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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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268話 新たな得物

「櫓、来てたか。」


片付けをしていると扉が開き、ドランが中に入ってくる。

その後ろには護衛として付いて行ったシルヴィーとリュンも居る。


「久しぶりだなドラン。」

「無事戻ってきた様でなによりだ。お前が戻らねえとこれが無駄になっちまうからな。」


ドランはそう言って手に持っている包装された長い物を床に置く。

出発する前に取りに行きたいと言っていた物の様だ。


「全く、護衛として連れて行かれたばかりか、所持金まで要求されるとは思わなかったぞ。」

「ミスリルもですわ。口を滑らせてしまい、所持している分から少し出させられるとは。」


ドランの後ろに居る二人が文句を言っている。

護衛として付いて行っただけで無く、ドランに金とミスリルを要求された様だ。

パーティーメンバーである雷の剣の面々には、櫓が作ったボックスリングを渡しており、その中に自分の持ち物を入れている。

金は個人が自由に使える様に定期的に分配した物だ。

ミスリルは魔法都市マギカルの近くにあるダンジョンで、ボスを討伐した報酬として手に入れた物だ。

城塞都市で取れるミスリルは、無断での個人所有が禁じられているので、そもそも手に入れるのが難しい。

なので他の場所で手に入った物でもミスリルは貴重品なのだ。

沢山採掘してきたので大量に所持しているが、貴重なミスリルを簡単に取られたくは無いだろう。


「おいおい、二人から金とミスリルを取り上げたのか?酒の為じゃないだろうな?」


櫓達が帰ってきた事により、遠慮無く酒を呑もうとしているのかもしれない。

ミスリルも売れば金になるので、その金で酒を買う事もあり得る。


「ドワーフのわしでも、金を巻き上げてまで酒を呑もうとは思わん。」

「と言う事は取りに行ってた物と関係があるのか?」


ドランの手にある長い物に視線が吸い寄せられる。


「そう言う事だ。櫓達が出発する時には共に城塞都市に行く事にはなってなかったからな。別れる前に一本渡そうと打っておいたんだ。」


元々ドランは拠点に向かう時に櫓達と分かれてしまうので、恩返しとしてその時の為に刀を製作していた。

それが帰ってくるなり、いきなり同行する事が決まっていたり、仲間が増えていたりと色々あった。

だが同行するとなれば、自分が作った武器の性能を間近で見て今後の参考に出来るので、ドランとしては有り難い事だった。


「つまり俺用の武器を作ってくれたと言う事か。」


渡された武器は櫓の為にドランが作ってくれた物らしく、二人の件について怒りにくい。


「そうだ。素材や設備を貸してくれた連中にミスリルや金を返さないといけなくてな。丁度二人が持っていたから立て替えてもらった。」


ドランの手持ちは今のところ少ないので仕方が無い。

今後の櫓商会を支える鍛治師となる事を期待して、今回は穏便に済ませる事にする。


「悪かったな二人共。俺の武器の為だったらしいし、金もミスリルも俺から後で渡す。」


櫓の買い物も同然なので二人の資産から出させる訳にはいかない。

人間の世界でのお金を使うと言う文化に慣れ始めてきたリュンから巻き上げたままにするのは可哀想だ。

見る物全てが真新しいリュンにとっては、買ってみたい物も多いだろうから、自由に買い物が出来る様にお金は多めに渡してある。

ミスリルに関しては櫓のボックスリングに一番沢山入っているが、ネオンとシルヴィーもそれなりの量を所持している。

だが二人が持っている分は、個人的に使用出来る為の物なので、自分の装備の為に残しておいてあげたい。

返す事を話すと愚痴を零していた二人も納得してくれた。


「それより早速開けてみろ。剣では無く刀を打ったのは久々だが、我ながら良い出来だ。」


ドランは満足げにそう言って催促してくる。

櫓は言われた通り包装された布を取る。

中には立派な木箱があり、開けるとミスリルの特色を持つ綺麗な薄い銀色の刀が入っていた。


「綺麗だな。」


刀を取り出して見て自然とその言葉が溢れる。

詳しい訳では無いが、女神から貰った霊刀と同格以上の武器である事が何となく分かる。


「ミスリルを使った武器は基本的に性能が良い。それだけで無く、ミスリルは魔力との相性が良くてな、使い込んでいく毎に耐久度や斬れ味が上がっていく。」


使用者の魔力が馴染めば馴染む程武器として成長していく。

強敵との戦いにも付いてこられる様な素晴らしい武器だ。


「丁度武器が無くなっていたから有り難く使わせてもらう。」

「おう。それと櫓は錬金術師の真似事が出来るらしいな。その刀は既にお前の物だから魔法武器にするなら勝手にやって構わん。」


ドランの言葉を聞いて少し驚いた。

ドワーフの中でも特に拘りが強いドランは、自分の作った物に誇りを持っており、手を加えられるのを拒否すると思っていたからだ。


「いいのか?」

「お前なら武器を劣化させる様な事はしねえと思うからな。更に強い武器にする為なら構わねえ。」


手を加えて改悪になる事が許せないだけで、魔法武器にして強化する事自体には抵抗は無い様である。

ドラン本人から許可を貰えたので、暇な時に試してみる事にした。

閲覧ありがとうございます。

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