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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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78話 精霊魔法

「ふぅー、お待たせしました、もう大丈夫です。」


待つこと数分、ネオンの息の乱れも収まった。


「ミズナ着いたぞ。」


櫓が精霊の腕輪に向かって呼びかけると腕輪が光り、ミズナが実体で現れる。

目を擦りながら小さな口を開けて欠伸をしていて、とても眠そうだ。


「どのように攻め入りますの?」

「堂々と正面突破でもいいが、村人達が人質にされるかもしれないしどうするかな。」


敵にバレないように潜入するための姿や気配を隠すスキルや魔法を櫓やネオンは持っていない。

シルヴィーの風属性の魔法にはそう言った魔法もあるのだが、自分一人にしか効果がないため、敵の戦力が分からない今は一旦保留にする。

するとミズナが唐突に手を上げた。


「何か良い案があるのかミズナ?」

「ある、精霊魔法・・・。」

「精霊魔法って詳しく知らないんだが、普通の魔法と何が違うんだ?」


そもそも精霊魔法と言う言葉自体が人間の国ではあまり知られていない。

精霊自体がかなり珍しく、なかなか遭遇することがない。

そして精霊は魔法の適性の高い者と契約することが多い。

種族の中では圧倒的にエルフが魔法の適性が高く、人間の中で高い者でも、エルフと比べると平均以下と言った感じだ。

そのため精霊が契約すると言ったらエルフであった。

なので人間の国では精霊についての事が、あまり知られていないのである。


「精霊魔法とは、精霊と契約した者のみが使える特別な魔法・・・。詠唱を必要とせず、想像した通りの現象を使用者の魔力を使って引き起こす事ができる・・・。」

「便利な魔法だな、説明はそれだけか?」

「引き起こしたい現象が凄いものほど、大量の魔力を使用する・・・。魔力が足りないと発動しない・・・。」

「なるほどな、発動するか分からないが早速やってみるか。」

「精霊魔法使うときは、契約した精霊と手を繋いで想像する・・・。」


ミズナが手を差し出してくる。

櫓はミズナひんやりした手を握って、精霊魔法を使用するため現象を想像する。

ここにいる四人を装備ごと透明にして、気配や匂いを無くし、足音を消す。


「精霊魔法・隠蔽(いんぺい)!」


櫓が魔法名を唱えると、四人の姿が徐々に薄くなり、完全に見えなくなった。


「そこそこ魔力は持っていかれたが成功したようだな。」

「凄いです、皆さん消えています!」

「これなら心配なさそうですわね。」

「取り敢えず洞窟の前まで行くぞ、見張りは居ないようだし。」


櫓は遠見の魔眼を発動させ、洞窟近辺の様子を確認したが、人の姿は見当たらない。

四人は街道沿いから移動して、洞窟の前まで来る。

道中動物や魔物などがいたが、隠蔽のおかげで全く気付かれなかった。


「距離感掴むために一応手を繋いでおくか。」


そう言ってネオンの手をつかんでおく。

前から櫓、ネオン、シルヴィー、ミズナの順番である。

洞窟は結構な長さがあり、少し壁を掘ったスペースなどは所々にあるが、分かれ道はない。

そう言ったスペースに見張りなのか盗賊の一味がいるが、話し合ったり酒を飲んだりと、こちらに気付く様子はない。

暫く進むと左右への分かれ道となった。

左から大勢の声が聞こえていたので、そちらに透視の魔眼を発動させて見ると、酒盛りで盛り上がっている様子で、盗賊達が固まっている。

右を見ると幾つか檻があり、中には縛られた人が大勢いる。

全員が若い女であり、特に目立った外傷はない。

見張りも何人かいるが、お喋りに夢中で警戒心がない。


「右に捕まった人達がいる。左の部屋とは離れてるから大丈夫だとは思うが、四人いる見張りを左にいる大勢に気づかれない様に合図を出したら各々無力化してくれ。入り口から遠い場所にいる奴から今の並び順で担当する。」

「了解です。」

「わかりましたわ。」

「わかった・・・。」


小声で打ち合わせして部屋の中に入る。

少し待って配置に着いただろうと思い、パチンと指を鳴らす。


「なんのお・・・。」


櫓の近くにいた見張りが音のした方に振り向こうとした所で腹に拳をめり込ませる。

見張りはあまりの痛さに気を失い、前のめりで地面に倒れる。

ネオンは鞘に入ったままの剣で後頭部を殴り気絶させている。

シルヴィーは見張りの後ろから手刀を首に打ちつけ意識を刈り取る。

ミズナは見張りの頭が丸ごと入る水球を出し、突然の事でパニックになった見張りは息を吐いてしまい、息が出来ず頭を振っても離れない水球の水により、溺れて意識を手放す。

檻の中にいる人達には櫓達の姿は見えていないので、突然見張りが四人共倒れてしまった様に見え驚いている。


「敵じゃないから、取り敢えず声は抑えてくれよ?盗賊に気付かれるからな。」


驚いて大きな声を出されては台無しなので、予め言っておく。


「だ、誰かいるんですか?」


ルクトの村人と思われる若い女性が声を抑えて訪ねてくる。

櫓は隠蔽の魔法を解除して四人の姿を表す。

声を抑えつつも突然現れた櫓達を見てまた驚いていた。


「村長の依頼で助けに来た冒険者だ、全員無事か?」

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