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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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293話 派手な一撃

「いけえぇ、そこだ〜!」

「頑張れ〜!」


櫓達の直ぐ後ろから子供達の大きな応援が聞こえてくる。

皆興奮した様子で櫓達の方を見ている。

何に興奮しているのかと言うと、現在櫓達は魔物と交戦中であった。

日が沈み始めるくらいに馬車での移動は終了して、キャンプ地を確保するのが定番となってきている。

そして夜間を安全に過ごせる様に、周囲の魔物は事前に倒す事にしているのだ。

子供達にとっては、馬車で旅をしている時の唯一の娯楽とも言えるので、皆大盛り上がりだ。


「グルゥア!」


魔物の一体が獣人に向けて幾つかのトゲを放つ。

獣人は軽々と回避して魔物に斬り掛かっていく。

回避されたトゲは、後方に居る子供達の方に向かっていくが問題は無い。


「水鉄砲・・・!」


ミズナが人差し指から打ち出した水滴でトゲを撃ち落としていく。

櫓達が子供達を気にせず安心して戦えるのは、ミズナが控えてくれているからだ。

子供達の前に透明度の高い水の防壁を展開して、ミズナは防壁の前で攻撃を防いでいる。

防壁は攻撃を撃ち漏らした時の保険なのだが、今のところは一度もミスは無い。


「やっぱり応援されているとテンション上がりますね。」


ネオンが狐火のスキルで剣に炎を纏わせて、魔物を次々と焼き斬りながら言う。

旅の間に実力がメキメキと上がり、属性付加も完全に自分のものとしている。


「そうですわね、普段よりも張り切ってしまいますわ。」

「確かに悪い気はしないな。」

「ではリュンさん、少しサービスして差し上げましょう。」


シルヴィーはそう言って軽重加のスキルを使い、槍で魔物を下から掬い上げ、次々と空中に打ち上げていく。


「いいだろう、行け!」


リュンはシルヴィーの誘いに乗り、白銀の剣に魔力を流す。

同じ形をした光の剣が周囲に現れ、空中に打ち上げられた魔物達に向かって射出される。

空中なので思う様に身動きが取れない魔物達は、次々と光の剣に貫かれて絶命していく。

見せるコンビネーション技に子供達は大盛り上がり、他に見学している非戦闘員の獣人達も驚きや感心の表情を浮かべている。


「声援があった方が強かったりしてな。」


いつもとは違い大味のある戦いをするパーティーメンバーを見て感想が溢れる。


「ご主人地味・・・。」


後ろからミズナの指摘が聞こえてくる。


「地味って言うな。俺の技は威力が高過ぎて魔物が消し飛ぶだろ。」


魔物との戦闘は素材や食材集めも目的としている。

大人数で旅をしているので、食料は大量に買い込んできたが、調達しながら旅をすればその分ボックスリングに溜まっていく。

ボックスリングの中は時間が止まっているので腐る心配も必要無い。

食材は何があってもいい様に常に大量に蓄えておきたい。

しかし魔物は高くてもDランク程度なので、櫓が雷帝のスキルを使ってしまうと、威力が高く跡形も残らずに消えてしまう。

なのでミスリルの件で斬るだけにしていた。


「サービスする・・・。」

「高ランクの魔物が居たらな。」

「丁度いいのがきた・・・。」


ミズナが森の方を指差す。

そんな都合良く現れる訳無いだろうと思いつつも視線を向けると、森の木々をバキバキと踏み倒して、巨大な木が森の中から現れた。


「本当に現れるのかよ、森の近くで派手に暴れ過ぎたか。」


現れたのはヒュージトレントと言うBランクの巨大な木の魔物だ。

根っこを足の様に動かして移動しており、木の表面に顔が付いている。

高さは五十メートル程はあるだろうか、高く聳え立っており見上げるだけで首が疲れる。

目の前にある森の主とも言える魔物だろう。


「だがミズナの言う通り、丁度いい魔物だな。」


あまりの大きさ故、通常の武器での攻撃は擦り傷程度しかダメージを与えられ無い。

倒す為の常套手段としては、相手が木の魔物なので遠距離且つ高火力の火魔法が友好的である。

だが櫓は火魔法の適性は持っていない。


「櫓様、私が倒しましょうか?」

「いや俺がやろう。ミズナに派手に敵を倒せと煽られたからな。」


ネオンの申し出を断りつつ言う。

火魔法が常套手段だとしても、其れ以外の方法で倒せないと言う訳では無い。


「グオオオオォ!」


ヒュージトレントが雄叫びを上げながら突き進んでくる。

向かう先に居るのは櫓だ。

本能的に一番厄介な者と判断し、真っ先に倒すつもりなのだ。


「派手な攻撃となれば魔法だな。我が魔力を糧とし、万物を破壊する、逃れる事の出来ぬ、裁きの一撃を。天雷!」


詠唱を開始すると同時に櫓の周りの待機中にある魔力が集まってくる。

巨大なヒュージトレントの更に上空に雷雲が出来始め、表面をバチバチと音を鳴らし雷が走る。

詠唱が終わると雷雲を引き裂く様に、膨大な魔力によって生み出された一筋の雷がヒュージトレント目掛けて落ちてきた。

眩い雷に視界が一瞬白で染まる。

凄まじい爆音が轟き、ヒュージトレントは雷によって縦に焼き割かれて、一瞬で命を散らして派手な音を立てながら地面に倒れた。

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