表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
289/324

309話 名が売れていた

魔法都市マギカルの冒険者ギルドにやってきた櫓は、早速素材買い取りの受付に向かう。

その間ネオンとカナタには、ダンジョン内の手頃な依頼を見てもらっている。


「素材の買い取りを頼む。」


櫓はそう言って冒険者カードを差し出す。

買い取りの際に冒険者カードの提出は基本的には不要なのだが、櫓の様に一度に大量に持ち込む者は例外だ。

素材の査定が一日で終わらなければ、誰が売ったのか名前を控えておかなければならない。


「あっ、もしかして以前に大量の素材を持ち込まれた櫓さんですか?」


前に魔法都市マギカルにきてから数ヶ月程しか経っていないので、受付嬢は変わっておらず覚えていた様だ。

殆ど無制限に近い量を入れられる空間魔法付加の魔法道具を持っている者なんていないので、櫓の事は印象に残っているのだろう。


「ああ、此処に出せる量じゃないから倉庫に案内してもらっていいか?」

「は、はい、直ぐに案内しますので少々お待ち下さい。」


受付嬢はそう言い残して立ち去った。

前回も相当な量の素材を持ち込んだので、手の空いている査定要員を掻き集めているのだろう。

少しすると受付嬢が戻ってきて案内された。

既に倉庫には複数の査定要員が待っており、何人かは少し暗い雰囲気である。

その者達は前回の櫓の素材を査定した者達であり、数日間普段では考えられない忙しさで仕事をさせられた者達だった。

しかし櫓としては正当な売買の取引であり、しかも幾らか労いとしてチップまで渡しているので頑張ってほしいところである。

今回は皆のお陰で全て解体済みの素材ばかりなので、解体依頼は出す必要が無い。

だが旅の最中に大所帯で狩ってきた魔物の量は凄まじく、空いていた倉庫のスペースを埋め尽してもボックスリングの中には余ってしまったので、一先ず出した分だけと言う事になった。


「櫓様、依頼はこんな感じでどうですか?」


素材を出して戻ってきた櫓にネオンが依頼書を十枚渡してきた。

数は多いが殆どがBランクの魔物の素材や討伐がメインであった。

記載されている魔物は、前回ダンジョンに入った時にも見た事があったので、苦労して探す事も無さそうである。


「良さそうだな、これで受けよう。」


受付嬢の元に依頼書を持っていく。

最初に依頼書を十枚も渡された受付嬢は、こんな数を三人で受けるのは無謀だと言いたげな表情をしていたが、櫓達が冒険者カードを提出して直ぐに元に戻った。

受付嬢が考えを改めたのは冒険者カードに記載されていた雷の剣と言うパーティー名を見たからだ。

櫓達は知らなかったが、雷の剣の名前は冒険者ギルドの間では有名だった。

冒険者ギルドには他の支部との連絡用魔法道具が設置されてあり、有名な冒険者やパーティーの情報が共有されている。

依頼を受ける事は少ないが、素材を大量に持ち込み冒険者ギルドの財政に大きく貢献していると言う理由で有名であり、それを成しえる実力を持つパーティーだと判断されていた。


「はい、依頼の受付は終わりました。それと一つお伺いしたい事があるのですが。」

「ん?」


早速ダンジョンに向かおうと思った櫓に受付嬢が依頼書を見つつ言う。


「依頼書を見る限りですと、これからダンジョンに行かれますよね?」

「そうだな。」


メインはダンジョンなので、依頼はついでに受けたものである。

大所帯となると様々な事に大量の金が必要になってくる。

休暇と言う名目で滞在しているが、別行動している者達の中にも金策をしている者はいるので、櫓も少しでも稼げるならばと受けたのだ。


「もし可能であればなのですけど、依頼を一つお願い出来ませんか?」

「どうしますか櫓様?」


ネオンが櫓の方を向いて聞いてきて、カナタも櫓の決定に任せる様であり黙っている。


「内容によるな、取り敢えず話してくれ。」


既に依頼書十枚分の依頼を受けているが、この依頼はどれも道中に達成出来そうなものばかりだ。

なので面倒な依頼であれば断る可能性もある。


「はい、実は冒険者ギルドの手違いで納品予定の魔法道具の在庫を切らしてしまいまして、補充をお願いしたいのです。」


こう言った事は稀に起こる。

冒険者ギルドでは売買が日常的に行われているので、すれ違いや手違いは仕方が無い事なのだ。


「その魔法道具ってのはなんだ?」

「恩恵の宝玉です。スキルは拳闘士と言って、体術に補正が掛かるスキルです。」


前にダンジョンに潜って恩恵の宝玉を大量に手に入れた時には見なかったスキルだ。

しかし特別珍しいと言う訳でも無さそうなので運だと思われる。


「見つけられるかは分からないぞ?」


恩恵の宝玉自体がダンジョンの中で見つかる魔法道具の中でも珍しい部類だ。

スキルまで指定されても見つかる保証は無い。


「なので入手後に持ってきて頂ければ、事後処理で依頼達成と言う形にさせてもらいます。相場よりも高い値段で買い取らせて頂きますので、もし宜しければお願い致します。」


依頼はこの場で受ける必要は無く、見つかれば依頼達成となるらしい。

元々ダンジョンに潜るのは大部分が恩恵の宝玉の為なので、見つかれば譲ろうと了承しておいた。

閲覧ありがとうございます。

ブックマークやポイント評価よろしければお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ