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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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233話 魔物道

「雷撃!」

「グガアァ!」


櫓が雷帝のスキルによって飛ばした雷によって、馬車に向かってきていた鳥型の魔物キラーバードを撃墜する。

フックの村に近付くにつれて急に魔物が多くなってきたのだ。

御者しているミズナの隣に櫓とリュンが座り、遠距離攻撃で馬車を走らせながら倒していく。

他の者達は中で魔力タンクの容量を増やす為に、魔力を注いだり魔石を入れたりしている。


「この数は異常だな。」


リュンがそう言いながら愛剣である白銀の剣が覚えている、光剣弓の魔法を発動させる。

リュンの周りの空中に光で出来た白銀の剣の分身が無数に現れ、それを射出して魔物を葬っていく。

魔力さえあれば詠唱を必要とせず、スキルの様にノータイムで発動出来るので使い勝手がいい。


「この辺りに普段は居ない魔物が殆どだと言ってたぞ。」


最初に馬車が魔物に攻撃された時、馬車の自動障壁展開の能力で傷一つ付かなかったが、襲ってきたのはキラーバードの群れだった。

空の狩人と言われる程厄介な魔物で、人間を軽く凌駕する体躯を持ち、気性が荒く単体でBランクの強さを持っている。

そんな危険な魔物がフックの村の近くに住み着いていれば、村人が襲われて危険な状態だ。

ネオンもカナタも普段村の近くには、強くてもDランク程度の魔物しか居ないと言っていたので、カナタが奴隷になってから居着いた様だ。


「何かが原因で現れたと言う事だな?」

「食料不足か、より強い魔物に棲家を追われたか。」


魔物も自分よりも弱い魔物や動物を餌として食べる。

なので食料が無くなり棲家を移した可能性はある。

そして棲家に自分よりも強い魔物が住み着いた可能性だ。

キラーバードはBランクの魔物なので、Aランク以上の魔物と言う事になる。


「何にせよ、出来るだけ倒さなければな。」


話しながらでもしっかり光の剣を操り、魔物を次々と貫殺していくリュン。

キラーバード以外にもBランクやCランクの魔物が沢山居るので、村に向かいながら倒して、齎される被害を減らさなければならない。


「後続が鬱陶しいな。」


櫓とリュンがスキルや魔法を連発して間引いてはいるが、撃ち漏らしや新たに現れた魔物等が後ろから馬車を追い掛けて来ている。

このままでは多くの魔物をフックの村に引き連れて行ってしまう。


「あの中に私が苦戦しそうな魔物はいるか?」


立ち上がって後ろを見ながら櫓に尋ねる。

追い掛けて来ている魔物の中で一番ランク的に高いのはBランクだ。

リュンはティアーナの森の村長に長年鍛えられ、剣の腕も魔法の腕も冒険者のAランク相当はあるので、実力で劣る事は無いだろう。


「今見える範囲の魔物なら大丈夫だと思うが・・。」

「それなら私が足止めをしよう。」


リュンは櫓が言い終わる前に馬車から飛び降りて、近くに居た魔物に攻撃しつつ上手く地面に着地する。


「おい、リュン!」

「心配無用だ。村は直ぐそこなのだから、ある程度片付けてから私も合流する。」


早口で言い終わるなり光剣弓の魔法を使って光の剣を無数に作り出しながら、魔物の軍勢に単身特攻していく。

実力的に問題は無く唯一魔力切れだけが不安要素としてあったが、櫓が作ったボックスリングも渡してあり、その中に魔力回復用のポーションも入っているので、心配は無いだろう。


「全く勝手な事を。」


そう言いつつも後ろから追い掛けて来ていた魔物達がいなくなったので、リュンのおかげと言わざるを得ない。


「リュンが居なくなったから誰か外に周れるか?」

「私が行けます。」


小窓に向かって言うとネオンから返事があった。

走行中の馬車の扉を開けて器用に御者台までやってくる。


「凄い魔物の数ですね、村が心配です。」


ネオンも狐火のスキルで火球を魔物にぶつけながら言う。


「その村は未だ見えないのか?」

「いえ、もう直ぐ遠くに見えてくる筈です。」


獣人の優れた視力でもう少しなので、人間の櫓には見えるまで時間が掛かりそうな距離だ。

道は木々に囲まれて真っ直ぐに続いており、視力さえ良ければ見えると言った状況なので、神眼のスキルから遠見の魔眼を選択して使う。

障害物があると透視して見る事が出来無いので、魔物が至近距離で見える部分もあるが、フックの村と思われる低い木の柵に囲まれた家が見える部分もあった。

そして柵の内側に身動き出来無い様に縄で手足を縛られた状態で、一箇所に集められた地面に倒れ伏す獣人達と、それを武装した人間達が囲む姿も見えた。


「見えた!獣人達が縛られて取り囲まれている!」


獣人達は生きている様だが、全員が苦悶の表情を浮かべている。


「そんな!?」


ネオンが悲痛な声を上げる。

予想していた中でも最悪な方が現実になってしまっている。


「どう言う状況かは分からないが助けられる。先行するから後は任せたぞ。」


全速力で走っている馬車でも数分掛かりそうな距離なので待っていられない。

櫓は馬車にダメージを与え無い様に一度飛び降りる。

魔装した手足で強引に地面に着地し、雷帝のスキルで雷を足に纏わせる。

直後地面を踏み砕き爆発音を残して村までの距離を一気に駆け抜けた。

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