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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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271話 同時奇襲

「ごはっ!?」


盗賊が櫓に殴り飛ばされて吹き飛んでいく。

その先の扉を破壊しながら盗賊が櫓の視界から消えると、新たに奥の部屋から武器を持った盗賊達が出てきた。

現在盗賊達の住処に奇襲を仕掛けているところだ。

最初に倒した盗賊達を脅して情報を引き出したところ、なんと街中に拠点を構えている事が分かった。

門の警備を上手く掻い潜って街中に侵入した様で、その後にドランの家も建っているスラム街に拠点を構えたとの事だった。

幾つかの廃墟を拠点にしていると言っていたので、手分けして同時に奇襲を行っていた。

ドランや子供達は危険なので、捕まえた盗賊達と共にミズナに見てもらっている。

櫓が作った雷の檻の中に入っているので、安心して櫓の作った料理を楽しんでいる。


「次から次へと何人いるんだ。」


殺してはいないが辺りは倒れた盗賊達で死屍累々と言った見た目だ。

最初に攻めてきた者達でも百人程居たのに、拠点の方にも多くの盗賊達が残っている様であった。

倒しながら周りを見ているが、盗んだであろう金やミスリル、武器防具に魔法道具と大量に視界に入っている。

そして盗んでいるのは物ばかりでは無い。

人攫いもしている様で、慰み者にされているのだろう、若い女が乱れた格好で何人も居て、精気が感じられない。

櫓と盗賊達が近くで争っているのだが、蹲って震えている者ばかりだ。


「戦闘は俺に任せて、其方は頼んだぞネオン。」


盗賊を倒しながら一緒に来ていたネオンに話し掛ける。


「分かってます、此方を見ては駄目ですよ。」


ネオンが注意してくるが当然極力視界に入らない様に気を付けてはいる。

服が乱れているのでとても危うい光景が広がっている。

気を取られると戦闘に集中出来無くなってしまう。


「これで最後か?」


黙々と盗賊を倒し続け、最後に向かってきた盗賊の腹に拳をめり込ませながら言う。


「が、あ・・。」


盗賊は痛みに声もはっきりと出せず、白目を剥いて床に倒れた。

一応近くの部屋を見て回ったが、全て倒している様だった。


「櫓様、皆さん少しは心を許してくれたのですが男の人が居ると怯えてしまうので、その・・・。」


ネオンが言いづらそうに櫓を見て言う。


「成る程、俺が居るとまずいか。ある程度話しをしてやって、敵では無いと分かってもらってくれ。」

「分かりました。」


ネオンは女の子達の相手をする為に建物に戻っていった。

此処でされた事を考えれば怯えてしまっても仕方無い。

櫓は倒した盗賊達を紐で縛って、建物から引き摺り出して、ドラン達の場所に戻ってくる。


「終わったのか?」

「ああ、酷い光景だったぞ。」


近くには子供達も居るので言葉を濁した返答をしておく。


「盗賊の拠点なんだから良い場所じゃねえだろうな。」

「それもそうだな、他の連中は未だ戻ってないのか?」


同じく盗賊の拠点に奇襲を行なっているシルヴィー、リュン、カナタを抜かした九人の奴隷達が戻ってきていない。


「十分も経ってねえんだぞ、櫓が速過ぎるんだ。それにしてもこの目で見て、改めてお前達の強さを実感した。」


ドランは櫓達がしっかり戦っているところを見るのが初めてだった。

冒険者ランクを聞いてある程度の実力は分かっていただろうが、実際に目で見て想像以上だと思った。


「有名らしいが盗賊程度に遅れは取らん。」

「その様だ。」


ドランと喋りながら他の者達の帰りを待っていると、暫くして遠くからリュンが此方に向けて走ってきた。

走りながら白銀の剣を鞘から抜き、魔力を流して光剣弓を発動させる。

そして作り出した光の剣を櫓達の方に向けて撃ち出してきた。


「何をしてるんだリュンの奴。」


櫓は一瞬警戒して迎え撃とうと身構えたが、放たれた光の剣は全て地面に突き刺さり、櫓達には一切害を及ぼしてはいない。

益々何をしたいのか分からず困惑する。


「櫓、其奴を捕らえてくれ!」


櫓が困惑していると、遠くからリュンが声を張り上げてそう言ってきた。

言葉から察するに誰かを追っていて、光剣弓もその為に放った様であるが、肝心の対象が分からない。


「何処に居るんだ、俺には見えないぞ!」


辺りを見回しても何も見つけられない。

幻覚でも見せられているのではないかと思ったが、エルフは魔法のエキスパート。

そう簡単に引っかかるとも思えない。


「敵は透明になっている、地面を見ろ!其処だ!」


リュンは再び狙いを定めて光の剣を撃ち出した。

撃ち出された光の剣は地面を深く穿ったが、当たってはいない様だ。


「雷撃!」


櫓は姿を確認出来てはいないが、咄嗟の判断でリュンの攻撃した付近に雷を飛ばす。

光の剣と違って無数に放たれた雷は広範囲の攻撃だ。

その内の一部が何かに当たった様な挙動をした。


「ぎぎゃああ!?」


その瞬間何も見えない空間から苦悶の声が聞こえてきた。

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