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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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272話 転移道具

櫓の攻撃が当たったからか、何も見えなかった場所に微かにシルエットが浮かび上がる。

予想よりも大きく、体長は三メートル程はありそうな()()だった。

街中にこれ程大きな魔物が居るのは一大事だ。

戦闘経験など皆無な一般人が大勢暮らしているので、取り逃せば被害は計り知れない。

更にこの魔物は透明になる事が出来る様なので、尚の事タチが悪い。


「逃すか!」


シルエットが薄れていき、魔物が再び透明になろうとしているのが分かって、櫓は目を合わせて呪縛の魔眼を使い、念の為に威圧のスキルも使う。

威圧のスキルは魔力量が相手よりも多い程効果を発揮する。

恐怖心を刺激したり、戦意を挫いたりする効果があるので、多少なりとも魔物の動きを鈍らせる事は出来る。


「はっ!」


敵の強さが分からないので、刀を魔装した全力で胴体を一閃する。

魔物は櫓のスキルの効果で回避する事も出来ず、真っ二つにされて地面に沈んだ。

絶命したので透明化が切れて全体像が見える様になった。

巨大化させたカメレオンの様な見た目の魔物だった。


「助かったぞ。危なく逃すところだった。」


リュンが櫓に近寄りながら言ってきた。


「強くは無いがこの能力だからな。」


櫓は透明化が解けた状態を見て、以前魔物図鑑で見た事を思い出した。

強さだけで見ればDランクと大した事は無いのだが、透明化になるスキルを持っており、中々素早い特徴があるのでBランクに分類されている魔物だ。

リュンの実力はAランク相当だが、手間取るのも頷ける相手だった。


「被害が出なくて何よりだ。」

「それよりも何で魔物が街中に居るんだ?盗賊がテイムした魔物か?」


Bランクの魔物をテイムするとなると相当な実力が必要になる。

そのレベルがあれば、盗賊以外で生きていく道が幾らでもあるので、可能性は低い。


「この魔物は野生だ。街の外から盗賊の拠点に転移してきたのだろう。」

「転移?」


詳しく話を聞くと拠点に奇襲を仕掛けて盗賊達を倒している最中に、このままでは捕まると判断した盗賊が一つの魔法道具を起動させた。

その魔法道具はこの場から離れた指定した場所と、起動させた魔法道具のある場所に大きな魔法陣を作り出す事が出来る。

その魔法陣同士は繋がっており、片方に乗るともう片方の魔法陣に転移する事が出来るらしい。

盗賊は焦って適当な場所を指定して、逃げ出そうとしたところ、転移先付近に偶然居た魔物が転移されてきてしまい、突然の事に魔物は暴れ回った。

そして拠点から飛び出してしまい、放置すれば被害が出てしまうので、リュンが仕留める為に後を追ってきたとの事だった。


「成る程な、盗賊達もそれを使って街の中に出入りしていると言う事か。」


門で街の中に入る者には入場のチェックが求められる。

危険物の持ち込みや、犯罪者の侵入を防ぐ為だ。

ドランによるとミネス盗賊団はこの辺りでは有名らしいので、末端の下っ端は認知されておらず門を通過出来るかもしれないが、少なくとも頭領と呼ばれていた男は不可能だ。

三メートルもの巨体を持つ大男では、見た目から目立ち、チェックされた段階で気付かれる。

門を使うと正体がバレてしまうので、侵入するのに魔法道具を使ったのだ。


「そうだろうな。現在シルヴィー達は拠点の制圧と共に、転移先に逃げた盗賊の確保、更に魔物が侵入しない様に魔法陣を見張っている。戻ってくるのには時間が掛かるぞ。」


魔物が転移してきて暴れたどさくさに紛れて、盗賊の何人かは魔法陣を使って逃げ出したそうだ。

ミネスタの近辺かも分からないので、自分達が転移した後に魔法道具を壊す事も出来無いのだろう。


「俺達の方は大体片が付いている。応援として向かう事にするか。」


櫓がこの場所に止まってもネオンの手助けはしてやれないので、現状やる事が無い。

見た目や声は完全に女性なので、リュンを代わりに向かわせてもいいのだが、万が一気付かれた時にトラウマを刺激してしまう事を考えて自重しておく。


「そうだな、万が一魔物が転移してきた時に対処出来る者は多い方がいい。」


リュンも同意してくれたので二人で盗賊の拠点に向かう。

シルヴィー達の応援にいくと言う言葉に嘘は無いが、櫓にはもう一つ目的があった。

それは転移の魔法道具だ。

長距離を一瞬で移動出来る道具と言うのは、移動手段が発達していないこの世界においては重要な物だ。

櫓もそう言った魔法道具を作ろうと考えた事はある。

しかし求められる素材の難易度が高過ぎて、断念する他無かった。

だが櫓でも簡単に作れない魔法道具が盗賊の拠点にある。

盗賊の所有物は倒した者に所有権が移るので、このままいけばその魔法道具を手に入れられる。

そうなれば馬車や馬は無駄になってしまうが、何ヶ月も掛けてロジックに向かう手間が省けるのだ。

櫓は高価な魔法道具を手に入れられる期待を胸に、急ぎ足で盗賊の拠点に向かった。

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