228話 正式に加入
昨日投稿したと思ってたのに投稿されてませんでした(๑˃̵ᴗ˂̵)
ハイヌと別れた後、奴隷達を引き連れてドランの家に来ていた。
奴隷達には城塞都市ロジックの拠点まで、ドランと子供達を護衛してもらうのでその顔合わせだ。
だがその前にミーシャの件が解決したので、このままミネスタで暮らすと言うのであれば、此方に別の拠点を作ろうと考えているので、ドランと話し合う必要がある。
「その者達は誰だ?」
庭で子供達に素振りを教えていたリュンが、奴隷達を引き連れている櫓に尋ねる。
「ロジックまでの護衛だ、顔合わせしとこうかと思ってな。ドランは家に居るか?」
「中で酒を呑んでいたぞ。ネオンとシルヴィーは買い出しに出ている。」
ドランは櫓の下で厄介になると決めた途端に遠慮無く酒を要求してくる様になった。
それを差し引いても鍛治師の技術で恩を返せると思っているのだろう。
実際櫓も期待しているので、酒くらい幾らでも呑ませてあげている。
ネオン達に酒や食べ物は多めに持たせてあるのだが、際限無く呑むドワーフや食べ盛りの子供達には足りず、買い出しに行ってくれているのだろう。
「分かった。」
目的のドランが居ると分かったので、建物に入ろうとする、
「待ってくれ、何人か子供達の稽古に付き合ってもらいたい。全員中に行く必要も無いだろ?」
リュンは奴隷達を見ながら言う。
リュンは毎日見張りをしていた子供達に稽古を付けているので、違う人とも訓練させてあげたいのだろう。
十人の奴隷達は得物も戦い方も様々なので、対戦相手にはピッタリだろう。
「まあいいか、悪いがカナタ以外の皆は相手してやってくれ。取り敢えず纏め役のカナタが一人居ればいいだろう。」
庭で稽古するだけなので、顔合わせは直ぐに出来る。
九人の奴隷達の下に子供達が集まってきて、ワイワイ楽しそうに話している。
これから長い間一緒に居る事になるので、直ぐに仲良くなれそうなのは有り難い。
「よし、お前達先ずは私が手本を見せてやろう。」
リュンは一人の奴隷を選んで嬉々として木剣を構える。
ティアーナの森に居た頃は、村長に教えてもらうばかりで、自分が教えた事が無かったので新鮮で楽しいのだろう。
「あまり派手にやるなよ?」
冒険者ギルドの訓練場と違って魔法道具は設置されていないので、気を付けて戦わなければならない。
「訓練用の木剣だ、心配いらない。」
リュンの自作らしく、剣以外にも槍や斧があるが全て木で出来ている。
刃先も全て丸く作られているので、殴られれば痛いが大怪我する事は無さそうだ。
奴隷達に子供の相手を任せて、カナタと共に建物の中に入る。
二階に上がりドアを開けると、大半の子供達がお腹いっぱいになって寝ており、その奥で一人大量の酒瓶に囲まれてドランが呑んでいた。
「昼間からどんだけ呑んでるんだ。」
「ドワーフにとっちゃ酒は水だ。ん?その娘は誰だ?」
ドランは見慣れないカナタを見て尋ねる。
「護衛の纏め役なんだが、その前に話がある。」
ドランに傀儡子やミーシャの事を話して聞かせる。
ドランの腕を斬り落とした件の原因は解決したので、都市に留まる選択肢も出てきたのだ。
「成る程、つまりもう危険は無いって事か。」
「確実にとは言えないが、テトルポート伯爵家に関しては問題無いだろう。それと操られて覚えていないから・・。」
櫓としては出来るだけミーシャを責めないでほしかった。
既に本人が自分の責任では無いのに、酷く落ち込んでいるのを見たのでこれ以上追い詰めたくは無い。
「分かってる、覚えてない奴を恨んでも仕方が無い。」
ドランも理由を聞いて頷いてくれた。
「それでどうする?」
留まるか旅立つかはドランの判断に任せる事にした。
「そうだな・・、チビ共の事を考えればより安全な場所の方が良い。櫓の拠点は安全なんだろ?」
ドランは何かあった時に自分以外に子供達を守ってくれる存在が居てくれた方がいいと判断した様だ。
「それに関しては問題無い。それに設備も色々充実しているからな。鍛治施設も拠点を任せてる者に言ってくれれば、揃えてくれるだろう。」
城塞都市ロジックの拠点には、戦闘の出来る元傭兵達や奴隷達が沢山居るので、安心して任せられる。
それに拠点は櫓が自ら便利な施設を色々作ってきたので、何も無いこの建物よりは確実に快適に過ごせるだろう。
「それなら行かない選択肢は無いな。」
ドランは子供達の食費を稼ぐ為に武具以外にも鍛治道具も売り払っていた。
なので鍛治師として恩返しするにも設備が無いので、どうせなら拠点で作ってもらえれば楽だ。
「決まりだな、何日かしたら出発にしよう。何かあればカナタに・・。」
ドランにカナタの事を紹介しようとしたら、背後でドサッと言う物音がする。
振り向くとネオンが目を見開いて驚き、手に持っていた食べ物が入った紙袋を落としていた。
櫓と同時に振り向いたカナタもネオンを見て驚いている。
「カナ姉!」
ネオンはドアからそう言ってカナタに飛びつく様に抱き付いた。
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