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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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316話 法螺吹きパーティー

ダンジョン内に一泊した櫓達は次の日も朝から晩まで宝箱集めに勤しんだ。

人数は三人と少ないが、階層の難易度自体は櫓達にとって高くないので大収穫であった。

更に宝箱を得る度に倒しているトラップフィッシュも、美味しく食べられる魔物なので、ブロック状に解体してボックスリングに大量に入れてある。

普通であればダンジョンから持ち出す物は、魔物から取れる食材よりも宝箱から出た物が優先される。

なのでトラップフィッシュの肉は、市場では珍しかったりする。

美味しい事には違いないので、トラップフィッシュの肉自体も、串焼きの屋台等に持っていけば買い取ってくれるだろう。

ダンジョンは正に金策にはもってこいの場所である。


「よし、こんなところだな。」


集めた宝箱やトラップフィッシュの肉をボックスリングに全て収納し終えた。

ネオンとカナタとは別行動中なので、もう少し経てば櫓が作った木造の小屋に帰ってくる筈だ。


「櫓様、今宜しいでしょうか?」


小屋の扉がノックされた。

二人よりも早くクロード達が戻ってきた。


「大丈夫だ、よく場所が分かったな。」


クロード達に指示を出した場所から大分移動している。

更に小屋の中で待機していたので、姿は見えていない。


「ダンジョン内にこの様な物を作るのは櫓様くらいでしょう。」


櫓以外がやったとは考えられないらしい。

確かに物資の運搬や創作技術を考えると、櫓が真っ先に思い浮かぶだろう。


「俺が非常識みたいに聞こえるがまあいい。あのパーティーはどうなった?」


クロードに状況の確認を行う。

先ずクロード達はトレインパーティーを捕まえずに泳がせた。

雇っている貴族が誰か調べる為だ。

しかしトレインパーティーは貴族の元に帰らず、周囲を気にしながら一件の宿に入っていった。

宿の店員に話しを聞いたところ、長い間宿泊している常連客だと言っていた。

そこでクロード達は貴族との関係を疑い、取り押さえて尋問したらしい。

結果は貴族との関わりなんて無かった。

貴族と言う言葉を使えば簡単に金を稼げるし、他人に迷惑を掛けても文句を言われないので、嘘を付いていたとの事だった。


「浅い考えだな。バレたら辛い目に遭うのは分かるだろうに。」


貴族と言う言葉を騙って迷惑を行為をし続けてきたのが嘘だと分かってしまったのだ。

死刑とまではいかなくても、重い罰が課せられる筈だ。


「パーティーごと連行して冒険者ギルドと警備隊に掛け合っておきました。」

「そこまでしてくれたのか、悪いな。」


櫓としてはトレインパーティーの雇い主である貴族さえ分かればいいと思っていた。

しかしクロードからしてみれば、調査だけでは簡単だったのだろう。


「いえ、特別面倒な事はありませんでしたので。五人は冒険者の資格を剥奪となり、迷惑を掛けた冒険者への補償として多額の違約金が発生しました。そして魔物を使ったプレイヤーキル未遂として、衛兵に連行された後に犯罪奴隷落ちする様です。」


冒険者ギルド、警備隊共に重い罰を与えた様だ。

冒険者の資格を剥奪された者は、冒険者ギルドにとって不利益な存在と判断されたに等しい。

今後冒険者ギルドとの関わりを持つ事が出来無くなる。

違約金については所有物を全て売り払ったお金と、奴隷に落ちて買われたお金が当てられる。


「そうか、犯罪奴隷落ちは可哀想だが自業自得だな。」


あのままトレインパーティーを放っておけば、この先必ず死人が出ていただろう。

自分達の利益の為とはいえ、他者の命を脅かす様な行動を平気と繰り返したとなれば、犯罪奴隷となる結果も頷ける。

犯罪奴隷は普通の奴隷と違って、売買の値段も低く粗雑に扱われる。

犯罪を冒した者達への罰の意味もあるので、残りの人生は悲惨なものとなるのだ。


「五人組についての報告は以上です。そしてもう一つお伝えしたい事が。」

「なんだ?」

「使用していた魔法道具についてです。」


クロードが言っているのは状態異常を付加させた球体の魔法道具についてだ。


「期待はあまりしていなかったが、そこまで調べたのか?」

「冒険者ギルドでの嘘を見抜く魔法道具を利用させてもらいました。脅しながらの尋問だったので、取り調べは簡単でした。」


あれ程の効果を発揮する魔法道具であれば、使い捨てでも貴重な物だ。

万が一の時の切り札の可能性もあるが、対人用として作られた可能性があるので、出所が知りたかったのだ。

理由は以前似た様な魔法道具を使われた事があるからだ。


「それで結果は?」

「櫓様の想像の通りでしょう。全身黒尽くめの者から譲り受けたそうです。」


フェリンをティアーナの森に送り届ける際に、途中で立ち寄った村で出会った黒尽くめが頭に浮かぶ。

呪いを封じ込めた球を投げて攻撃してくる者で、魔法道具として今回のと同じ系統に思えていたのだ。


「トレインパーティーも魔王崇拝者だったって事か?」

「いえ、危険な魔法道具を横流しされていたに過ぎないでしょう。駒とも思っていないかと。」


黒尽くめ達は人間でありながら魔王を崇拝している過激な集団だ。

平気で人を殺し、実験の道具として利用している。

危険な魔法道具で人類に被害が出ても全く問題無いのだ。


「それで黒尽くめの居場所とかは分かったのか?」

「残念ながら。不定期に現れては魔法道具の売買を持ち掛けてきたらしいです。」

「そうか、手掛かりは掴めないか。」


黒尽くめ達の詳しい情報が得られなかったのは残念だが、此方に関しては元々情報が少な過ぎるので気にしても仕方が無い。

クロード達に礼を言って、取り敢えず一件落着となった。

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