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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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66話 櫓ファミリー増員

「櫓ファミリーか・・・、もっとなんかあったかもしれないのにな。」


ギルドでファミリーの申請をした帰り道、まだ自分の名前が使われる事に対して文句を言っていた。


「一度納得したんですから、もうその話は無しですよ櫓様。」

「でも拠点にいる皆にも聞かずに勝手に決めたんだぜ?」

「拠点にいる皆さんなら皆賛成するに違いありませんわ。」


奴隷達は櫓のことをかなり慕っていた。

今までの主人とは違い奴隷の身でありながら、普通の生活を送らせてくれている。

そして櫓はあれこれと命令せず、自由な時間も多く与えてくれ、親しみやすく尊敬する主人として見られていた。

そんな奴隷達が櫓の決めたことに文句を付けるわけないとネオンもシルヴィーも自信を持って言える。

今日は依頼も終えて特にすることもないので拠点に戻ると、外で大人代表と子供代表のサリアとマヤが櫓達の帰りを待っていた。


「お帰りなさいませ、櫓様、シルヴィー様、ネオン様。」


サリアは商会を開くときに店員が着るための、メイドが着る様な可愛らしい服装で出迎えてくれた。

元々頭の良いしっかりした子だったが、礼儀作法などもシルヴィーに教えてもらい、今や奴隷達の纏め役と言ったところだ。


「三人共お帰りなさい!」


マヤは櫓に向かって飛びついてきた。

子供達の纏め役であるマヤだが、皆がいない所では櫓を兄の様に慕い、よく甘えている。


「おっとっと、危ないから飛びかかるのはやめろマヤ。それより二人して外で待ってて何かあったのか?」

「三人にお客さんが来てるの!」

「お客さん?」


サリアの方を向いて尋ねる。


「絆誓の皆さんがお話があるそうで中でお待ちです。」


サリアは複雑そうな表情で答えた。

マヤが誘拐される時にサリアも含め大人の奴隷達は団長に斬られたのだ。

思うところがあっても仕方ないだろう。

そしてあの時の櫓は意識を失い血を流す皆を見て焦っていたため後で気づいたのだが、血は流していたものの致命傷の者は誰一人いなくて、ポーションで直ぐ治る程度の傷にわざとされていたのだ。


「今日は怖いことしに来たんじゃないって言ってたよ?」

「取り敢えず話を聞いてみるか。」

「私は初めてお会いしますけど、どんな方達なんですか?」

「皆さんにとっては印象が悪かったかもしれないですけれど、本当は善良な方々ですわよ。」


サリアとマヤに一階奥の客間に待たせていると聞き三人で行くと、十一人全員がいて団長を含めた三人がソファに座り、他の八人はその後ろで控えていた。


「悪い待たせたみたいだな。」

「いえいえ、こちらこそ突然押しかけてしまい申し訳ありません。」


挨拶をしながら対面に三人で座る。

戦う意思が無いと思わせるためか、全員武装解除した状態であった。

なので奴隷達も勝手に追い返したりせず、一応迎え入れてくれたのだろう。


「それで?何か話があってきたんだろ?」

「ええ、二つほど。まずは先日の謝罪並びに感謝を、無関係なお嬢さんを巻き込んでしまったこと本当に申し訳ありませんでした。そしてサリーを救っていただき、我々の命も助けていただいたこと、本当に感謝しております。」


団長は座ったままだが深々と頭を下げ、それに倣い他の傭兵団の面々も頭を下げている。


「その話はもういいと言っただろう?何度も何度ももう謝ってもらったんだ。お前達がしたくてしたことじゃ無いってのは分かっている。」

「そう言っていただけると助かります。」

「それでもう一つの話は?」

「我々絆誓を櫓様の配下に加えていただければと。」


予想していなかった言葉に櫓もネオンも驚いたが、一番驚いているのはシルヴィーだった。


「誰の下にも着こうとしなかったあなた方が・・・。理由をお聞きしてもよろしいですか?」

「前にシルヴィー様に誘われた時にも迷いはしたのです。我々はいずれ誰かを主としてその下に着き、義の為に生きようと絆を誓った集団でしたので。しかしシルヴィー様もまた共に旅をする方を探しておられました。」


昔シルヴィーはフレンディア公爵家の元で働かないかと団長に話をしたが断られていたのだ。

強い者を探している時に、絆誓の強さや善良さにシルヴィーは惹かれた。


「そうですわね、魔王を共に倒せる仲間を探していましたわ。」

「我々も義を重じていますので、魔王を倒したいと言う志は同じです。しかし魔王とは強大な力を持っております。その力に対抗するには多くの仲間が必要でありますが、仲間選びは最重要項目。」

「それはわかりますわ。背中を安心して任せられるような方でなければいけませんものね。」


冒険者をしているとよくそう言うことがある。

魔物に囲まれて絶望的な状態の時に仲間を囮りに使い逃げるような奴もいる。

シルヴィーも過去に経験していたが、残されても自分で全て片付けて、その後冒険者ギルドにその報告をすると逃げた者は冒険者資格を剥奪された。

冒険者ギルドとしては、同じ冒険者を貶めるような行為を厳しくとりしめているのだ。


「はい、戦況を見て自分だけ助かろうと裏切る輩は大勢います。なのでシルヴィー様が選ばれる方に興味が湧いたのです。」

「それが俺だったってわけか。」

「そうです。まさか櫓様と戦うことになるとは思いませんでしたが、それ以前に貴方のことは知っていました。この方々になら命を預けられると、そしてその命も拾われたようなものですから。」

「なるほどな、話はわかった。ネオン、シルヴィーお前達の意見は?」


櫓はまず二人の意見を聞いてみることにする。

一緒に旅をするのだ、既に旅が決まっている二人が嫌がるならば連れて行くことはできない。


「櫓様の意見が私の意見です。」

「私も櫓さんがよろしいのであれば問題ありませんわ。」


二人は櫓に任せると言った。

最終決定権は勝手に任せられたリーダーにあるようである。


「共に魔王を倒したいと言っても、俺達は馬車を使って移動するつもりだが、お前達はどうするつもりなんだ?」

「我々の移動手段は足です。櫓様方が馬車で移動されても問題なく付いて行けますのでご安心ください。そして呼ばれるか緊急事態などにならない限りは、距離を開けて控えているつもりですので、便利屋程度に思っていただければと。」

「ほお、破格の条件だな。お前達はかなり強い、そして俺は目的のために強い仲間を集めている。拒否する理由はないな。」


そう言って櫓は右手を団長に差し出す。

団長も右手を差し出し堅い握手をする。


「なら今日からお前達は櫓ファミリーの一員だ。よろしく頼むぞ。」


文句を言っていたわりに、絆誓が入ったことでさらに人数が増えて、その気になってきていた。


「「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」」


絆誓の面々は櫓達三人に向けて一斉にこうべを垂れた。

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