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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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79話 戦闘狂パーティー

「は、はい、全員無事です。」


突然現れた櫓達に驚きながらも最初に訪ねてきた女性が答える。


「見たところ村人以外の人もいるみたいですね。」


ネオンの言う通り、村娘にしては引き締まった身体や威圧感のある雰囲気を持つ者達もいる。


「我々は村人ではなく貴方達と同じ冒険者だ。」

「装備類は奪われましたの?」

「ああ、武器も防具も盗られた。」


冒険者の女性は悔しそうに言う。


「ここに来るまでに見た盗賊達なら軽く倒せそうに見えるな。」


檻の中に捕らえられている冒険者の女性達は、櫓から見ても中々の強さを持っている様に見える。


「確かに見張りをしていた奴らに遅れを取るつもりはない。しかし盗賊側には我々より格上もいたのだ。」

「そいつらにやられて捕まっているってわけか。て言うかこれで全員なんだよな?」

「君の言わんとしていることは分かるがこれで全員だ。なんでもリーダー達が来るまでに勝手に手を出すと殺されるらしいからな。」


櫓は言葉を選んで遠回しに聞いたが、若い女が盗賊達に捕まればろくな目に合わないだろう。

しかしここに捕まっている人は、全員ただ縛られているだけで外傷がほとんどなかったため、理由が気になったのだ。

外出しているリーダー達と言うのが、クロードが言っていた盗賊団の纏め役達なのだろう。


「ならリーダー格が帰ってくる夜までに洞窟内の掃除でもするか。」

「そうですね、女性の敵許せません。」

「同感ですわ、少し痛い目に合わせて差し上げましょう。」

「ふぁああ・・・。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、話を聞いていたか?洞窟内に残っている奴らの中にも強者はいるんだぞ?しかも敵は五十人を超えている。」


一人眠そうに欠伸をしている精霊を除き、櫓達が洞窟内にいる盗賊達と戦う事について軽く話し合っていたため、冒険者の女性が注意する。


「あまり大きな声出すと気付かれるぞ。」


女性の冒険者はハッとして口を閉じる。

女性の声に反応してか、櫓達がいる近くで気絶していた見張りが目を覚まし、寝起きの様にゆっくり起き上がろうとしていたので、頭に足を置いて力を入れ床に叩きつけて意識を奪う。

仲間達からはさすがに酷いだのかわいそうだのと声が上がったが無視しておく。


「下っ端如きに遅れは取らないから心配無用だ。」

「相手はBランク冒険者相当だぞ?」

「ならAランク相当の俺達が負けるわけはないな。」


冒険者の女性達はそれを聞いて驚いている。

まさか目の前にいる櫓達がAランクの冒険者だとは思わなかったのだろう。

Sランクの冒険者は化物しかいないので、Aランクの冒険者と言えば実質冒険者のトップと言ってもいい。

櫓達を見た目からは冒険者のトップとは見えなかったのだろう。


「じゃあ早速取り掛かるか。」

「我々も加勢するか?」

「俺達だけで充分だ、のんびりしているといい。」


正直なところを言うと、この洞窟内に勝てない相手がいるのに、また捕まって人質にでもされては面倒だと思ったのだ。


「全員で行きますか?」

「いや、一応ここにいる全員を守れる様に人を残していく。」

「二人ほどで充分ではありませんの?」

「そうするか、じゃんけんで勝ったやつな。」


そう言って四人でじゃんけんをする。

檻の中にいる人達は、緊張感のない櫓達の事を見て唖然としている。

負けた者ではなく勝った者にしたのは、戦闘狂が多いためだ。

結果は櫓とミズナが勝った。


「ネオン、シルヴィー、しっかり守ってろよ。」

「しっかり守る・・・。」

「わかってますわ、それよりも逃したりしないでくださいませ。」

「こちらに来たら相手してもいいんですよね?」

「俺とミズナがそんなミスするわけないだろ。」

「ご主人の言う通り、そもそも私だけでも充分・・・。」


櫓とミズナは移動して、分かれ道となっているY字路の地点まで戻ってきた。


「ミズナ、どっちがいい?」

「私とご主人にとっては、どの盗賊も取るに足らないからどっちでもいい・・・。」

「なら入り口の方の奴ら頼むな、逃さず殺さずだぞ。」

「分かってる、水上壁・・・!」


ミズナは洞窟の入り口に水の壁を作る。

この壁は櫓の攻撃を(ことごと)く防いだので、これで盗賊を逃す事はないだろう。


「水流砲・・・!」


入り口に手を向け、そこから洞窟の通路を埋め尽くすほどの水が勢いよくレーザーの様に発射される。

突如作られた水の壁や、水流砲の音に気付いて壁沿いのスペースから通路に出てきてしまった見張りの盗賊達は、なす術もなくその水に流され、十数人が入り口の水の壁に水圧で縫い付けられている。

相当の水圧なため、既に半分近くが意識を失っている。

そしてそんな派手な攻撃をしたら、酒盛りしていたとしても気付かないはずもなく、檻とは逆の通路から盗賊達が近付いて来る声が聞こえてくる。


「こっちも掃除といくか。」


櫓は左の通路に入っていき、前に手を向けて雷を飛ばしながら歩いていく。

雷を食らった盗賊は意識を失うか痺れて動けなくなり、地面は倒れた盗賊で埋まっていく。

通路を歩き終わり広い場所に出ると、武器を構えた者達が大量に待ち構えていた。


「酔っ払っててまともに戦えるとでも思っているのか?」

「この人数が目に入らないのか?」

「死にたいらしいな。」

「このガキを殺せえええ!」


一斉に盗賊達は櫓目掛けて攻撃を仕掛けて来る。


「放電!」


櫓の身体から全方位に向けて雷が放たれる。

向かってきていた盗賊達はその雷を浴びて、バタバタと倒れていく。


「さて、残ったお前たちは少しはまともそうだな。」


下っ端で様子見をして攻撃しなかった者や、櫓の放電を交わして立っていた三人に向けて、悪そうな笑みを浮かべながら言った。

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