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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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321話 エレキウルフの実力

櫓はボックスリングから魔法道具を取り出して地面に設置する。

魔法道具からドーム状に障壁が展開され、冒険者ギルドの訓練場でも使用されている、死に至る攻撃が意識を刈り取る攻撃に変換される機能が付いている。

更に中での攻撃が外に影響を及ぼさない様に防ぐ効果も付いているので、手加減無しの全力訓練が可能となる。

小太郎も旅の最中に何度も使用しているので、魔法道具の機能は理解している。


「早速始めるぞ小太郎。」

「ワオン!」


ドームの中に入った櫓と小太郎は少し距離を取って構える。

いつもの小太郎とは違うので、出方を伺う為に最初は様子を見る。


「グルルルゥ!」


小太郎は真向勝負と言わんばかりに、正面から櫓目掛けて突き進んできた。

強力な爪を生やした足を魔装して振り下ろしてくる。

櫓は両手を重ねて其れを受け止める。

耐性の手袋を嵌めているので爪に手が貫かれる事は無い。

しかし同じく魔装していても、小太郎の攻撃は凄まじく、衝撃が身体を突き抜けて足下の地面を粉々に砕く。


「痛ってぇ、良い攻撃だな!」


櫓はお返しとばかりに小太郎の爪を掴みつつ、巨体をものともせずに振り回して放り投げる。

戦っている場所は森の中なので、小太郎が吹き飛ばされる先にも木が幾つも立っている。

櫓は放り投げて木に叩き付けるつもりだったが、身体能力が向上している小太郎は空中で器用に受け身を取った。

飛ばされた勢いで木に真横から着地し、巨体の体重で大きく軋んでいる。


「追撃だ、極雷砲!」


放り投げて直ぐに櫓は雷帝のスキルを発動させた。

両手に雷を纏わせて突き出し、荷電粒子砲の様な極太の雷のレーザーを放つ。

不安定な体勢をしていた小太郎は避け切れず、櫓の放った雷が直撃した。

しかしダメージを与える事は無く、雷は一瞬で消え失せたので、小太郎は平然と地面に着地した。

櫓の攻撃を蓄電のスキルによって吸収したのだ。


「おいおい、吸収速度まで上がってるのかよ。効かないどころか、メリットでしかないな。」


元々の小太郎は蓄電のスキルで一度に吸収出来る量はそこまで多くなかった。

実戦で櫓の放つ強力な雷等は、蓄電のスキルの許容限界を超えていた。

しかし急成長のスキルで成体となった小太郎は、スキルの力自体や熟練度も上がっている様だ。

更に吸収速度や蓄電量も大きく上がっているらしい。

瞬時に吸収出来るのならば、実質無効化と変わらないのだが、蓄電は無効化するスキルでは無い。

外部から電気を吸収して蓄え、自分の力として使う事が出来るのだ。


「ワオーーーン!」


小太郎は遠吠えをしつつ、櫓から奪った電力を上乗せして放電する。

当たった木が瞬時に黒焦げになっていき、威力の高さを物語っている。


「俺は効かない訳じゃ無いからな。」


雷帝のスキルは放たれた雷系統のスキルや魔法をある程度操って、威力を殺したり逸らせて直撃を回避したり出来る。

更に雷に対しての耐性も持っているので非常に効きにくいのだが、蓄電の様に吸収する事は出来無い。

なので当たれば普通にダメージを受ける事になるのだ。

小太郎から放たれる複数の攻撃を、足に雷を纏わせて高速で移動する事によって回避する。

雷帝のスキルは攻撃だけで無く、移動でも力を発揮するので、敵に効かなくても使い道はある。


「グルゥア!」

「なっ!?」


攻撃を回避していた櫓に一瞬で小太郎が接近した。

櫓と同じく帯電のスキルで足に電気を纏わせて、移動速度を上げたのだ。

櫓と出会ってから戦い方を何度も近くで見ているので、覚えて取り入れたのだろう。

先程の放電は囮で本命は此方だったのである。

小太郎が電気を纏わせたままの足を櫓目掛けて突き出そうとしてくる。

完全に虚を突かれた櫓は、回避は間に合わないと判断して全身を魔装し防御を上げる。

しかし小太郎の一撃は櫓に届かなかった。

身体が急に小さくなっていき、元のサイズに戻ったからだ。

攻撃の勢いのまま小太郎の小さな足が櫓に当たるが、ダメージは皆無である。


「ワウ?」


突然小さくなった小太郎は首を傾げている。

急成長の時間切れであった。


「五分過ぎたか。あと少し時間があったらやばかったな。」


櫓は小太郎の頭を撫でながら言う。

急成長した小太郎は想像以上に強かった。

流石はAランクの魔物である。


「お疲れ様ですわ。小太郎も凄かったですわよ。」

「ワン!」


障壁の外で戦闘をみていたシルヴィーが小太郎を抱き抱えながら言う。

褒められた小太郎も嬉しそうである。


「想像以上だった。時間を気にする必要はあるが、戦力としては申し分無い。」


急成長のスキルを使っている間は、櫓達同様にAランク級の力を身に付けた事になる。

大抵の相手に負ける事は無く、力を発揮してくれるだろう。


「同感ですわ、強敵との戦いでは切り札になりますわね。」

「ワン!」


小太郎が任せておけとばかりに吠えて、スキルの検証は終了した。

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