏わせた手を振るい水の斬撃を飛ばす。

水の斬撃は巨大マーマンの首を斬り裂き頭を丸ごと落とす。

マーマンを常に増殖させていた動きが止まり、ピクリとも動かなくなった。


「あっちは終わったな、ネオンこっちも片付けるぞ。」

「了解です。」


櫓の雷によって大半は消し飛ばされたが、呻き声を上げながら近づいてくるゾンビがまだ結構残っている。


「同時攻撃で一気に消し飛ばす。」


櫓の言葉にこくりと頷いてスキルを使う。


「炎舞!」


ネオンが踊る様に手を振っていき、手の軌跡に沢山の炎が作り出されていき、その炎をゾンビの群れに向かわせる。


「拡散雷撃弾!」


櫓が放った雷球が途中で拡散して、ネオンが放った炎に次々と当たっていく。

炎は雷を纏い加速してゾンビの群れに突っ込んでいき、次々と爆発して轟音が鳴り響く。

爆音が止み砂煙が晴れるとゾンビの群れは跡形もなく消し飛んでいた。


「やっと地上の敵が片付いたか。」

「ご主人洗う・・・。」


ミズナが綺麗な水球を櫓の方に浮かべさせてくる。


「ありがとなミズナ。」


好意に甘えて顔の墨を落としていく。

しかし水に付けて擦っていても少ししか落ちなくて、痺れを切らしたミズナが息を止めている様にと櫓に言って、水球の水を洗濯機の様に高速回転させて、櫓の顔を洗っていく。


「綺麗になった・・・。」

「ハゲるかと思ったぞ!?」


顔の墨は綺麗になったが、高速回転する水に髪が持っていかれ、戦闘時並みの痛みに耐えるのに必死の櫓だった。

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