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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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256話 いつもの事

「さて話は纏まったし、俺は馬車の調達に行ってくるか。」


櫓の作った馬車に獣人達全員を乗せる事は出来るが、この馬車は自分達専用に作った物だ。

ドラゴンが現れ緊急事態だったので、フックの村では馬車に乗せたが、あまりこの馬車に慣れられても困る。

普通の馬車に比べると快適過ぎるこの馬車に慣れてしまえば、普通の馬車では我慢出来無くなってしまうだろう。

鉱山都市ミネスタから長い時間を掛けて、城塞都市ロジックまで馬車で移動してもらわなければならないので、最初から普通の馬車を使ってもらった方がいい。

仲間になったので馬車を快適な物に改造してあげてもいいのだが、拠点に居る者達が使っている馬車は普通の物なので、贔屓になる様な事はしたくない。

贔屓にならない様に全ての馬車を改造する事になれば、旅どころでは無くなってしまうので、普通の馬車を使ってもらうのが一番丸く収まるのだ。


「獣人の皆さんが乗るとなれば十台以上必要になりますわね。それだけの馬車と馬を購入出来る資金はありますの?」


そう言ってシルヴィーが尋ねてくる。

借りるのでは無く買うのだから値段は結構掛かる。

それを十台以上分ともなれば、一塊の冒険者が軽く払える額では無い。


「ミネスタで魔法道具を売り捌いた時の金が結構残っている。元々の金と合わせれば充分足りるだろう。」


この金は櫓達が泊まっていた宿の店主であるゴッツの店で劣化ボックスリングを販売して得た金だ。

元々はドランや子供達の馬車、護衛、食糧の為の資金稼ぎとして行なって得た金なのだが、獣人達もドラン達と同じ様なものなので使ってしまって問題は無い。

また金が必要になれば劣化ボックスリングを作って売り捌けばいいだけなのだ。


「我々はどうするのだ?櫓に付いて行けばいいのか?」


リュンは近くで倒れている奴隷達の事が気にならないのか、自分のやる事が無いかの様に聞いてくる。


「ネオンとカナタは獣人達と残っていてくれ。シルヴィーとリュンは奴隷の件を任せた。」


フックの村に到着するや否や問題が起きて、久々の再会を分かち合う時間などなかった。

なので積もる話もあるだろうと二人にはこの場に残ってもらう。

それにまた襲われないとも限ら無い。

Aランク冒険者相当の実力を持つ二人が残ってくれれば、大抵の敵は相手にならないだろう。

奴隷の件についても放ってはおけない。

先程の行為は明らかに奴隷狩りと言う違法行為だ。

奴隷を使っての犯行で、当の本人がバレないとでも思っているのか随分と堂々と行なってきた。


「勿論構いませんけれど、時間が掛かるかもしれませんわよ?」


違法行為をしているのだから、奴隷がそう簡単に主人の名前を言うとは思えない。

事前に話したら命は無いと口止めをされているだろう。

それなりに大きな街なので奴隷商店も多く、一から調べるのには時間が掛かる。


「心配するな、俺の魔眼がある。」


櫓はそう言って神眼のスキルを発動する。

調査の魔眼を選択して、色の変わった金色の瞳で倒れている奴隷達を視る。

全て主人の名前が同じだったので複数の奴隷商人の犯行では無い様だ。


「奴隷商人の名前はトグリと言うらしい。名前さえ分かれば大分調べるのも楽だろう。」


名前と奴隷商人と言う事が分かっているので、街の人達に聞けば直ぐに見つかる。

奴隷の件はそれ程時間は掛からない。


「そうですわね、解決しましたらこの場所で落ち合いましょう。」

「全員縛っておいたぞ。」


櫓とシルヴィーが話している間にリュンが奴隷達の手首を縄で縛り繋いでいた。

気絶している間に武器も没収されており、抵抗する手段は無い。


「じゃあ後は任せたぞ。」


しっかり者のシルヴィーに任せておけば奴隷の件は安心である。

櫓は馬車と馬を求めて街に入った。

それなりに大きな街だが目的の場所は直ぐに見つかった。


「いらっしゃいませ!」


店の中に入ると店員と思われる女性が元気良く言ってくる。


「馬車を買いたいんだが。」

「はい、此方にどうぞ。店に置いてある馬車でしたら直ぐに購入出来ます。オーダーメイドとなりますと暫く時間を頂く事になります。」


店員が奥に案内してくれると、広い倉庫に何台もの馬車が並べられている。

何人かが倉庫で馬車の組み立てを行っているので、作業場兼置き場所の様だ。


「そうだな・・・、これとそれ、あとそっちの二つも頼む。」


馬車の良し悪しなど櫓には分からないので、調査の魔眼で視て大人数が乗れる良さそうな馬車を四台選んだ。

大きな街なのでこの店で全てを揃える必要も無い。


「・・・あの、失礼ですが値札は読めますか?四台の購入となりますと・・。」


店員は冷やかしと思ったのかそう尋ねてきた。

いつもの事で慣れているが、毎回高い買い物をする時は、大金を持っているとは見られずこう言った反応をされる。

櫓の見た目は若い青年と言った感じなので、その歳で貴族並みに稼いでいるとは見えないので仕方が無い。


「この通り金はあるから、売ってくれるなら用意してくれ。」


櫓はボックスリングから取り出した大量の金貨が入った袋を見せる。

すると店員は何度も謝罪して大慌てで馬車の準備をしてくれた。

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