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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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89話 魚人の大群

盗賊退治を終えてから十日が経過した。

あれからリシェス湖を目指し、今も馬車で走っている。

三人は馬車が走っている間は暇なので、魔法道具を作成したり、本を読んで魔法や魔物の勉強をしたり、昼間から風呂に入ったりと様々である。

櫓が作り終えた魔法道具の出来に満足していると、御者側の壁に取り付けられている窓が外からコンコンとノックされる。


「どうしたミズナ?」


櫓は窓を開けて御者台で馬車を操縦しているミズナに問いかける。


「まだ少し遠いけど水の匂い・・・。」

「リシェス湖ってことか?」

「多分そう・・・。」


道中にあった町や村にも少し立ち寄りはしたが、目的地が遠かったので、この十日間の殆どが馬車による移動だった。

快適に過ごせるようにと金を惜しまずに使って、作り上げた馬車だったので、不自由は全く無いがそろそろ外で身体を動かしたくなってくる。


「リシェス湖が近いって聞こえたんですが、もう少しですか?」


ネオンも窓枠に近づいてきてクンクンと匂いを嗅いでいる。


「私にはまだ匂いが感じ取れないですね。」

「獣人のネオンでも分からないのに、よく分かるな。」

「水の精霊だから・・・。」


ミズナはえっへんと無い胸を張って得意げである。


「でも普通の水の匂いじゃない・・・。」

「普通の水の匂いってのも分からないけど、何が違うんだ?」

「嫌な感じの水の匂い・・・。」

「嫌な感じって何ですか?」

「魔物とか血とかの匂いが混ざってる・・・。」

「なるほどな。」


リシェス湖には魔物が住み着き、その魔物を討伐するために冒険者が派遣されたりしたと聞いた。

冒険者と魔物がリシェス湖の近くで戦闘をしたのだから、その血肉が入っていたとしても不思議はない。


「あとどれくらいで着きそうだ?」

「一時間・・・。」

「じゃあ近づいたら呼ん・・。」

「待ってください二人とも、魔物の匂いです。」

「ミズナ、馬車を止めろ。」


ミズナは手綱を操り馬車を急停止させる。

急停止したことにより、風呂場の扉からきゃあああと悲鳴が聞こえたが無視しておく。


「ネオン、ミズナ戦闘準備。」


櫓とネオンは馬車から、ミズナは御者台から降りて辺りを警戒する。


「ネオン、魔物の匂いはどっからだ?」

「右の森の方からです、かなりの数の様です。」

「人の匂いは?」

「しないです。」


ネオンは改めて匂いを嗅いで確認してから答えた。


「なら遠慮なく暴れて問題なさそうだな。」

「ギョギャ。」


櫓が呟いた瞬間森の中から魔物達が姿を表す。

全て同じ見た目をしていて、巨大な魚に手足が生えた見た目である。


「うへ〜、気持ち悪いです。」

「油断するなよ、一応Cランクの魔物マーマンだ。」


櫓は調査の魔眼を向けて魔物を見る。


種族 マーマン(魔物)

スキル 放水


「スキル持ちだ、放水と言うスキルを使うみたいだぞ。」

「美味しくなさそう・・・。」


魔物は食べると美味しいものもある。

ホーンボアの肉などはミズナの好物でもあるが、マーマンは見た目から食べたいとは思わなかった様で、食料を確保できなかったとがっかりしている。


「全部焼いてあげます、狐火!」


ネオンは右手にバスケットボールほどの大きさの火球を作り出し、マーマンの群れ目掛けて投げつける。

しかし火球は着弾する前にマーマン達の群れが吐き出した水によって消されてしまう。


「なるほど、これが放水か。」

「ネオン弱い・・・。」

「い、今のは小手調べにすぎません。次は本番ですから、狐火!」


ネオンはミズナの言葉にショックを受けガックリと項垂れるが、名誉挽回のため再び立ち上がり攻撃する。

先程とは比べものにならない程の何倍もの大きさの火球を作り出して魔物の群れに投げつける。

またマーマン達は口から水を吹き出して消そうとしたが、火球が大きすぎたため少し小さくなる程度の効果しかなかった。


「ギョギャアアァ!?」


火球はそのままマーマンの群れの中に着弾して爆ぜ、火だるまになったマーマン達が苦しそうにもがいている。


「結構倒したがまだまだいるな。」

「ご主人今度は私に任せる、水鉄砲・・・!」


ミズナは両手をピストルの様にした、人差し指から水滴を物凄い速さで打ち出している。

マーマン達は反応することもできず、眉間に穴を開けて次々と倒れていく。


「量が多すぎる・・・。」


ミズナは水鉄砲によって三十体近く倒したが、倒しても倒しても森の中から次々とマーマンが現れてくる。


「ミズナ交代だ、殲滅は任せろ。」

「「「ギョギョギャギャアアア!」」」


マーマン達は口をガバッと開けながら突撃してくる。

手足を生やした魚の化物が口を開けながら何十匹も迫ってくるのはトラウマになりそうな光景だ。


「さすがにそれは気持ち悪すぎだ、極雷砲!」


櫓が突き出した両手から雷のレーザーが放たれる。

レーザーに飲み込まれてマーマン達は跡形もなく消し飛び、それでも威力は衰えずに、森の中から次々と姿を表してきているマーマン達をも飲み込んでいく。

攻撃をやめると櫓の極雷砲により森にポッカリと穴が空いている。


「全滅したか、どんだけいたんだあのマーマン達。」

「ご主人こっちくる・・・。」


森の中を覗き見ていたミズナが櫓を手招きしている。


「どうした?」

「これ見て・・・。」


ミズナが指差した場所には水溜りの様なものがある。


「これがどうか・・。」


どうかしたかと言い切る前に水溜りからマーマンが出てきて、口を開けて櫓に噛みつこうとしてきた。


「うおっ!」


反射的に出た右拳によりマーマンは吹き飛ばされ、木に叩きつけられて絶命する。


「ビックリした、なんだこれ。」

「マーマンを召喚する水溜りみたい・・・。」

「壊すことはできるのか?」

「できる、ネオンちょっとくる・・・。」


完全に消し飛んでいないマーマンから魔石を回収していたネオンを呼ぶ。


「どうしたんですかミズナ様?」

「この水溜り蒸発させる・・・。」

「はあ、わかりました、狐火!」


ネオンの出した拳大の火球を水溜りに放つと、一瞬にして水溜りが蒸発する。

それから五分ほど様子見していたがマーマンがそこから現れることはなくなった。

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