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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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232話 気が付かない程に

「もう半分くらいは来ているか?」


フックの村がある場所を正確に知らない櫓が、ネオンとカナタに尋ねる。

朝から御者を交代しながら馬車を走らせ現在は夕方なので、結構距離は稼げている筈だ。


「そうですね、それくらいは来ていると思いますよ。」

「まさか、これ程早くフックの村に向かえるとは驚きました。」


カナタは初めて乗る櫓の作った馬車の様々な機能を知って、ずっと驚いていた。

初めて乗った者達が驚くのはいつもの事なのだが、カナタが魔法道具について説明する度に凄い凄いと煽てるので、櫓も気持ちよく饒舌になっていった。


「そうだろう、だからそんなに心配するな。そんなんじゃ着くまでもたないぞ。」


カナタは明らかにフックの村の事を心配して、ソワソワと落ち着かない状態だ。

自分の生まれ育った場所から一ヶ月も離れた事は無かったので、心配で仕方が無いと言った感じだ。


「そうですよカナ姉、平常心です。」


そう言うネオンもずっと貧乏ゆすりが止まらず、カナタ同様落ち着きが無い。

ネオンは櫓と出会うずっと前からフックの村を出ているので、帰るのは久しぶりだ。

家に金を入れる為に奴隷となったので、その家族が元気に暮らしているか心配なのだ。


「説得力が無いわよ。」


ネオンの事を見てクスクスと笑うカナタ。

気遣いでやった事では無いと思うが、カナタが少しだけ落ち着けた様だ。


「心配しても始まらない、何が起きてもいいように万全の状態にしておかないとな。」

「そうですね、そう言えばそろそろ私お腹が空きました櫓様!」


ネオンが元気よく手をあげて言う。

櫓以外の者達も料理の手伝いや練習を時々やるが、櫓が一人で作った方が美味しいので、料理当番は殆ど櫓が固定となっている。


「ネ、ネオン失礼でしょ、ご主人様にそんな事を!?」


カナタは慌てながらネオンを注意する。

今は奴隷の首輪が付いていないが、ネオンも元々は櫓の奴隷だ。

奴隷がご主人様に対して食事を堂々と要求するなんて、普通であれば何をされるか分からない程、失礼な行為である。


「気にするなカナタ、俺は奴隷とだって対等にやり取りする様な奴なんだ。お前も腹が減ったら遠慮無く言うといい。」


新しく入ってきた奴隷は毎回櫓がとのやり取りで思う事だが、当の本人はタメ口であっても特に気にはしないし、呼び方も自由にさせている。


「は、はい、分かりました。」

「櫓様の作る料理は全部美味しいから、カナ姉もきっと気に入るよ。」


前の世界で趣味程度に作っていたくらいなので、料理人と比べられると劣ってしまう。

だがこの世界では貴重な調味料や流通していない調味料を錬金術の名人のスキルで作り出して使えるので、同じレベルで戦えている感じだ。


「気に入ってもらえる様に頑張って作るとするか。お前達は先にシルヴィーと一緒に風呂にでも入ってこい。」


櫓の作った風呂を一番気に入っているシルヴィーは、現在入浴中だ。

ミネスタに滞在している間、いつの間に集めたのか分からないが、空間魔法を付加する為の素材をシルヴィーが渡してきた。

これでお気に入りスペースである風呂場の拡張をしてほしいと言ってきたので、増築された風呂場は三倍近くも大きくなった。

なので複数人で入っても全く問題が無い。


「分かりました、カナ姉いこう。」

「わ、分かったからそんなに引っ張らないで。ご主人様お先に失礼します。」


ネオンに引っ張られながらカナタが風呂場に連行される。

カナタは使用するのが初めてなので、さぞかし驚くだろう。


「リュンも行ってきたらどうだ?」


ソファーに座って愛剣の手入れをしていたリュンに言う。


「何処に行ってくるのだ?」


顔を上げて櫓の方を向いて聞き返すリュン。


「今の会話から分かるだろ、風呂だ。」

「何を言っている櫓。今はシルヴィーが入浴中で、ネオンとカナタも向かわせたではないか?」


手入れに夢中で聞いていなかったのかと思ったが、しっかりと分かっている様だ。


「それがどうかしたのか?四人くらい普通に入れるぞ?」

「スペースの話では無い。」

「じゃあ何だ?」


櫓はリュンが何を気にしているのか分からず尋ねる。


「男女が一緒に入るのはいけないだろう。それとも人間の国は一緒に湯浴みをする文化でもあるのか?」

「は?」


一瞬リュンが何を言っているのか櫓は分からなかった。

男女が一緒にと言われても、今風呂場に居るのはシルヴィー、ネオン、カナタの三人だ。


「ちょっと待て、リュンって男なのか!?」


出会ってからそれなりに一緒にいるのだが、衝撃の事実に直面して驚きを隠せない櫓。


「まさか気付いていなかったとは・・。」


リュンは櫓に呆れた視線を向ける。

だが櫓からしてみれば、気付けと言う方が無理な事だ。

確かに外見からスレンダーなのは分かるが、美人な女顔、細い身体付き、声の高さ、どちらかと言うと女性物に見える衣服とこれだけ揃えば男には見えない。


(マジか、リアル男の娘じゃないか。改めて言われても男には全く見えない。)


その後風呂場から上がってきた女性陣に確認しても、リュンを男だと気付いていた者は誰もいなくて、少しリュンがショックを受けていた。

そしてリュンが男だとしても、櫓が一緒に入浴するのはダメだとネオンとシルヴィーに厳重注意されたのだった。

閲覧ありがとうございます。

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