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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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311話 害悪行為

ネオンに五百と言ったが、恩恵の宝玉自体が宝箱から出る確率が低いので、現実的な数では無い。

それでも今や幾ら増えたのか分からない拠点の者達の為に、沢山確保しておきたいのは本音だ。


「前と違って冒険者も結構居ますね。」


九階層に降り立ったネオンが辺りを見回して言う。

前回はネクロマンサーの討伐方法が分からず、九階層に辿り着いている者達はいなかった。

なので櫓達がネクロマンサーを倒して一番乗りで九階層に到着したので、宝箱も漁り放題だったのだが、階段近くから見える範囲だけでも複数のパーティーを確認出来る。


「そうは言っても上階層程では無いだろう。」


ネクロマンサーはBランクの強さを持っているので、突破出来る者達は限られてくる。

上階層の様に誰でも探索出来る階層では無いので、その分人もかなり減っている筈なのだ。


「見晴らしがよいですし、広さもあります。手分けして探しますか?」


前回の九階層の話しについて聞いたカナタが、同じ方法を提案してくる。


「そうするか、ん?」


前方から大きな土煙を上げて此方に向かってくる集団がいる。

前に九階層にきた時には見なかったが、様々な魔物が走ってきている。

そして魔物の目の前を数人の冒険者と思われるパーティーが必死に走っている。


「魔物に襲われているみたいですよ櫓様!」

「助けましょう!」


ネオンとカナタは真っ先に救助しようと提案してくる。

櫓も当然二人と同じ案だったのだが、周りに居るパーティーの反応は違う。


「ちっ、またあいつらか。」

「トレインしている魔物を押し付けられる前に階段に上がれ!」

「実力も無いのにいい迷惑だぜ。」


周りの冒険者パーティーが悪態を吐きながら八階層に上がる階段に避難していく。

ダンジョンの仕様らしく、階層を移動する階段には魔物が入ってこれない。

なので階段はセーフティーゾーンになる。


「おい、あんたら見ない顔だな。急いで階段に登った方がいいぞ!」


親切にも櫓達に声を掛けてきたのは、近くに居た冒険者の男だ。


「忠告感謝する。ところで周りの反応を聞くに、あの行為は常習犯なのか?」


魔物をトレインして近付いてきているパーティーを指差して尋ねる。


「ああ、お宝目当てに実力も無いのに降りてきたパーティーだ。魔物は倒せないから逃げる事になり、結果的にトレイン行為で周りの冒険者が迷惑を受けている。」


複数の冒険者達の反応を見れば迷惑を受けている事は充分伝わってくる。

周りの者達が九階層に辿り着ける実力はあっても、九階層の魔物を一度に相手にする実力までは無いのだろう。


「成る程、寄生して降りてくるパーティーが本当に居るんだな。」


ダンジョンでは比較的見る行為だが、実際に遭遇したのは初めてだった。


「何組ものパーティーが注意しているんだが聞く耳を持たない。しかも魔物を他の者に倒してもらっても謝礼も無いって感じだ。おっと、そろそろ悠長に話している時間は無いぞ。」


冒険者の男が櫓の腕を掴んで階段の方に引っ張ろうとするが、櫓に動く気は無い。

向かってきている魔物は、数が多いものの最高でCランクだ。

櫓達にとっては慌てる必要は無い。


「どうした?急がないと魔物が・・。」

「慌てるな、魔物なら此方で処理するから逃げる必要は無い。」


冒険者の男の言葉を遮って櫓が言う。

周りに居る冒険者達が被害を受けるのも可哀想なので、全部倒す事にした。

実際に苦労しないレベルの相手なのと、九階層に降りるまで櫓は一切戦闘をしていなかった。

ネオンとカナタが全ての魔物の相手をしてくれていたので、魔力も全く消費していない。


「え?」


冒険者の男は困惑気味になっており、背後に居るパーティー仲間達も戸惑っている。

その間に魔物をトレインしていたパーティーが櫓達の近くを通り過ぎる。

それにより魔物達の標的が一番近くに居る櫓達に移る。


「一応高ランクの魔物の素材が取れるし、消し炭はやめておくか。残ったのは頼むぞ二人共。」


雷帝のスキルで雷を放てば一瞬で全滅出来るが、少しでも金になる素材回収が出来無いので辞めておく。

櫓は威圧のスキルを発動させて向かってくる魔物の集団に使う。

魔力量が少ない魔物は威圧の効果で気絶して、バタバタと地面に倒れていく。

数体倒れずに持ち堪えた個体が居たが、ネオンとカナタによって直ぐに倒される。


「なっ!?今のはあんたが?」


勢いよく向かってきていた魔物が突然目の前でバタバタと倒れたら驚くだろう。

冒険者の男の仲間達も呆然としていた。


「ああ、スキルを使った。それよりも魔物をトレインした犯人は。」


視線を階段の方に向けると、トレインした魔物が倒されたのを確認した張本人達が出てくる。


「へぇ、見掛けによらずあんた強いじゃん。」

「て言うか簡単に倒せるなら早く倒しなさいよね。」


そして感謝どころか文句を言いながらトレインパーティーが近付いてきた。

閲覧ありがとうございます。

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