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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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315話 ダンジョン内でも快適環境

冒険者達と別れた櫓達は、そのまま九階層で宝箱探しをしていた。

誘惑の状態異常によって魔物を一気に倒したので、九階層全体的に魔物が少なくなり、楽に探索出来ていた。


「トラップフィッシュは相変わらず宝箱を幾つも飲み込んでるから美味しいな。」


宝箱に擬態した触角にわざと近付き、トラップフィッシュを地上に出してから仕留める。

そして体内にある飲み込んだ宝箱を頂く。

前回同様の手段で宝箱を大量に手に入れていた。


「他の人達はやらないんですかね?楽に宝箱が手に入るのに。」


ネオンもトラップフィッシュの中から宝箱を持ち出しながら言う。


「普通は魔物に飲み込まれるのは死を意味するのよね。高ランク冒険者でもないとただの自殺行為よ。」


ネオンの言葉を聞いて溜め息を吐きながらカナタが言う。

カナタの言う通り櫓達と同じ方法で宝箱を手に入れ様とする者は少ない。

櫓達は実力の高さ故に、中々の危険行為だと言う事が分かっていないからだ。

カナタは未だまともな部類だったが、ネオンは櫓達と旅をする間に毒されて、一般的な観点を失いつつある様だった。

旅をする者達が全員Aランク冒険者級の実力を持つので、感覚がおかしくなるのも仕方が無い。


「確かに俺達を基準に考えるのは止めた方がいいな。何人かダンジョンに潜ると言っていたし、注意しておくべきか。」


仲間内で九階層に来ているのは今のところ櫓達だけだが、ダンジョンに潜っている仲間は何組かいる。

九階層まで降りられるかは分からないが、無茶な事をして取り返しの付かない事になられては困る。


「ある程度宝箱も集まりましたし、注意がてら戻ります?」


宝箱は手分けして集めて既に大収穫と言える成果だった。

既に中々の量を確保している鑑定の恩恵の宝玉を仲間達に覚えさせて、宝箱の中身の鑑定を任せるつもりだ。


「いや、九階層に一日目で降りてこられる組は無いだろうし大丈夫だろう。それに今日はダンジョン内に泊まるつもりだ。」


櫓達は楽々と九階層まで降りてこられたが、他のダンジョンに潜っている仲間達の実力は、冒険者で言うランクのBやCである。

無茶な攻略も禁止だと言ってあるので、慎重にダンジョン攻略すれば一日二日で九階層までは降りられない筈だ。


「え、ダンジョンに泊まるんですか!?」


今初めて聞いた情報に驚くネオン。

普通に日帰りでダンジョンから出ると思っていたのだ。


「別に付き合わなくてもいいぞ?オークション様の出品物を確保したいだけだから。」


魔法都市マギカルで開催されるオークションは三日後だ。

櫓は今日と明日をダンジョン探索に使い、明後日に魔法都市マギカルの外で暇を持て余している者達と鑑定作業をして、三日後にオークションに出る予定だ。

せっかくまとまったお金を稼げるチャンスなので、ダンジョン内に泊まって探索したいと思っていたのだ。


「私はご主人様に付き合います。就寝時間の見張りはお任せ下さい。」


カナタは主人である櫓を慕っており、純粋に奴隷として付き従っていたいのだ。

櫓がダンジョンに泊まるとなれば、自分も当然ダンジョン内に残る。


「別に嫌な訳じゃ無いですけど、寝泊まりはどうするんですか?」


櫓が大金を出して改造した、魔法道具の集大成とも言える宝馬車は現在手元に無い。

風呂好きなシルヴィーが滞在中満喫したいとの事で、魔法都市マギカルの外に停車させてあるからだ。

なのでネオンも日帰りだと思い込んでいた。


「簡単な小屋を作ろうと思ってな。ボックスリングに収納出来て、気軽に設置出来る建物が欲しかったんだ。」


普段寝泊まりは馬車の中でしている。

櫓が作った馬車は空間魔法が付加されているので中はそれなりに広い。

ソファーベッド等もあり睡眠時は快適なのだが、他の馬車に乗っている者達は狭くて不便だろうと思った。

一度皆に聞いてみたのだが、此方の世界では馬車内で座って寝るのは普通の事なので、不満の声は一切無かった。

しかし移動中はともかく、馬車が停車している時くらいは窮屈な思いをせずに寝てほしいので、簡単に出し入れ出来る小さな建物を作りたいと思っていたのだ。

と言ってもボックスリングには馬車程度の大きさまでしか入らないので、空間魔法の付加は必須だ。


「へぇ、直ぐに作れるんですか?」

「そう言う為のスキルがあるしな。」


錬金術の名人のスキルを所持している櫓にとっては物作りは朝飯前だ。

素材と魔力さえあれば作りたいと思い浮かべた物が一瞬で作れるので、突然思い付いた時であっても問題無い。

丁度旅の最中に倒したヒュージトレントから、大量の木材が手に入ったので材料には困らない。

頭の中で小さな小屋の形を思い浮かべて完成の呪文を唱える。

すると目の前にスキルで作った小屋が出来上がった。


「流石はご主人様!」

「でも小さくて寝れなそうですね。」

「中は思ったよりも広いぞ。」


失った魔力をポーションで回復しつつ櫓が言う。

見た目は二人くらいしか寝られない大きさだが、空間魔法のお陰で中は少し広くなっている。

扉を開けて見せると簡素な作りだが食事用のテーブルと椅子、三段式のベッドスペースが二つと、六人がゆったり寝泊まり出来る内装となっていた。


「結構広いですね、空間魔法は素晴らしいです。」

「これなら窮屈とは思わないだろう。今日はもう休むとして、食事にでもするか。」

「賛成です!」


他の冒険者達とは違い、ダンジョンの中とは思えない程の快適な環境で櫓達は一夜を過ごした。

閲覧ありがとうございます。

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