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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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234話 滑り込みセーフ

一瞬で騎士達の間を通り抜け、獣人達の近くに辿り着いた。

倒れ伏している獣人達は正方形状に配置された怪しく明滅する柱に囲まれており、四つの柱の中心部分の地面には魔法陣が浮かび上がっている。


「っ!?何だお前は!」


いきなり現れた櫓に気付いて騎士の一人が抜剣しつつ言う。

櫓はそれを無視して神眼のスキルを発動させて調査の魔眼を選択して、獣人達が苦悶の表情を浮かべる原因と思われる柱を見る。


吸魔の柱 この柱で囲まれた場所に魔力を吸収する魔法陣を作り出せる。吸収した魔力は魔力玉にする事が出来る。


魔力玉は使った事が無いが、女神から貰った道具の中にあった魔法道具だ。

ガラス玉の中に魔力が入っており、割る事によって魔力が不足していたり存在しない場所でも魔法を使う事が出来る様になる魔法道具だ。


「つまり獣人達の魔力を強制的に奪っていると言うことか。」


櫓は吸魔の柱の効果を見て破壊する事にして足を魔装する。


「それに触れるな!」


近くに居た騎士が剣を構えて斬り掛かってくる。


「邪魔だ、破脚!」


櫓はそれよりも早く騎士に接近して回し蹴りを叩き込み、騎士を柱の一つに向けて吹き飛ばす。


「ぐほぉあ!?」


勢い良く吹き飛んだ騎士は、そのまま吸魔の柱にぶつかって砕き折る。

柱が一つ折れた事によって、魔法道具としての効果を失い魔法陣が消える。

苦悶の表情を浮かべていた獣人達も魔力が強制的に奪われなくなり、徐々に表情が和らいで行く。


「全員この者を始末しろ!」


指揮官が周りに居る騎士達に指示を出す。

櫓は取り敢えず命が危険そうな獣人達を助け出してから、話し合いをさせてもらおうと思っていたのだが、殺意剥き出しで向かってくる騎士達を見て諦めた。


「大人しくさせてから事情を聞かせてもらうか、放電!」


前後左右から向かってくる騎士達全員に攻撃する為、雷帝のスキルで身体全体に雷を纏う。

そして纏った雷を全方位に向けて解き放つ。

剣や鎧で身を守っている騎士達でも雷は防げず、正面から受けてしまいバタバタとその場に倒れていく。


「残りはお前だけだ。死にたくなければ大人しくしろ。」


残った指揮官の首を片手で掴み、殺気を放ちながら言う。

十中八九獣人達は悪く無いのだが、確信は無いので指揮官を殺す様に見せたハッタリだ。


「死ぬのはお前だ!」


指揮官は現状直ぐに殺されてもおかしくないのに笑いながら強気に言い放つ。


「っ!」


櫓は地面から殺気を感じて、指揮官を手放し交代する。

直後地面から出てきた五十センチ程の巨大蟻が櫓の居た場所を顎で噛む。


「避けたか、運の良い奴だ。」


一体目が現れると続々と地面から現れる巨大蟻。

ソルジャーアントと言う名前の魔物だ。

現れたソルジャーアントは全て櫓に敵意を向けており、指揮官の方を見ている者は一体もいない。


(使役されている訳でも無いよな、こいつらの特性か。)


調査の魔眼で視て自分自身で行動している事が分かる。

ソルジャーアントを見るのは初めてだが魔物関連の本では見た事がある。

かなり交戦的であり単体でCランクの強さを持っているが、雷の剣のメンバーで苦戦する者はいないだろう。

だがソルジャーアントは大群で動く魔物で、その場に居る最も強い者に向かって行く特性がある。

AランクやBランクの格上の魔物にも問答無用で挑んでいき、数の有利で殺し尽くす。


「ソルジャーアント、その男を殺せ!」


指揮官に従っている訳では無いが、一斉に櫓の方に向かってくる。


「俺が居る限り安全という訳か。」


この場で最も強いのは櫓だ。

なので指揮官や無力化された騎士達が襲われる心配は無い。

その代わり動けない獣人達も襲われる事は無いので安心だ。


「取り敢えずお前は寝とけ、雷撃!」


ソルジャーアントの相手をしている間に自由に動かれると面倒なので、指揮官に雷を浴びせて気絶させておく。

そして向かってくるソルジャーアントを霊刀で一体一体真っ二つにしていく。

仲間が次々に殺されても全く勢いは衰えず、次々と現れて櫓に向かってくる。


「ちっ、面倒な。早く獣人達の相手をしたいのに。」


魔力が強制的に奪われ苦しんでいたので、少しでも回復させる為にポーションを使いたいのだが、ソルジャーアントの勢いが凄まじくて余裕が無い。

そして地面から次々と現れるので、スキルや魔法で一掃するのも難しい。

だが一人で斬り続けていると遠くから馬車が走って来る音が聞こえてきた。


「お待たせしました櫓様!」

「ご主人様、加勢致します。」


馬車よりも早く魔装した足で道を駆け抜けてきたネオンとカナタが次々とソルジャーアントを斬り捨てていく。

シルヴィーは馬車に向かって来る魔物の数が減ってきたので、一人で対処出来ると判断して二人を向かわせてくれた様だ。


「俺は獣人達の様子を見るから魔物は任せたぞ。」


相変わらず櫓しか目に映っておらず、ネオンとカナタを無視して向かってこようとしているが、櫓に任された二人がそれを許す筈も無く、死体の山が築かれていく。


「魔力切れと体力低下か、これなら命は助けられるな。」


調査の魔眼で視た獣人達の状態の欄に、吸魔の柱の影響で魔力切れや体力低下と出ていたが、二つともポーションで直す事が出来る。

櫓は獣人達に近付きボックスリングから中級や下級に比べて遥かに回復量が高い、上級ポーションを幾つか取り出して振り掛け、手足の縄を切っていった。

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