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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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302話 魔物と会話

先程まで戦っていた相手がいきなり足元に居て少し驚いたが、大人しくしているので櫓も攻撃はしない。


「いつの間に。」

「はぁ〜、可愛過ぎます!」


ネオンはエレキウルフにメロメロである。

そんなエレキウルフはネオンでは無く、櫓の事を見上げている。

正確には先程雷帝のスキルで雷を放ち、現在も多少腕に残っている電気を見ていた。


「ん?此れが欲しいのか?」

「ワン!」


櫓が自分の手を見ながら言うと、エレキウルフがそうだと言わんばかりに鳴く。

櫓は屈んでエレキウルフに手を近付けると、エレキウルフが尻尾を手の上に乗せてきた。

もふもふの触り心地を堪能していると、櫓の手に残っていた電気が吸われていく。


「蓄電のスキルか、戦いで失った電気を俺で補充しているって事だな。」


蓄電のスキルは名前の通り、電気を蓄えるスキルである。

攻撃等で使用して失った電気を、他者から吸収して自分の力にする事が出来る。

先程ミズナとの戦いで随分と電気を消費したので、ある程度蓄えておきたいのだろう。

櫓の手に纏わり残っていた電気は全て吸収された。


「ワンワン!」


エレキウルフは尻尾を櫓の手にぺしぺしと叩き付けてくる。

全く痛くないので攻撃と言うよりは、もっと電気を欲しいと言う意味合いだろう。


「櫓様だけずるいです!私にも触らせて下さい!」

「随分と気に入られてますわね。」


櫓だけスキンシップをしている事に対してネオンが抗議する。

シルヴィーとミズナも大人しくなったエレキウルフを見て近くに寄ってきている。


「此奴が俺から電気を吸い取っているだけだ。しかし交渉材料にはなるな。」


追加で電気を欲しているエレキウルフに雷帝のスキルを使って分け与える事は簡単だ。

なのでせっかくならばエレキウルフと交渉してみる事にした。


「電気を与える事がですか?ワンって鳴いてる意味が分かるんですか?」

「分かる訳無いだろ。ミズナ、精霊魔法を使いたいから手伝ってくれ。」


櫓が思い付いたのは精霊魔法を使っての対話だ。

精霊魔法は契約した精霊に力を借り、使用者の想像した現象を魔力を引き換えに実現させる事が出来る。

通常の魔法では難しく、特定のスキルにしか出来無い様な事も再現する事が可能だ。

しかし引き起こす現象が高度なもの程、使用する魔力が多くなり、魔力が足りなければ発動する事は無い。


「此奴追い出す・・・?」


条件次第では手を貸してやると言った様子である。


「そう言う方向で話してみる。」

「分かった・・・。」


ミズナが差し出してきた手を握り、引き起こしたい現象を想像する。

精霊魔法で使おうと思い想像しているのは念話だ。

魔物との会話は以前ブラックドラゴンと経験済みである。

しかしあれはブラックドラゴンの持つスキルである思念伝達によるもので、ドラゴンから他者への一方通行だった。

今回はお互いの言葉を発信して受信しなければいけないので少し違う。

対象のエレキウルフの声を理解して聞き取れ、自分の言葉を同じ様にエレキウルフが理解して聞き取る事を想像する。


「精霊魔法・念話!」


櫓が魔法名を唱えると、櫓とエレキウルフが薄い魔力の線で結ばれた。


(俺の言葉が分かるか?)


櫓がエレキウルフに心の中で話し掛かると驚いた様に少し飛び跳ねた。


『に、人間の声が分かる!?』


櫓以外の者達には、ワンワン言っている様にしか聞こえないが、櫓もエレキウルフの言葉が分かる。

聞こえてきた声が高かったので雌の様だ。


(どうやら問題無いみたいだな。)

『なんで、人間の声が聞こえるの?』


エレキウルフの方は突然聞こえるように櫓の声に困惑している。


(そう言う魔法を使ったんだ。少し話しをしたくてな。)

『話し?もっと電気をくれるの?』


やはり先程櫓から受け取った分では足りなかったらしい。


(ああ、別に幾らでもくれてやる。代わりと言ってはなんだが、山から出ていく事は出来無いか?)


エレキウルフがデアバードを気に入ってしまい、どうしても移動するつもりが無いとなれば、実力行使に出るしかないが話し合いで解決するならば有り難い。


『此の山から?』

(そうだ、住んでいる人間達がお前に食料となる鳥を食われて困っているんだ。元々別のところからやってきたんだろう?)


村長の話しでは、最近強い魔物が住み着いてデアバードの被害に合い始めたと言っていた。

エレキウルフはAランクの魔物なので、魔力が特に多いと言う事も無い此の山に、突然発生したと言う事は無いだろう。

そうなると別の場所から移動してきた事になる。


『そうだけど、帰る場所はもう無いんだ。』


そう言うエレキウルフは悲しそうに項垂れる。

尻尾も力無く垂れ下がってしまった。


(理由を聞いてもいいか?)


櫓は山から出ていってもらう為にもエレキウルフの事情を詳しく聞く事にした。

閲覧ありがとうございます。

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