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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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80話 洞窟掃除完了

「ちっ、使えねー見張り共だぜ。」

「まったくだ、ここまで攻め込まれるとはな。」


まだ動ける者のうち二人が剣を構えながら言う。

もう一人の者は座ったまま様子を見ている。


「三人で来なくて大丈夫か?」

「おめえなんか兄貴なしで充分だぜ。」

「さっさと殺すぞ。」


そう言って二人は櫓に攻撃を仕掛けて来る。

確かに他の盗賊達よりは動きが速いが、櫓達のレベルには圧倒的に届いていない。

向かって来る二人よりもさらに速く距離を詰める。


「吹底!」


二人の腹に片腕ずつで掌底を叩き込む。

二人は座っている盗賊の両側を抜けて、背後の壁に激突してめり込む。


「なっ!」


座っている盗賊は味方がやられるとは思っていなかった様で、驚き固まっている。


「ラスト一人だな。」

「こ、こんなことして、ボス達が黙ってねーぞ!?」


剣を抜き放ち立ち上がりながら叫ぶ。


「まさに虎の威をかる狐だな。」


一瞬で近づき、盗賊の腹に拳をめり込ませる。

今洞窟内にいる中では一番強かったかもしれないが、櫓の腹パン一発で気絶してしまった。


「これで今のところ洞窟内は安全になったな。」


全て倒したので報告のために檻に戻る。

倒した盗賊を縛るのに協力してもらうのだ。

しばらくは目を覚さないだろうが、時間が経つと目を覚ましてしまうだろう。


「終わった・・・?」


戻る途中にいたミズナと合流する。


「ああ、全員伸びてる。今いる連中は大したこと無いみたいだな。」

「こっちも終わってる・・・。全員溺れた・・・。」


ミズナの視線を追って洞窟の入り口に向けての通路を見ると、水はある程度抜けているが地面は水浸しで、入り口付近に見張りの盗賊達が倒れている。


「なら一旦檻に戻るぞ、倒した盗賊達を拘束するのに手を貸してもらいたいからな。」

「分かった・・・。」


檻の部屋に戻るとネオンとシルヴィー以外は驚いた顔をしていた。

人数差が圧倒的だったので、勝つとは思っていなかった様だ。


「早かったですわね。」

「今残ってる連中は全員倒した。」

「盗賊弱い・・・。」

「これからどうしますか?」

「倒した連中を紐で縛るから、皆に手伝ってもらおうと思ってな。」


見張りから鍵を奪い檻の扉を開ける。

捕まっていた冒険者や村人達に出てきてもらい、ボックスリングから取り出した紐を渡す。


「武装解除は俺達のパーティーでやるから、他の人達は盗賊達を縛ってくれ。」


部屋を出て盗賊達が倒れている場所に移動する。


「ほ、本当に全員倒れている。」


床が盗賊達で埋まっている光景を見て、冒険者の女性が呟く。


「嘘なんてつくわけないだろう?」

「すまない、あの人数差で倒せるとは思っていなかったんだ。」

「まあ、見た目で侮られるのは慣れてるから構わないさ。」


櫓も倒れている盗賊達の武器や防具を次々とボックスリングに収納していく。

盗賊を見かけたら自分達で討伐か、出来なければ近隣の街から冒険者や騎士を派遣して倒すのが基本である。

野放しにしておけば被害が広がるばかりだからだ。

そして盗賊の所有している奪われた武器防具や魔法道具などの所有権は全て倒した者に入る。

なので今ボックスリングにしまっている武器防具も全て櫓達の物になるので、盗賊討伐は実力がある者にとっては美味しい仕事なのである。


「縛った盗賊達を運べる奴は檻まで引きずって行ってくれ。」


櫓は縛った盗賊を十人ほど引きずりながら、手の空いている者達に呼びかける。


「檻に入れておくんですか?」

「一箇所に纏めておいた方が見張るのも楽だしな。」

「分かりました。」


ネオンも縛られている盗賊のところに向かって行った。

皆で協力して縛られた盗賊達を檻に無理やり押し込み鍵を閉める。

村人や冒険者が二十人ほど捕まっていた檻に七十人も押し込んだので、中はむさ苦しく悲惨な光景になっている。


「一旦村人の皆さんをルクトに送りますか?」

「と言ってももうすぐ夜だしな。」

「護衛しながらの夜の移動は危険ですわ。夜が明けてからにいたしませんか?」

「でも盗賊のリーダー達が戻って来てしまうんですよね?皆さんを危険に晒してしまいませんか?」


ネオンは村人や冒険者達を見ながら言う。


「俺達的には視界の悪い夜にモンスターが徘徊する中移動するよりは、盗賊を迎え撃って夜が明けるのを待ちたいんだが、それでも構わないか?」


櫓が捕まっていた者達に確認を取る。


「助けてもらい守ってもらっている立場だ、そちらの指示に従おう。」

「私達も無事に村に戻れるのであれば大丈夫です。」


冒険者と村人を代表して二人が答える。

他の皆も顔を見合わせてはいるが否定的な様子はない。

元々櫓達に助けてもらわなければ悲惨な目に遭っていたかもしれないのだ。

それに櫓達の実力を見て少しは安心したのだろう。


「取り敢えず食事にするか、満足に食えてなかっただろ?」


櫓はボックスリングからパンや飲み物を取り出し配給する。

皆口々に礼を言って喜んで受け取っていく。


「ネオン、シルヴィー、今度はお前達が先陣を切っていいぞ。」

「よろしいんですの?」

「何処で見張っていればいいですか?」

「俺とミズナで洞窟内に残るから、外で奇襲を仕掛けていいぞ。」

「それは面白そうですわね。」

「でもリーダー格の人達って強いんですよね?シルヴィー様の足を引っ張らないか心配です。」

「最善を尽くしていただければ充分ですわよ。」

「やばそうなら加勢に行くから気楽にやってこい。」


シルヴィーは奇襲に乗り気だが、ネオンは不安がっていた。

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